109 ・・・はい?
17/45//64日
「ぅっ」
変な声とともに目が覚めた。
どうやら座ったまま寝てしまっていたようだ。
「ん~・・・」
伸びをする。
背骨がぽきぽきと音を立てた。
ふと右腕を見た。
いつもどおり黒い炎が纏わりついているのだが、何かいつもと雰囲気が違うような気がした。
こう、自分の体じゃなく、知らぬ他人の体のような・・・
―――と、玄関の扉が開いた。
たそがれが帰ってきたのだろうか・・・と思ったが、扉のところに立っていたのはたそがれではなかった。
そこに立っていたのは獣人だった。
10歳ぐらいだろうか。
身長は私より小さい。
灰色でぼさぼさの髪が片目を隠していて、頭には先のほうが黒い長い狼の耳がある。
暗い橙色をした長袖の上着を着ていてその上から黒い外套を着ていた。
腕の辺りは獣の毛を縫い付けているのか逆立った毛が袖全体に付いている。
下は黒いズボンで、左右どちらにも肩の辺りから一本の赤いラインがズボンの側面までのびていた。
「・・・誰?」
こんな獣人は見覚えがない。
ベルスかディルムの知り合いだろうか?
だが、その獣人から発せられた言葉はその二つの予想とまったく違うものだった。
「僕だよ!たそがれ!」
「・・・え?」