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105 ディルム《ベルスsay》
「ぅ・・・」
「目が覚めたか」
寝かせてから数時間。
意識を取り戻したようだ。
「ここ・・は・・・」
「俺らの住んでる小屋だ」
俺が言うと、そいつは驚いたようにびくっと体を動かした。
そして首だけでこっちを向いてくる。
「君は・・・」
そう言ってくる顔にはまだ疲れが残っており、声もだいぶ疲労を感じさせる声だった。
「俺はベルス。この辺で仕事をしてる人間だ。お前は?」
「俺は・・ディルム。・・・ぅっ」
「どうした?」
「足が・・・」
見ると、ディルムが着ているズボンに赤い染みができている。
めくると、すねの辺りに皮が破れたような傷ができていた。
それに量は少ないが出血をしている。
(包帯は・・・あるな)
小屋の中を見回すと、棚の上にあった治療箱を見つけた。
「ちょっと待ってろ、どうにかする」
治療箱を取り、ディルムの足に巻いてやる。
「すまない・・・」
「礼はいい。それよりお前のことを教えてくれ」
ディルムは一瞬戸惑ったような顔をして、
「わかった」
と答えた。