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104 過去《ベルスsay》
寝かせるためにいつも俺たちが使っていた小屋まで歩いた。
あの時はそこまで力も無かったから同じぐらいの体重の人間をおぶって歩くのは結構な重労働だった。
小屋が見えてくると、小屋の前で作業している男がいた。
「サドアット!ベッドを一つ開けてくれ!」
「どうした?」
サドアット。
グレイドルが盗ってきた宝を周辺の村々に配る仕事をしていた、今は商人をしている男だ。
そいつが俺の背中に乗ってる人間を見て、
「ベルス、そいつ誰だ?」
と問いかけてきた。
「わからない、森の外から歩いてきたやつだ。結構疲れてるみたいだからとりあえず寝かせよう」
「そうか、今準備する」
サドアットはそう言い、中に入っていった。
俺もそのまま開けっ放しにされていたドアから小屋の中に入っていった。