102 魂器《ディルムsay》
17/45//64日
「でも突然なんで」
フェンのグレイドルフレインを消す、とベルスに話した後。
「フェンに俺と同じ結末になってほしくないからだ」
「お前と同じ結末?」
「ああ。・・・俺はあと数ヶ月でこの炎に燃やし尽くされる」
「・・・」
大体察していたかのようにベルスが黙り込む。
「あいつには俺の後を追ってきてほしくない。だからフェンのグレイドルフレインを消さないといけないんだ」
「グレイドルフレインを消したいってのはわかった。でも魂器がないからできないぞ?」
「お前、魂器が何からできてるのか知らないのか?」
「そこまでは知らないが」
「教えてやる。魂器の原料は・・・俺たちトランジスフォレイヤリングだよ」
「な・・・」
これは予想外だったようだ。
ベルスが俺の言葉を聴いた瞬間固まった。
「トランジスフォレイヤリングにはその身にまとったトランズを変形、凝固させる力がある。これは知ってるな?」
ベルスからの返答は無い。
俺は続ける。
「そしてトランズをある式句で凝固させると魂器ができるんだ。魂器になった後は魂器になったトランジスフォレイヤリングは自我を失って移転者の魂片に乗っ取られるがな」
そこでようやくベルスが口を開いた。
「何で・・・っ何でだよ!」
「どうした?」
「何でお前が消えないといけない未来が来るんだよ!」
「それは・・・どうしようもないことだ」
「何がどうしようもないことだ!?ふざけんじゃねぇ!」
「避けられないことなんだ。許容してくれ」
「許容できるか!昨日まで普通にしてたやつが消えていなくなるなんて考えたくねぇんだよ!」
「・・・」
「何でこうなるんだよ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ベルスのこんな姿は初めて見た。
ここまで・・・あがこうとしている姿は。
「・・・すまない、今日はもう帰ってくれ」
「・・・わかった」
作業室から出てフェン用の連続鉄球発射機を持って店から出た。