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3 襲撃、再び

新キャラ出ます。

……ちょっと早かったかもしれませんが。

 語り手: アルタイル


 その日の夕方、ソラは近所のスーパーマーケットに買い物に来ていた。

 もともと器用なのもあり、家事全般、特に料理は得意なのだ。そのため毎日の食事は自分で調理していた。


 あの惨状を目にしたのは、今日の昼のことだった。

 カイジの秘密を教えられてゲームをやった後、なんとなくキッチンに目を向けると……そこにはカップ麺のカップの塔が……


「カイジくん、いつもご飯はどうしてるの?」


「え?あー、カップ麺とかコンビニ弁当とかかな。」


「学校での弁当は?」


「購買のパン。」


 これを聞いたとき、邪な意識や恥ずかしさが吹き飛んだらしい。

 この現状を打破するため、ソラはカイジのために料理を作ることにした。それも毎日。カイジが学校へ行くときは弁当も持たせようと考えている。

生まれつきの世話焼き属性がここに来て爆発したのだ!




 買い物を済ませたソラは軽い足取りで帰り道を行く。

 自分を付け狙う何かがいるとも知らずに。


 いつも通る人通りの少ない路地で、異変は起きた。

 突如全身に感じるゾッとするような感覚。

 目眩がする。とても立っていられず、道の脇に座り込むソラ。

 その眼は、自分の右腕にくっついた光る何かを捉えていた。


「ゔぅ、うえぇ……」


 耐えきれず、側に胃の中身をぶちまけてしまった。

 光る何かが腕を這い上ってくるとともに、全身の不快感が増していく。

 その光る何かは、まるで腕に染み込んでいるかのようだった。痛くはない。でもなんとも言えない不快感に、頭をかき乱されるようで。

 とうとう意識が朦朧としてきた。

 光る何かはついに肩にたどり着き、ソラの体を覆っていく。


 ソラはカイジから、ソラに生命の危機が迫るとカイジに伝わる、という一種の呪いをかけてもらっていた。

 それが効かないということは、この光るモノの狙いはソラの命ではない、ということになる。

 気持ち悪さが最高潮に達し、意識を手放しかけたときだった。


 ()()()降りてきた誰かが、光るモノを力任せに引き剥がした。なんというか、内臓に絡みついた粘つく触手が剥がれるような感覚。


「大丈夫か?」


 地面に寝かされたソラの顔を覗き込んだのは、少し年上であろう綺麗な女性だった。

 ただ綺麗だが、ツヤのある黒い髪は短く揃えてあり、頭の左右にヤギのような巻いたツノが見えた。

 その体は抜群のスタイルで、そして……色々と大きかった。ついでとばかりにコウモリのような翼も生えている。

 どこかで見た悪魔だ。


「なんとか大丈夫、かも……」


「全然ダメじゃねーか!あいつはアタシが片付けとくから休んでな。」


「はいぃ……」


 と言いつつ、なんとか体を起き上がらせて様子を見る。

 そこでは優しい悪魔が、ソラを守るようにして光るモノと向かい合っていた。

 光るモノが悪魔に飛びかかる。だがそれを悪魔は爪の一閃で切り裂いてみせた。


 ふと、ピチャッという液体の跳ねる音を聞いて足元を見ると、光る破片がうねうねと蠢き這い寄ってきていた。


「ぴゃぁぁぁっ!?く、来ないでぇ!!」


 近づかれるのを全力で《否定》。だが悲しいかな、ソラは恐怖で背を向けてしゃがみ込んでしまった。

 だが、光る破片がソラまでたどり着くことはなかった。

 半透明なダークグレーの“X”が、光る破片のそれ以上の接近を防いでいる。どう見ても“X”なのだが、空白部分も見えない壁になっている。


「あれ、なんで……?」


 その疑問に答える声はなかった。


 “X”は消える気配もないので、光る破片を無視して悪魔の方を見る。


「ひゃっ!?変なとこ触るなぁっ!」


 そこでは光るモノが体のあちこちにひっつき、情けない声をあげて喚き散らす悪魔の姿があった。

 光るモノを払いのけても、すぐに足元から登ってくる。

 というかあの毒みたいな作用は大丈夫なのだろうか。

 見た感じだと毒をくらった様子はない。悪魔の体は特別製なのだろうか。


「霊体化すればよくない?」


 そんな悪魔に上から声をかけたのは、見た感じ天使っぽい、金髪が眩しく神々しい気配をもつ少女だった。

 露出の多い悪魔とは対照的で、金色の模様で飾られた白いローブをまとっている。そして体は……ない。悪魔と比べて一目瞭然。成長途中(?)で少ししかないソラ以上にない。白い大きな翼が、より体の小ささを強調しているようだった。


「君、今失礼なこと考えなかった?」


 そう言って凄んで見せる天使の目は……意外にも赤色。ずっと閉じていた目はいざ開いてみると、なかなか鋭い目つきをしていた。

 その迫力に負け、速攻で首を横に振る。


「よし、よろしー。」


「ねえシセン?そういうことは早く言ってよ!」


  悪魔の方に目を向けると、禍々しい霧のようなものをまとった手で光るモノを叩き潰したとこだった。


「あーゴメンゴメン、ヤミちゃんが可愛かったもんでさー。」


「でも手伝ってくれても良かっただろ。」


「えー、それはめんどくさい。」


「お前な……」


 なんだかこの二人、いいコンビだと思う。


「あの、ありがとうございました。」


「もうあんなのに絡まれるなよ。」


 ちょっと照れ臭そうにいう悪魔は、体は大人そのものだが子供っぽい可愛らしさがあった。

 何かお礼をしようと考え、ちょうどいいことを思いついた。


「悪魔さんたちって……」


「ヤミでいいよ。」


「ボクはシセンだよー。」


「じゃあヤミさん、シセンさん、この後お礼に何かご馳走したいのですが、どうです?」


 沈黙。助けてもらったからといきなり食事を、なんてやっぱり変だったか。ただソラは自分の料理の腕はなかなかのものだと自負しているので、できれば食べてもらえると嬉しいのだが。

 でもどうやらそんな心配は杞憂だったらしい。


「人間の食事か、何年ぶりだ?」


「4年ぶりくらいじゃない?」


「え、何も食べなくても大丈夫なんですか?」


「んなわけねぇだろ。アタシたちにはアタシたちの栄養源があるんだ。あと敬語やめろ。」


 そのあと悪魔さんがいうには、普段は味があるわけでもないとあるエネルギーを吸っているそうで、人間の食事は嗜好品なのだそう。


「四年前まではコンビニでバイトしてたんだけどな……」


「客のセクハラに遭って羽が出ちゃったんだもんねー」


「それ以降はお金がないからな……というわけで、ご馳走になるぜ!」


「それじゃあ私の家まで行こっか!」


「え、食べに行くんじゃないのー?」


 そんなことがあり、ソラは悪魔と天使を招くことにした。

 しかし家で待つカイジは、それとは別のことで驚くことになる。

優しい悪魔と不真面目天使、登場です。


光るドロドロの不快感はそれが食事中のとき特有のものです。そのため戦闘中は滅多に使いません。頭の悪い魔物なんです。

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