新装備の力
昨日ずっと小説書いてたせいでログインを忘れていたらしい。
呼符10枚が……
山に登り適当に鉱石を集めまくっていると、目的のアイテムとおぼしき物がみつかった。
アイテム
瞬く夜空の結晶 ☆☆☆☆☆
光を吸収する黒き結晶
暗闇の中にあると溜め込んだ光を放出し、星の瞬く夜空のように見える
宇宙っぽいしレア度も高い。何より1つしか見かけていないので、プレイヤーのメタ視点で考えるとこのクエストの限定アイテムの可能性が高いからな。
「うーん、このまま戻ってもいいけど……せっかくだしストレージが満タンになるまで鉱石を集めて帰るか」
2つ目以降の瞬く夜空の結晶が出て来ないとも限らない。建設にも武器製作にも金属系のアイテムは使う訳だし、また山を登るのもめんどくさいから今のうちに集められるだけ集めてしまおう。
カン! カン! カン!
銅、鉄、たまーに銀と金。宝石の原石に、ゲームオリジナルの謎の石達。ん? これは、御守りか……この情報を掲示板に流すと悲しき鉱夫達が何人も産み出されてしまう気がする。性能もいまいちだし、俺も見なかったことにしよう。
カン! カン! ギャリィ!!
「うおっ!?」
なんだ? いきなりピッケルが弾かれたぞ?
「グゴゴゴゴゴ」
「なんだゴーレムか」
どうやらゴーレムが埋まっていたらしい。ピッケルが弾かれたのはモンスターとの戦闘に使えるアイテムじゃないからだな。いや、中には道具戦闘術ってスキルで日用品すら武器として使いこなす変態もいるらしいんだけどさ。さーて、区切りもいいしこいつ倒したらファースに帰るか。どれどれ、レベルはいかほどかな?
モンスター
デウスエクスマキナ TYPE-MP Lv30
古の戦争時、技神によって産み出された量産型擬似神兵
その多くは龍帝や悪神によって破壊されたが、希に稼働している機体も存在する。
機械仕掛けの神が量産されてるだと!? 何でそんなものが初心者エリアに埋まってんだよ!
レベルは30と低めだが侮れない。セレネのステータスがレベル1でもあんなに高かったのだ。おそらくモンスターはジョブが存在しない分、プレイヤーと比べて基礎ステータスが大幅に高く設定されているのだと思う。それに、量産型とは言え神が敵対勢力に差し向けた戦力だ。弱い筈がない。
「ゴゴゴゴゴ」
「体がまだ埋まってる今のうちに砕いてやる!」
剣の斬撃は効果薄そうだし、打撃武器は……聖骨の戦槌があったな。こいつは災厄のボスからドロップした武器の1つだ。そこそこの攻撃力だが討伐メンバーの中にハンマーを使うプレイヤーがいなかった為俺の手元に残った悲しき武器である。でも今は手元に残っててくれて嬉しいぞ、聖骨の戦槌!
「防具も本気モードだ! 来い、転聖龍鎧・ドラグディザスター!」
同じく災厄のボスからドロップした装備だが、こいつはドロップアイテムの中で唯一譲渡不可だった。効果も凄いぞ。
転聖龍鎧・ドラグディザスター ☆☆☆☆☆☆☆
DEF280 STR+120 MND-250 耐久値-
転生 MP自動回復・大 ダメージ反射・小
対神・小
怨嗟の呪縛から解き放たれし聖なる鎧
浄化の過程に龍帝の力が紛れ込んだことにより、神に連なる者に対して与えるダメージが増加し受けるダメージが軽減される
壊される度により強く生まれ変わる
耐久値がない辺り、怨嗟の骨鎧が浄化された物なのだろう。一見能力が多いだけでレア度の割りに控えめな性能に思えるが、その真価は転生と言う能力にある。説明文にもあるように、壊される度に強化されるのだ!
ただし能力の詳細を見た限り、怨嗟の骨鎧のように即時回復する訳じゃないようだ。壊されると新しい形になるまで装備できなくなるらしい。だが今はそんなことより目の前のゴーレムが重要だ!
「砕けろ!」
掘り出されれ露出している頭部に向かって戦槌をフルスイングで叩き込む。
戦槌がゴーレムにぶつかると、メキャッ!!と何かがひしゃげる音がした。くぅ! いい威力だぜ! 鎧のおかげでSTRも上がってるし、何よりこいつは神に連なる兵器だ。今の一撃で頭を潰しちゃったんじゃないかな?
「――ゴゴゴ」
「な!? 凹みもしてないじゃんか!」
となるとさっきの音は戦槌が壊れた音だったのか! 分配の時に不人気だっただけあって使えねぇなオイ!
「ゴゴゴ、龍帝の因子を確認。特攻モードに移りまス。対龍兵装キ動――滅龍砲、エネルギー充填開始。発動まで10、9、」
「ちょ、カウント短過ぎんよ!」
俺は全力でその場から逃げた。だって無理じゃん? 復活した口だけ龍帝と違って、本物の龍帝さんを倒すための兵器だぜ? 対処できるかっての!
「2、1、0。全エネルギー充填完了――滅びろクソッタレ、滅龍砲フルバースト!」
「いーやーッ!!!」
「ジ、ジジ、対象の消メつを確、認……――」
当然逃げ切れる訳もなく、俺は死に戻った。
滅龍砲には即死効果がついてます。
なお、肝心の龍帝には効果がなかった模様。