集う極振り勢.5
「グルル……グルォォォォオオオァ!!!」(我は真に世界を統べる者、覇を……破、壊!滅ビ!!神ィィィ!!!)
骨と毛皮に覆われていた体から禍々しい色合いの鱗が次々と生えてくる。そして龍以外の頭があった傷口も塞がっている。おいおい、他の頭はもう要らないってか?
「てか言動バグってるし……」
「変化し終わる前にせめて核だけでも砕く!」
「ちょ、やめとけってアルバス!」
「ハァーッ!!」
こう言う変身系のボスって大概変化が終わるまで無敵って相場が決まってるじゃんか!もう少し待ってやろうぜアルバス!
ギィーーン!
「な、弾かれた!?」
「お?ダメージは通ってるぞ。なんだよ無敵時間じゃなかったのか。ならば遠慮なく攻めてしまいなさいアルバスさん」
「ライリーフ、こいつさっきと比べてかなり硬いです!新マスターと私のラブラブスラッシュが鱗で止められてしまいます!」
「え?ラブラブ?え?」
「おいティルナート!アルバスは戦闘以外アドリブ利かないんだからこんな場面でふざけるのはよせ!」
「その剣喋るのか!お前ら面白い物持ってるんだな」
しかし聞き捨てならない情報だ。STR極振りのアルバスと、現状最高火力の装備であるティルヴィングの組み合わせでも鱗を斬れない。それはつまり俺達の攻撃の大半をこいつは無視できるってことじゃないか?
「ハァ、これ絶対ダメなやつだって……」
「ライリーフ、諦めないでください。浄化のダメージは通ってるんです。ライリーフが作った水ならダメージを与えられる筈ですよ!」
「水……?え、アレを戦闘に使えと!?」
アレとはもちろんニ"ャーーーーーッ!?のことだ。ふむ、言われてみれば確かに説明文にあらゆる魔を払うとか書いてあったし効果あるかもな。
「何かあるのかライリーフ?」
「効くかどうかは分からないけどな」
ストレージからニ"ャーーーーーッ!?の入った小瓶を取り出し、未だ変化を続けるボスに向かって投げつける。
「グルルォォォォオオオ!?」(神ィィィアアアア!?)
「よっしゃ!効果ありだ!」
ニ"ャーーーーーッ!?の当たった部分から煙が上がりボスがのたうち回る。
「お!しかも当たった所の鱗まで消えてんじゃん!」
「これなら俺達の攻撃でもダメージを稼げそうだな」
「あ、ウォーヘッド悪い。俺スキルの反動でステータス下がっちまったからここからは撹乱1人で任せることになるわ」
「任せろ。そのアイテムのサポートがあるだけでも十分だからな」
「んふふ、それじゃボクも追加でサポートしてあげるね。死者穿つ黒杭の墓標」
「グルルォォォォオオオ!?」(アアアァァ死、破壊、再ビ我を繋ぐカ!?)
いつの間にか側に来ていたマルティさんの奥義により、ボスの体に特大の黒い杭が突き刺さり動きを完全に封じてしまった。長々と準備していただけあって凄い技だぜ!
「これ自体にダメージはないけど、杭が刺さってる間強制的にボクの使えるデバフを全種類付与するとっておきだ。そんなに長くは持たないから急いで攻撃した方がいいよ?」
「マルティさんサンキュー!」
「え、えげつねぇなこの攻撃」
俺はニ"ャーーーーーッ!?を取り出しひたすら投げつける。そう言えば名前叫びながら使うと威力上がるんだっけ?……やってみよう。
「ニ"ャーーーーーッ!?」
「グルルォオオオアアアア!?!?!?」(な、なんだこれは!なんなのだこれはァ!?!?!?)
「おっほ!いい威力!」
普通に投げた時と比べて5割増しのダメージ!こんな良い物を飯に使ったのは失敗だったな!
「はっ!せい!せりゃあ!!」
「ライリーフ、鱗なくなってもさっきより硬くて斬れないです。どうしましょ?」
げ、デバフ全種盛り&浄化でもさっきより硬いのかよ。アルバスは核に向かって攻撃を続けているが、一向に壊れる気配がない。ここはアルバスにも叫んでもらうしかないみたいだな
「アルバス、ニ"ャーーーーーッ!?と叫びながら攻撃しろ!」
「はぃ!?いきなり何を言ってるんだ君は!?」
「威力上がるからやってみろって!」
「そ、そんなバカなことあるわけないだろ!」
「嘘じゃねーし!ティルヴィングの説明文読んでみろって!」
「……うわ、本当だ。え、えっと……にゃーー?」
「ちっがぁう!!ニ"ャーーーーーッ!?だよ!ニ"ャーーーーーッ!?」
「にゃーー!」
「だからニ"ャーーーーーッ!?だってば!」
「ニャーーーーーッ!!」
「もっと驚きを加えて!」
「ニャーーーーッ!?」
「短い!もっと伸ばすんだ!」
「ニャーーーーーーッ!!」
「長すぎだ!キレをだせ!」
「ニャーーーーーッ!?」
「惜しい!ニ"ャーーーーーッ!?だ!」
「ニャーーーーーッ!?」
「ニ"ャーーーーーッ!?」
「ニャーーーーーッ!?」
「ニ"ャーーーーーッ!?」
「「ニ"ャーーーーーッ!?」」
「グルルォォォォオオオ!?!?」
……よし!核破壊完了だぜ!
酷いボス戦ですまない……