集う極振り勢.3
「グオオ!!!」
「くっ、なんて鋭い腕の振りなんだ!」
「俺達が鮭だったら間違いなく今のでやられてたな」
本当に今のは恐ろしい攻撃だった。一瞬、熊に狩られる哀れな鮭の気分を味わったぜ。
なんとかアルバス共々回避には成功したが、あの一撃があると思うとなかなか攻撃に移ることができない。
「そう言えばライリーフ、手品は手元に残ってるか?あるならゴーレムの時みたいにコアを抜き取れたりできるんじゃないか?」
「あ、その手があったか。アルバス、ナイスアイデアだぜ!」
ふふふ、この手品のスキルに常識なんて通用しないってことを再び見せつけてやろうじゃないの!取り出しますはこの泥団子。こんな物でもボスモンスターを倒せると信じて、いざ!
「手品の時間だオラァ!!」
カッ!と眩い光を放ちながらスキルが発動する。これは勝ったな!しかしこんな派手なエフェクトついてたっけ?
「グルルルル……?」
「……ありゃ?」
見れば俺の手にはストレージから取り出した泥団子がそのまま残っている。……うん、装備でステータスを補ってもDEXやLUKはいつもより低いので失敗することだって当然あるだろう。けど今失敗しちゃうか~。
「グオオ!!!」
「へぶぉ!?」
「ライリーフッ!!」
ぐぅぅ……もろに野性的な一撃を食らってしまった。だが今回はウォーキングデッドが発動してくれたおかげで死に戻らずに済んだぞ。い、今のはHP調整の為にわざと受けたってことにしておこう。
「ライリーフ!逃げろ!」
「え?ちょ!?何追撃モーションに移ってんだよこいつ!」
明らかにオーバキルな一撃を受けて吹き飛ばされた俺に対して、ボスはまさかの追撃を選択してきやがった!
LUKが低いせいで発動が不安定なウォーキングデッドには頼れないし、ここは出し惜しみせずに全力で回避だ!
「雷召嵐武!からの天翔天駆!!」
格好いいエフェクトを纏って華麗に回避!んー、逆境がないせいでHPが減ってもデメリット付きの雷召嵐武を使わないとステータスが上がらないってのはやっぱり辛いな。だが切り札を使わされ、STRとAGIが2倍になった今の俺なら攻撃を掻い潜って核を狙える。デメリットが発動する前に少しでもダメージ稼いでやる!
「――ッ!!」
空を勢い良く跳び回り、攻撃を避けるついでに反撃しながら核を狙える位置を目指す。お?攻撃の度にMPめっちゃ回復してるな。木刀の浄化吸収はMP回復効果だったかのか。これなら天翔天駆のMP消費にも耐えられるし、もうちょっとボスを翻弄してアルバスが攻撃できるように隙を作れるかもしれないな。
「アルバス!分かってるな!?」
「当然!」
茶番劇には対応できないのに戦闘ならアドリブ対応余裕なのな。しかし何故これでクソ雑魚メンタルになるのだろうか?
「っと、今はどうでもいいこと考えてる余裕はねぇ!クソ鎧、今スクラップにしてやるから覚悟しやがれ!」
「キキィィィ!!」
「ハッハー!悔しいか猿頭?お前の攻撃全然当たらないもんなぁ!?」
「グオオォォ!!!」
「うっへぃ!?熊頭め、反対側から援護に来るとか仲間思いじゃねーか。ま、ギリギリ当たんなかったけどな!」
くそ、やっぱり俺1人で跳び回っても決定的な隙を作るまでには至らない。
「ヒュー、こいつはまたどえらいモンスターと戦ってやがんな。俺にはサポートくらいしか出来そうにないが、助っ人はいるかライリーフ?」
「助っ人!?」
男の声だ。そして俺の知り合いみたいだが誰だ?くっ、ボスの攻撃を回避しながらじゃ声の主を確認できないな。だがありがたい。ちょうどこいつの気を散らせる役が後二人にもいたらな、と思っていた所だ。パーティにもちょうどあと1人分の空きがあるし手伝ってくれると言うなら是非もない。
「アルバス!その謎の助っ人をパーティに招待してくれ!」
「謎って……君達知り合いだろ」
「一応フレンドなんだけどな。よし、これで俺も攻撃して大丈夫だな?」
「はい、大丈夫です。ボスモンスターの撹乱、お願いしますね」
「任せとけ。俺のスピードとこの魔導式自動小銃にはもってこいの役割だからな」
ライフル?銃……ウォーヘッドか!?師匠に弟子入りしたら帝国に拉致られたと言ってたが、こっちに戻ってきていたのか!
ウォーヘッドさんはAGI担当。
主人公が色々おかしな物を作るせいでDEX担当のキャラのイメージが纏まらない。