集う極振り勢.1
「ダイヤさん、助かりました!でも何故ここに?」
「イベントモンスターからライリーフくんの鎧が発していた邪悪な気配と同じものを感じたの。もしかして、と思って一番気配を強く感じるここまで来たってわけ」
「なるほど。あ、パーティに招待しますね」
魔法少女のスキルか何かだろうか?説明された理由がいまいち分からない。分からないが、頼もしい助っ人であることに変わりはない!
「グルル……」
「はっはー!眷属蹴散らされて怒ったか?次はお前の番だぞクソ鎧!さ、ダイヤさん!やっちゃって下さい!」
「ごめんなさい、さっきのでMP使い果たしちゃったの。回復するまで少し時間をちょうだい!」
「……アルバス!全力で時間を稼ぐぞ!」
「言われなくても分かってるよ!」
ここに来るまでの間にも当然モンスターと戦闘はあるだろうし、そりゃあれだけド派手に魔法をぶっ放ったらMPなんて切れるわな!
「グルルアァァ!!」
「ちょ!?その巨体でなんて跳躍力してんだよ!」
攻めに出た俺とアルバスを迎撃するためにボスが動く。まさか俺達を押し潰す気か!?
「いや、空中に跳んだってことは……空歩だな!」
高く跳び上がったボスは更に跳躍した。そして高さが頂点に達すると体を上下反転させ空歩によって落下に勢いをつけ回転しながらまるで隕石のように俺達に向かって来た。
「そうくるか。ならば迎え撃ってやれ!アルバスホームランだ!!」
「無理だから!てか何その技!?あ!ズルいぞ!何1人で空中に逃げてるんだよ!?」
あんな攻撃まともに食らえるわけないからな。俺はCOOLに空へと逃げた。しかし怨嗟の骨鎧のMP回復がないと消費が凄いな。これじゃすぐにMPが空になってしまう。
「くっ!一か八かだ!迎え撃てばいいんだろ!?うおぉぉぉ!!天地断絶!!!」
おお!!自棄になったアルバスが必殺技っぽいのを使ってボスを迎撃してのけた!やっぱりあるじゃないか、アルバスホームラン!
「ギィヤァァァァァ!?!?!?」
しかも頭を2つも吹っ飛ばしてやがるじゃねぇの!
「ぜぇ……ぜぇ……は、はは。生きてる、僕は生きてるぞぉ!!」
「んだよアルバス!そんなのあるなら最初から使えよな」
「あれは奥の手だ!1日に1回しか使えない奥義なんだからな!ぐ、しかも今ので剣の耐久値が0に……」
「予備の剣くらい持ってるだろ?さっさと装備して追撃するぞ!」
「はぁ……こんなことならイベントの特効武器でも交換しておくんだった。予備の大剣じゃかなり攻撃力下がっちゃうんだよなぁ」
特効武器?そんなのあったのか。てかそんな良い物があるなら何故交換してこなかったし!
「おい、何で交換してこなかったんだよ?」
「え?だって特効ありきでもさっきまで使ってた大剣の方が強かったし……ティルナートって言う片手剣だったから僕のスタイルには合わなかったんだよ」
「ティル、ナート……?」
それってもしやティルナート・プロトの完成品だったりするのか!?なら、うちのティルナートにもこいつらに対する特効あるんじゃね……?
「おいアルバス、今のSTR教えろ」
「いきなりなんだよ?他人のステータスを聞くのはマナー違反だぞ」
「いいから早く教えろって!ボスが起き上がる前に!」
「わ、わかったよ!えっと、2061だよ……」
「二千!?どんだけやりこんでんだよ!?」
だがそれならティルヴィングの装備制限を余裕でクリアしている。この戦い、勝ったな!
「クックック、アルバスその剣しまえ。変わりに報酬を先払いでくれてやる」
「報酬?まさかその報酬を使って戦えって言うのか?」
「その通り!これこそがかつて技神が作り上げ、俺が魔改造した神域の大剣!神霊大剣・ティルヴィングだぜ!!」
「ッ!?い、いいのかライリーフ?これ、とんでもない性能してるんだけど……?」
「俺じゃ使えるようになるまでにどれだけ時間が掛かるか分からないからな。ティルナートも剣的に暇だって言ってたし、おもいっきり使ってやってくれ」
正直くれてやるには破格の報酬だとは思うが、今はこの戦いに勝つことが最優先だ。
「むにゃむにゃ……うん?私今装備されてます?ライリーフ、いきなりSTRマシマシになったのですか?」
「えーと、この剣喋るんだね?」
「誰!?ライリーフ!まさか勝手に私を売り払ったのですか!?いくら何でも酷すぎますって!」
「落ち着け、売ったんじゃなくてあげたんだ」
「より酷い!」
まぁ確かに酷いわな。武器とは言えティルナートにはちゃんと意志があるんだし、それを無視して取引するのはやっぱりダメか。
「な、なんかごめんね?君はライリーフといたかったのかな?」
「……む?そう聞かれるとなんか微妙ですね。扱い雑だし、私のこと太らせたし……ってよく見ればこの新マスターなかなかのイケメンじゃないですか!グッジョブですライリーフ!」
「ははは、おいティルナート。それは俺がイケメンじゃねぇって言いたいのか?ん?」
「それより今って戦闘中ですよね?新マスター、派手に暴れましょう!久しぶりの戦闘、ワクワクします!」
「よ、よろしくね。ティルナートちゃん?」
ティルナートめ、少し申し訳ない気分になった俺に謝れ!今のでおっぱいの感触のする鞘は永久に作られることがなくなったからな!
「グルルルル……」
「っと、さすがに雑談し過ぎたか」
見るとボスは起き上がり、龍の頭が忌々しげに傷口を睨んでいる。
斬り跳ばせたのは狼と貘の頭か。首下から胸にかけて斜めに大きな傷ができてるな。……ん?傷から見えるあの緑色の球体、リジェネスライムの核じゃん!そう言えばこれを埋め込んだから鎧が再生するようになったんだよな。壊せば再生もしなくなるか……?
「アルバス作戦変更だ。次は胸の核を狙うぞ」
「いいけど、それじゃせっかくダメージを与えた頭が回復してしまうんじゃないか?」
「あの核はリジェネスライムの物だ。壊せば再生しなくなるかもしれない」
「そう言うことか……ってその情報、もっと早く共有できなかったのか?」
「傷口見て今思い出したからな」
「君ってやつは本当に……」
普通ゲームで装備にどんな素材使ったかなんかいちいち記憶したりしないよな?え?するの?はぇ~、生産職ってマメなのな。
アイシャさんとマルティさん?
やることなくなったからダイヤさんと女子トークしてるよ。