装備を強化したら詰んだかもしれない.9
このサイズは完全に想定外だが、ここまで皆に付き合ってもらった以上やるっきゃねぇ!
「ええい、作戦通りで行くぞオラァ!」
「おっしゃ!ザコは俺らに任せとけ!」
「魔法の準備はできてる。いつでもいいよ」
「ナイスだフィーネ!それじゃ開戦といきますか。挨拶代わりに食らいな、サイクロントマホーク!!」
こいつはトマホークを投げてたら覚えた初の攻撃系アーツだ。取得条件が投擲術のレベルなのかAGIの数値なのかいまいちわからないが、割りと太い木だってスパスパ切れるんだぜ!え?何で今まで披露しなかったのかって?そりゃボス戦で使った方が格好いいからに決まってんじゃん!
風の力を纏ったトマホークは回転を加速させながら災厄の獣に向かって行く。俺が狙ったのは7つある頭の中心の龍の頭、その首下だ。真ん中だしドラゴンだしで分かりやすい。お前がリーダー格なんだろ?不意討ちで悪いが早々に沈め!
ギャイーン!!
「嘘ン!?」
軽く弾かれただと!?さすがにいい素材で作った鎧を基にしてるだけあるじゃねーの。
「うわ、ノーダメっぽいね」
「分かってたけど硬いなオイ!フィーネ、気にせずブッ放せ!!」
「おっけー。雷よ、降り注げ―ボルティックレイン―」
雷の雨が周囲の眷属に向けて降り注ぐ。おー、広範囲攻撃っていいな。使えたら便利そうだ。
「よし、俺達は離れるぞ!ティナ、バフ頼む!」
「任せてください!」
「グルルルル……」
ズシン、ズシンと重たい足音を響かせながらボスは走り出した。ちっ、ボスがライト達の方を向いている。魔法が当たってしまったみたいだな。
「おい、何処に行こうってんだ?テメェの相手は俺達だぞ!こっちを……向けッ!!」
追加のトマホークを投げつける。投擲術、体術、精密動作、超集中が合わさって、先ほどトマホークが命中した場所に寸分違わず命中した。一撃一撃は防げても、重ねて当てれば切れるよなぁ?
「グルルオォォォォォォォ!!!!」
「まだ無視するか……でもいいのかよ?投げたトマホークが1つだけなんて俺はいってないぜ?」
ギャリリリリリリリィ!!!!と音をたてて俺の投げたトマホークが続けて命中する。
「グルルルル……!」
「どうだ!サイクロントマホークの時間差8連撃だぜ!!」
「わざわざ両手にトマホークを4つずつ持ってやるより、順番に1つ1つ投げた方がいいんじゃないか……?」
「こっちの方が強そうだからいいんだよ!」
「強そうって……あ!そう言えばステータスの上がる剣装備してないじゃないか!」
「あ?バカ言うなよ。この背中に背負ってる物が見えねぇのか!」
「それじゃ意味ないだろ!?」
「何言ってんだ?装備はしてるんだから効果はあるだろ」
「鞘から抜かずに効果なんて出るわけないって!」
ははは、バカだなぁ。一応ステータスを見てみるか?ちゃんとステータスに数値がプラスされてるっての。
ステータス※補食吸収状態※
HP 10
MP 210
STR 4
VIT 1
INT 7
MND 18 +200
AGI 21 +50
DEX 43
LUK 181 +20
ほらな?ちゃんと装備のステータス強化分が表示されてる。剣を抜いたって変わるわけ……
ステータス(ブレイブハート)※補食吸収状態※
HP 10
MP 210
STR 4 (+50)
VIT 1
INT 7 (+50)
MND 18 +200(+50)
AGI 21 +50(+50)
DEX 43
LUK 181 +20(+50)
「……」
「おい、その顔はやっぱり」
「……サイクロントマホーク」
シュパン!!
「グルルアァァ!?」
「……」
「……ダメージ通るじゃないか」
「くそぉ!ロマン求めちゃダメだってのかよ!?」