装備を強化したら詰んだかもしれない.6
「アイシャさんが何故ここに?」
「ライったら1人で大きなひよこさんと戯れていたでしょ?羨ましくてすぐにメールをしたのだけどメールの機能が壊れてしまったみたいなの。だからずっとライのことを探していたのよ?でね、今日はこの街を探していたらそちらのお婆様が案内してくれたの!」
「そ、そうだったんですか」
相変わらず一度に話す分量の多い人だな。身ぶり手振りの度に揺れる2つの山に目が吸い寄せられてしまうぜ。えーと、つまり俺が鳥さんに拉致られた時のスクショが今の状況を引き起こした訳だ。グッジョブあの時の俺!おかげでまた素晴らしいものを拝めたぜ!
「それで、あの子達は何処に行けば会えるのかしら?」
「あー、あいつらもう巣立っちゃったんですよ。だから今から行ってもでっかい鳥さんが1羽いるだけなんです」
「そ、そんな!それじゃあ、ふわふわもこもこのひよこさん達には会えないのね……ねぇライ?お話だけでも聞かせてくれるかしら?」
「友達来るまでで良ければいいですよ」
「本当!?ありがとうライ!」
「!?」
か、体が埋まっただと!?なんて包容力なんだ!やっベーよ、もうボス戦とかどうでもよくなってきちゃったよ。ここに一生挟まれていたい。あぁ……天国ってこんなに近くにあったんだなぁ。
「あら?何か表示が出てきたわ?えっとハラスメン――」
「そぉい!!緊急エスケープッ!!!」
「きゃ!突然どうしたの!?」
あ、危ねぇ!こっちからの接触じゃなくても迸るリビドーを感知されるのかよ……!未来の技術、恐るべし。
「ちょ、ちょっと持病の発作が出ただけです。気にしないでください」
「そうなの?突然空中三回転ひねりが出るだなんて変わった病気なのね」
「俺、そんなに回ってたのか……」
アイシャさんに煉獄の虚島での話をしてあげたり、ティルナートがおっぱいに目覚めたりと楽しい時間を過ごしているとライト達が到着した。
「……おいライ?えらく楽しそうじゃねぇか?」
「ライト、それに皆も良く来てくれた。……実はお前達に頼みがあるんだ」
「真面目な顔してスルーすんなよ!?てか今回のイベント、お前が原因だろ!」
「あれぇ?何でバレてんの?」
「決勝戦に乱入してきたんだよ。お前の鎧そっくりのモンスターがな!」
うわ、マジかよ。そんな事が起きてたなら運営が緊急イベントなんて始めたのも納得だ。決勝戦に乱入したモンスター、それと関連付けてアドベントの時の悪ふざけがプレイヤー達にイベントの伏線だと思われちゃったんだろうな。ある意味完璧なタイミングだし。
「ちなみに優勝したのはボクね」
「誰このイケメン?」
「……僕のリアルの先輩だよ」
「へぇ、アルバスの先輩か。ん?てかお前なんかやつれてね?」
「んふふ……これまた良い組み合わせじゃん。君ぃ、ちょーっとボクの作品のモデルになってみない?大丈夫、マージンは弾むからさ?」
「モデル?」
「ッ!?受けちゃ駄目だライリーフ!心に深い傷を負うことになるぞ!」
いきなりなんだ?目がモンスターと戦ってる時よりマジだぞこいつ。
「腐腐、受けちゃ駄目……つまりアルバスが受けの方がいいんだね!この欲しがりさんめ」
「クソ、言葉の選択を間違えた!」
おっふ、作品てBL本かよ。そりゃアルバスも必死に止めてくる訳だぜ。
「ライリーフ、受けって何ですか?」
「お前が学習しなくていいことだよ」
「そうですか。あ、後で内側がおっぱいの感触の鞘を作ってくださいね?絶対ですよ?」
「そのうちな」
うーむ、ティルナートにいらんこと覚えさせてしまったかもしれない。
途中アイシャさんに表示されたメッセージはアイシャさんへの警告文です。
主人公は勘違いで至福の時間を自ら手放したのだ。