乱入者
前話の後書きに睡魔に負けて書けなかったおまけを追記しました。
あと前々話に土下座ストリームも……。
決勝戦の前に30分の休憩時間が挟まれたので、俺とアルバスさんはリリィ達のいる客席に移動することにした。
「ハァ……もうちょいだったんだけどなぁ」
「大剣の防御があと少し遅れてきたら僕の負けだったろうね」
「てかアルバスさんSTR特化の癖に俺の攻撃耐えられるとかおかしくね?」
「そこはほら、僕も一応トッププレイヤーだからね。選択出来る下級ジョブは一通りレベル最大まで育ててあるし、出て来るのが近接系のジョブばかりだからVITに割り振られることも多いんだよ」
「あー、単純にレベルの暴力って訳ですか」
「あとはこの防具、この前戦ったオークウルフの毛皮を使っててね。今の時点で作れる装備にしてはDEFがかなり高めなのも要因かな?」
「あっ!あの硬くてデカい狼か!」
オークウルフは俺とライとアルバスさんでダイヤさんを助けた時に戦ったモンスターだ。俺の攻撃を意に介さない程の防御力だったし納得だ。しかもライのLUKのお陰でドロップしたアイテム軒並み高品質だったもんなぁ。
ピピッ!ピピッ!
と、そんな事を考えていたらライからフレンドコールがかかってきた。
「ライ、どうかしたのか?」
『あー、ちょっとな。お前ってアルバスとフレンドだったりするか?伝言頼みたいんだけど』
「いいぜ?ちょうど隣にいるし」
『お、話が早くて助かるぜ。頼みがあるからイベント終わったら急いでファースまで来るように言っといてくれ。それじゃ!』
「あ、おい!……いったい何なんだ?」
「ライリーフからかい?」
「なんかアルバスさんに手伝ってほしいことがあるみたいですよ。イベント終わったら急いでファースまで来いって」
「うん?それくらい僕に直接言えば……あ、フレンドじゃないや」
それにしても、なんで俺達じゃなくてアルバスさんに頼むんだろ?
『さぁ!いよいよ決勝戦のお時間だぜぇ!』
『これでスプルド最強のプレイヤーが決定するんですね』
『最強の称号と賞金を手に入れるのは果たしてどちらのプレイヤーか!その凛とした雰囲気からは到底想像がつかない状態異常の使い手、マルティ!!!そして、巨大な大剣を自在に操り全ての対戦相手を粉砕してきたアルバス!!!!』
「うーん、いいねぇ。なかなかボク好みの見た目だ。アルバス君、ちょっと夏コミの主人公のモデルになってみる気とかないかな?」
「ひっ!今臀部に強烈な悪寒を感じたんだけど!?この感じ、まさか先輩……?」
「んー?ボクのことを先輩なんて呼ぶのは1人しかいないんだけど……腐腐、いやぁ世間って狭いものだね。あ、もしかしてその姿はボクの為に作ってくれたのかな?リアル×アバターとアバター×リアル、う~ん悩ましい!」
「うぐっ、そのおぞましい妄想止めてもらっていいですか!?」
まさかアルバスさんが腐のカリスマとの呼び声高い死神マルティさんの後輩だったなんて……。腐界に巻き込まれないよう今のうちに距離をとっておくか?いや、さっきの戦いを観られてるし手遅れかもしれない。
『おーい、もう始めていいか?いいよな?いいって言え!それじゃ全員で5からカウントダウンするぞ!』
5!!!!!!!
4!!!!!!!
3!!!!!!!
2!!!!!!!
1!!!!!!!
これから戦いが始まる、まさにその時だった。ダンッと何かが舞台の中央に降ってきた。
「え?何あれ?」
「ちょっ!乱入とかできるのか!?」
「あれ?なんか見覚えあるような……」
いきなりの乱入者に会場のプレイヤーがざわめく。
全身が骨で覆われ、赤黒いジェル状の物体が脈打つそれがゆっくりと起き上がる。そして―――
グルオォォォォォォッ!!!!!!
《WARNING!WARNING!》
《新たな災厄が確認されました》
《これにより全プレイヤーに緊急クエストが発令されます》
《災厄の種類……エラー。解析失敗》
《ユニークモンスターへの進化を確認》
《脅威度修正》
《緊急クエストからワールドクエストに移行します》
『だ、誰だ!?イベントにかまけて重要クエスト無視した馬鹿野郎はッ!!!!!!』
運営さん。それ、たぶん俺の悪友です。
しかもイベントガン無視してます。
次回からライリーフ視点に戻ります。
書き終わってから気がついたんですけど今日って13日の金曜日なんですね。
こんな不吉な日に産声をあげるとは、このボスキャラは作者の想像よりヤバいやつなのかもしれません。
今回出て来たのは本体ではなく眷属だったりするんですけどね!




