始まりの町のクエスト
いつも読んでくれて有難うございます。
誤字報告とかめっちゃ助かってます。
今回の話にはちょい下ネタ的要素が……いや、グロ要素が含まれていますのでご注意下さい。
俺は今、ひたすら荒れた土地を整地をしている。草を抜き、石を拾い、地を均す。誰も手伝ってはくれない。これは俺一人で成し遂げなくては意味がない。先はまだまだ長い。心が折れそうになるが、それでも手を止めるわけにはいかない。この先に、俺の求める物があると信じて。あぁでも、どうしてこんなことをするはめになってしまったのだろうか……。
時間は少し巻き戻り、昼休みの時間である。俺は何時ものように光介とだべりながら昼飯を食べていた。
「じゃあ今はファースにいるんだな?」
「おう。なんとか煉獄から生還してな」
「ん~、それじゃあ俺らがそっちに行くか。悠が動くとまた変なことに巻き込まれて合流出来なさそうだし」
「くっ、何も言い返せない!でもいいのか?リブレスでも色々やることとかあるだろ」
「この5日である程度クエストとかこなしたからいいんだよ!それに、俺らはがっつり攻略するってタイプでもないからな。あと、リブレスからアドベントまでは転移門を使って移動できるから悠を待つより速いんだよ」
ほほう?転移なんて出来るんだな。個人用の転移門とか研究者のジョブでなんとか作れないかな?
「ま、使えるのは冒険者ランクがCになってからで、同じ国に所属してる行ったことのある街限定なんだけどな」
「てことは光介達はもうCランクになってるってことか。スゲーな。俺なんてまだEランクだぞ?」
「普通にプレイしてれば冒険者ランクなんてすぐに上がるっての!スゲーのはお前の方だろ?なんだよ不滅の大怪鳥って!レベル3桁って!」
……言えない。その上雛達を変な進化に導いて☆9アイテムをお土産に貰っただなんて絶対に言えない。しかもそのアイテムを嫌がらせの為だけに使おうとしているなんて口が裂けても言ってはいけない!
「と、とりあえず俺は適当なクエストでも受けながら待ってればいいんだな?」
「……まだ何か隠してるなお前?まぁいいけどさ。とりあえず明日までに合流ってことで皆に伝えておくからな」
「う~い」
そんな訳で俺はライト達の到着をファースでクエストをこなしながら待つことになったのだった。
始まりの町・ファース。β時代のスタート地点で、最終イベントの舞台にもなったらしい。イベントボスが暴れまわった影響なのか、どこか寂れた印象を受ける。一応かつての名残で店やギルドや神殿も完備されてはいるが、どこもかしこも業務そっちのけで雑談とかしちゃってる。それも仕方ないのかもな。
ぶっちゃけ町とは名ばかりで、村と言った方が正しい。出歩くNPCも皆爺婆だし、プレイヤーも殆ど立ち寄らない。プレイヤーが来ない理由としてはモンスターのレベルの低さが原因だろう。アドベントの周辺より更に一回りも弱いのだ。当然取れるアイテムの利用価値も低い。プレイヤーの乱獲で価格がドン底まで下がったキックラビットの素材、それよりも安く取引されていると言えばそのショボさが分かるだろうか?1スタック売ってやっと100コルとか泣けてくるぜ。
「宿に久しぶりの客が来たって聞いたけど、アンタがそうだね?こんな辺鄙な町に何の用だい?」
ボケーっと町並みを眺めていると婆さんに話かけられた。やっぱり田舎クオリティで個人情報が拡散されているらしいな。恐ろしい。
「特に用って訳でもないんだけどさ。ちょっと空輸されて1番近くにあった人里がここだったから立ち寄ったんだよ」
「空輸、ねぇ?ヴィルゾーヴの奴が飛んでるのを見かけたんだが、まさかアレに乗って来たって言うのかい。命知らずな子だねぇ」
「俺だって好きでそんな真似した訳じゃないからな?……うん?」
「どうかしたのかい?」
「えっ、いや……何でもないっす」
鳥さんを呼び捨てとかこの婆さんいったい何者だ? 一応鑑定でもしておこうか。
「おや、レディの秘密を盗み見ようなんて随分と躾がなってない子だねぇ?」
「何故バレたし!?まだスキル発動すらしてないぞ!と言うかレディ……?」
「ふぇっふぇっふぇ、目の動きでバレバレじゃて。まぁ、アタシが魅力的過ぎるからねぇ?鑑定したくなる気持ちはわからなくもないさね。でも注意しておきな?人様に鑑定を掛けるのはマナー違反もいいところさ。場所によってはそれだけで投獄なんて場所もあるくらいだからねぇ」
へー、そうだったのか。この婆さんが魅力的かどうかは置いといて、今度から気をつけよっと。気づかないうちに犯罪犯してオレンジネームになんてなったら嫌だもんな。
「悪かったよ。鳥さんを呼び捨てにするような人がこんなとこにいるとは思わなかったからさ」
「うん、素直に謝れるとはいい子だね。ヴィルゾーヴはあれで顔が広い。世界中に知り合いがいるのさ。まぁ呼び捨てにするのはアタシくらいのもんだけどねぇ?ふぇっふぇっふぇ!」
変な婆さんと別れた俺はギルドにやって来た。おお、受付が美人でもなんでもないおばちゃんだ!やべっ睨まれた。
気をとり直して何か面白そうな依頼はないかな?おっと、サブジョブを冒険者に変えるのも忘れちゃいけないな。冒険者のジョブレベルが上がらないとランクを上げられないんだってさ。うわ、紙が全部日に焼けてる。いったいいつから貼られてるんだこの依頼達。
クエスト一覧
・プチマウスの討伐
・野菜の収穫
・家の屋根の修理
・犬の散歩
中身を見てもろくなのがないな。経験値も50しか貰えないとかショボすぎるだろ。
「お!これは中々の掘り出し物じゃないか?」
クエスト
《荒れ地の整備》
達成報酬 プレイヤーホーム
達成条件
・荒れ地の整備を完了する
※――意―※―
――は途―で―――せん―
下の方が掠れてよく読めないな。恐らくホームの設置場所はここになってしまうとかだろう。転移手段があるこのゲームならそこまでデメリットって訳でもないな。何よりホームが手に入れば豪華な宝箱(LL)を設置してアイテム集めにかなり余裕ができるのがありがたい。よし、このクエストを受けよう!
「すみません、このクエスト受けさせてください!」
「あら?本当にいいのかい?私らとしては大助かりなんだけど……かなりキツいクエストだよこれ。」
「ホームが貰えるんですよね?なら多少キツくても問題ないっすよ」
「そうかい?なら受理しておくよ。詳しい説明は神殿のフォル婆に聞いておくれ」
「フォル婆さんね、了解。そんじゃ行ってきまーす」
しかし神殿か。これはついでにグーヌートをおちょくるい機会だな。他の神様に1つずつ世界樹の果実を渡して、最後にグーヌートの前で俺が食す!完璧な作戦だぜ。
「すいませーん!クエスト受けて来たんですけどー!フォル婆って人はいますかー!」
「そんなに大声出さなくたって聞こえてるよ!……ってなんだアンタかい」
「うわ、フォル婆ってさっきの婆さんかよ」
「人の顔見てうわ、とは失礼な子だね。クエストを受けて来たんだって?なら名前くらい名乗ったらどうさね」
「ああ。ライリーフ・エイルターナーだ」
「……エイルターナー?いや、アンタはプレイヤーだったね?なら関係無いか……」
「ん?名前がどこかおかしかったか?」
「いんや。ちょっとした偶然さね。ライ坊には関係のないことさ。アタシの名前はフォル・トゥネル。この町ではフォル婆で通ってるからライ坊もそう呼んでおくれ」
「ふーん?てかライ坊って俺のことかよ!」
「ふぇっふぇっふぇ、アタシからしたら誰でも子供みたいなもんだからねぇ?坊や呼ばわりされたくなけりゃせめて女を知ってからでないといけないよ」
「どどどど、童貞ちゃうわ!」
嘘です。俺の息子は新品です。思わず見栄をはってしまったが、何が悲しくて婆さんにそんな事指摘されねばならないのか……。
「ふぇっふぇっふぇ、分かりやすい反応じゃのぉ。なんならアタシが相手になってあげようかい?」
「うぼぇっ!こ、こんな的確な精神攻撃は初めてだ。このババア、できる……!」
「喧嘩売ってんのかい?ディープキスで支払ってあげてもいいんだよ?」
「サーセン!調子乗りました!だから手をワキワキしながらキス顔で近づくのをやめてくれ!SAN値が!SAN値が底をついてしまうぅ!?」
目に焼き付いて、うっぷ……。
一応言っておきますけど、婆さんはヒロインじゃないですからね?本当ですよ!?
おまけ
煉獄の虚島シナリオの正規ルート
1.フィールドにて一定確率で入手可能なヴィルゾーヴの羽根系アイテムをゲットする。
2.アイテムを所持した状態で伝説級のモンスターに進化を果たしたヴィルゾーヴの子供と1時間決着をつけずに戦闘を続ける。(例、フェニックス、ロック鳥等)
3.ヴィルゾーヴの子供が羽根の力を感じ取り、ヴィルゾーヴと煉獄の虚島での生活を思い出す。
4.なんやかんやあって一緒に里帰り。
5.ヴィルゾーヴに娘さんをください!する。絶対勝てないからひたすら逃げるべし。
6.煉獄の虚島でのサバイバル生活を生き抜き伝説級のモンスターをテイム完了!マップの移動がスゲー捗る。
本来昨日書く予定だったおまけです。
主人公が本筋に戻ってくれたのが嬉しくて書き忘れていました。すまぬ……。