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ダンジョンクッキング



《ボスが討伐されました》

《街に転移しますか?YES/NO》


 なるほど、これは皆騙される訳だ。事前に情報聞いてなければ即YES押して帰ってるわ。マッドゴーレム戦はなかなかに疲れたからな。


「こんな酷いボス戦は初めてです……」

「ライ、お前の戦い方絶対おかしいわ……」

「待て、俺だって攻撃のつもりでクリーン使った訳じゃないからな?泥水綺麗にすれば核の位置が分かると思っただけだからな!?」

「それでもモンスター相手にクリーン使おうとはならないだろ?」

「勝てたんだから良しとしましょう。それよりここからが問題よ」

「転移せずに先に進む?」

「んー。探索し終わる頃には結構いい時間になってそうだし、仮に死に戻っても回復アイテム以外は宝箱に詰めてればデスペナ気にしないで済むか……」

「進むのはいいけど休憩したい。ちょっと疲れた」

「そうね。ここなら他のモンスターも来ないし休憩しましょうか」

「ライ、マッドゴーレム強化した罰。美味しいご飯作って」

「俺らの分も頼んだ!」

「おう、屋台で出してたのより豪華なの作ってやんよ!」


 罰とあってはしょーがないな。☆5スパイスも使ってしまおう。俺が今持ってる食材は……少ないな。リャパリャパと兎肉、後は小麦粉くらいか。せっかくだしリャパリャパ炒め以外の物をつくりたい。


「なぁ、なんか食材系アイテム余ってたらくれないか?できれば野菜とか欲しい」

「芋ならあるぞ」

「私は一口リンゴくらいしか持ってないわ」

「トレントの樹液って使えるっすかね?」

「マルギーネの実をあげる」

「うぅ、私は何も持ってないです……すみません」

「あぁ、いいっていいって。これだけあれば十分さ」


 皆から集めたアイテムはこんな感じだ



アイテム


ホクル芋 ☆

スプルド内で最も一般的な芋


一口リンゴ ☆

一口で丸ごと食べることができるリンゴ

森に自生している


マルギーネの実 ☆

マルギーネの木から採れる実

生で食べると辛いが火を通すと甘くなる


トレントの樹液 ☆☆

トレント種から採れる樹液

さっぱりした甘さと仄かに森の香りがする

コーティング剤の原料にもなる



 説明文的にマルギーネの実は玉ねぎみたいな物らしい。ふむ、この材料で作れるものと言えばアレしかないな。完成品を想像しただけで涎が止まらん!さっさと作ってしまおう。






「意外だわ。ライ君て料理作りなれてるのね。てっきりスキルの補助で作ってるんだと思ってたわ」

「作りなれてるだけじゃないぞ。調理実習の時はライを巡って水面下で争奪戦が起きるくらいに料理上手だったりする」

「いきなり☆5アイテムを作れた訳はそう言う事なのね」

「このゲーム、スキルになくてもリアルで出来ることは大体できますもんね」

「いやーどうかな?俺はLUKの補正が大きいんじゃないかと思ってる」

「知らない内に完璧なタイミングで火加減してたり、とか?」

「そうそうそんな感じ!」

「ちょっと一緒に行動しただけで色々おかしな事態に巻き込まれた訳だし、無いとは言いきれないわね」

「あんなにLUK高いのに微妙に運悪いっすよね!」

「俺らからすれば良い事でも、ライからしてみるとハードモード突入案件だったりするのがまたなんとも………ぷっくく、腹筋にわるい!」

「もー!ライリーフさんは一生懸命やってるんですから、笑っちゃだめですよライトさん!」

「いーのいーの、あいつの方からネタにしてきてるんだしな。本気で嫌だったらゲーム初日にキャラ作り直してるって」

「チュートリアルで1週間とか、あたしなら投げ出してるっす」






 よし、後は隠し味にすりおろした一口リンゴとトレントの樹液を加えてっと………。クックック、素晴らしい!今まで作ってきた中でも上位にランクインする出来栄えだ。あとはこれを弱火でじっくりと煮詰めていこう。その間に他の料理も作ってしまおう。


「じーっ」

「ん?どうしたフィーネ」

「手伝う。早く食べたい」

「それは有難いけど、いいのか?これって一応罰なんだろ?」

「そんな美味しそうな匂いを嗅ぎながら待ってる方が辛い」

「あはは、確かに。そうだな……じゃあこれを焼いてくれるか?俺はリャパリャパ炒めを作るから」

「何枚くらい?」

「とりあえず1人2枚として12枚だな。足らなかったら追加で焼けばいいだろ」

「わかった。1人10枚で焼く」

「どんだけ食べる気だよ!?」

「ここではどれだけ食べても大丈夫。だからいっぱい食べる」

「そ、そうか。材料足りるかな……?」


 フィーネが手伝ってくれたおかげで予定より早く作り終えることができた。リアルで夕食は済ませてあるが、これはヤバい。頬がだらしなく緩んでしまう。フィーネも早く食べたくてウズウズしているようだし、さっさと盛り付けて皆を呼ぼう。


「おーい、出来たぞー!」

「待ってました!さぁ早く皿を寄越せ!」

「ふわぁ!すごくいい匂いですね!」

「!?ま、またとんでもない物作ったのね……」

「えっ?あ、また鑑定してねぇや」



アイテム


リャパリャパ炒め ☆☆

効果

空腹度10%回復

シンプルに塩で味付けされたリャパリャパ炒め

しゃきしゃきした食感が心地いい


おいしいナン ★★★

効果

空腹度15%回復 極低確率で状態異常回復 

おいしいナン

隠し味にトレントの樹液が使われていてほのかに甘い



ライリーフ特製スパイシーカレー PM

効果

空腹度完全回復 90分間STR、MND上昇・大

90分間スタミナ消費軽減・中

ライリーフ・エイルターナーが作り出した特製カレー

兎肉と野菜の旨味を特製ブレンドスパイスの刺激的な辛さが引き立てる魅惑の一品

食べると活力がモリモリ湧いてくる




「うぉ!?予想の3倍くらいやべー!なんだこの効果!」

「んなことどうでもいいからさっさと食おうぜ!もう待ちきれねーよ!」

「細かいことは食べ終わってから考えるべき。もう私は止まらない!」

「あ、フィーネ!皆で頂きますしなきゃダメなんだから!」

「はぁ……とりあえず食べましょうか?これじゃ話が進まないもの」

「それじゃ皆で」

「「「「「「頂きます!」」」」」」

「うぉー!食べるっすよぉ!」

「おかわり」

「早っ!?」

「うっは!超うめーなこれ!」

「ん、辛いですね。でもすごく美味しいです!」

「辛っ!あ"ー、でも止まんねぇ!ナンもうめぇ!」

「さすがレア度PMね、こんなに美味しいカレーを食べたの初めてよ」

「おかわり」

「だから早いって!?」

「カレーが美味しすぎるのがいけない」




 ワイワイガヤガヤと俺達はカレーを食べ続けた。気がつくと大鍋いっぱいに作った筈のカレーは僅かしか残っていない。あと2食分くらいだろうか?ナンとリャパリャパ炒めも残りは少ないな。どれ、そろそろストレージに仕舞って探索にしようかね。なんて考えた時だった。見覚えのある紙が俺の手元に落ちてきた。


「いやー満足だわ。ってどうしたんだそれ?」

「なんか落ちてきた。髑髏の時のと同じだしたぶんダンジョンマスターからだと思う」

「一緒にカレー食べたかったんすかね?」

「いやいやそれはないだろ?」

「まぁ読んでみろよ。案外当たってるかもしれないぞ」

「そうだな。どれ?お、さっきより読みやすいな」



『ダンジョンニ留マッテクレテイル貴方達ニハ申シ訳無イノダガ、現在ソノ部屋ヨリ先ハ改装中故ニ進ム事は出来ないのだ。あのお喋りが期待させるような事を言ってしまい本当に申し訳無い。私としても心苦しく思っている。後一月もすれば解放できると思うのでそれまで待って欲しい。ただで帰すつもりはない。あ、これは許さんとかそう言うのじゃなくておもてなしとしての意味であってだな!……つまり、お土産をあげるからそれで我慢して欲しいのだ!勝手なことを言っているのは十分承知の上だが考えてみて欲しい。

P.S.カレー余ってたら私にも貰えると嬉しいです』



「なんだって?」

「お土産あげるから帰れってさ。ここから先改装工事してて進めないらしい。あとカレー食いたいって」

「おお!あたしの予想的中っすね!」

「準備中なら仕方ないわね。正直今は戦う気分でもなくなっちゃったし」

「わかります。ステータスの上昇は惜しいんですけど、この幸せな気持ちのまま今日は寝たいです」

「同感。ダンジョンマスターにもお裾分けしてあげるといい」

「そうだな。材料あれば俺はまた作れるし分けてやるか」

 そう言った瞬間、カレーとナンとリャパリャパ炒めが器ごと消え去りアナウンスが聞こえた。



《アイテム、初級ダンジョンコアを手に入れた!》

《アイテム、月刊ダンジョン通信 春の植物モンスター特集号を手に入れた!》

《街に転移します》




こうして俺達のダンジョン探索は終了したのだ。

ダンジョンマスターよ、食器はいいから鍋は返せ!

ダンジョンマスターポンコツ説


今回はおまけなしですまない


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ダンジョンコア?!?!
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