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ぶれるプレイスタイル

感想くれた方ありがとうございます。

☆のつもりで⭐を使ってました(汗

特に深い意味はありませんが修正しました。

 しくったぜ。物を作れば後は売るだけ、なんて考えが甘過ぎた。皿も無ければ箸やフォークも買っていない。これでどうやって売る気だったんだ俺!もう所持金330コルしかないぞ!?屋台の貸し出し期間は1日だし、今からフィールドに出て金を稼か?でもキックラビットじゃ金にならないしなぁ……


「あら、いい匂いね?屋台でリャパリャパ炒めを出しているなんて初めて見たわ。1つ貰えるかしら?」

「え!?あ、す、すいません、実は食器類を買い忘れてしまって……売りたくても売れないんです」

「なら味見だけでもさせてくれない?こんなにいい匂いなのに食べられないなんてあんまりだわ!味見をして美味しかったら良いこと教えてあげるから、ね?」

「箸やフォークも無いんで手掴みになりますよ……?」

「構わないわよ、別にお貴族様って訳でもないもの」


 そう言って女性はリャパリャパ炒めを摘まんで食べた。言葉の言い回し的にNPCかな?アイコンが消えてるとプレイヤーかどうか見分けるのに時間がかかるな。それにしてもこの人。さっきから黙ってしまっているが、口に合わなかったのか?俺はかなり美味しいと思ったんだけど。この世界に住むNPCと、現代っ子たる俺達プレイヤーでは味覚が大きく違うのかもしれないな。


「貴方、これ、どうやって作ったの……?」

「そんなに不味かったですか?普通に炒めただけなんですけど……」

「逆よ!こんなに美味しいリャパリャパ炒めを食べたのは初めてだわ!凄い拘りね。この味付けにするために、調味料にお金を使って食器を買えなかったのね?」


 大絶賛である。心配して損した。けどお客さん、それ拾った葉っぱで作ってるから原価0なんだぜ?言い出し難いから尊敬の眼差しを向けないでくれ。


「いや、あの、それの味付けに使われてるのは自家製のスパイスだけでして。お金がないのとは無関係です」

「嘘!?自家製ってことは、スパイスリーフ……?まさかそれだけでここまでの味に仕上げるなんて。料理して売るより、そのままスパイスを売った方が良かったんじゃない?」

「あはは、実は加工用の道具を買い揃えるための資金集めに屋台を出したんですよ。食器類を買い忘れたと気がついたのもついさっきでして。そうだ、美味しかったなら良いことってのを教えてくださいよ」

「ああ、そうだったわね。食器類を買い揃えたいならプレイヤーの露店で失敗作を安く買えるわよ。木皿10枚で200コルなんて値段で売っていたりするの」

「200コル……くっ、フォーク買えるか?」

「貴方、そんなに懐が寂しいの?」

「フライパンと貸し屋台で使っちゃって残り330コルですね」

「呆れた……いいわ、大皿を持ってくるから待っていて。今作ってある分全部買い取ってあげる」

「おお、貴女が神か……!」

「その代わり、スパイスを売り出したら安くして頂戴ね?」

「もちろんですとも!」




 女神様のお陰でなんとかなった。どこぞの戦神にも見習ってもらいたい。フライパンいっぱいに作ったリャパリャパ炒めは1200コルで売れた。2000コルも払ってくれようとしていたが、皿を持ち込みな上大量購入なので、と言って値下げしたのだ。恩には報いねばなるまいよ。プレイヤーの露店で食器類を買い揃えれば屋台が再開できるが、あの大袈裟な反応だとリャパリャパとスパイスリーフが足りなくなるかもしれない。ちょっとフィールドに出て足しておくか。




 此方に向かってくるキックラビットを倒しながらリャパリャパとスパイスリーフを拾った。流石に2スタックずつは集め過ぎたかもしれない。街に戻るとちょうど昼時らしく、先程屋台を出していた時よりも人通りが多い。これは稼ぎ時だぜ!


「さぁさぁ!寄ってらっしゃい見てらっしゃい!特製スパイスを使ったリャパリャパ炒めだよー!一度食べたらやみつきになること間違いなし!野菜だけじゃ物足りない?そう言わずに食べてみな!肉なんか無くったって満足できる一品さ!」

 まぁ俺が食べる分には兎肉入れるんだけどね。数が無いししかたないよな?


「おう坊主、1つくれ」

「毎度あり!100コルね。食べ終わったら食器はそこに置いてくれ」

「んむ!?こいつは美味い!酒のあてにも良さそうだ。坊主、夜までやってるか?」

「それは売れ行き次第だな。スパイスリーフの加工もしなきゃならないし」

「そうか……うーむ、仲間連中にも食わせてやりたいんだがなぁ」

「自前の大皿持ってきてくれれば山盛りで1500コルでいいぞ」

「本当か!すぐに持ってくる!」


 売れ行きはすこぶる順調だ。なんだか大皿を持った主婦っぽい人達がやたら多いのは女神様が広めてくれたからだろうか?お陰でフライパンが1つでは注文に追いつかない程だ。後でデカイ中華鍋でも買おう。中華鍋、売ってるよね?



 その後、夕方になる前に準備していたスパイスが切れてしまったので閉店となった。現在の所持金は98730コル。たったの半日でこんなに稼げてしまうとは……。とりあえず、屋台を返して金があるうちに道具を買い揃えてしまおう。買い物が終わったら、生産所でスパイスリーフをありったけ加工してしまおう。稼げる時に稼がないとな!






 生産所の貸し部屋は一時間100コルで借りることができる。初心者用の物ばかりだが、生産に必要な物が一通り揃っているので便利だ。とりあえず五時間分の値段を払っておこう。スパイスリーフの数が多いからな。


 研究を使って発見した方法を試していく。どんな味になるかも書かれていたので、中でも良さそうな物を10種類選んで量産した。加工が終わり味が決まったら、粉にして小さなビンに入れて完成だ!




アイテム


自家製スパイス ☆☆☆

スパイスリーフを加工して作られたスパイス


自家製スパイス ☆☆☆☆

スパイスリーフを加工して作られたスパイス


自家製スパイス ☆☆☆☆☆

スパイスリーフを加工して作られたスパイス



 完成したスパイスはどれも説明が同じだったのだが、レア度が違った。10種の内訳は上から順番に5つ、3つ、2つとなっている。光介から今手に入る多くのアイテムは☆か☆☆で、☆☆☆だとレア的なことを言われてた気がするんだが、作る分には違ったみたいだな。


 予想より早く作業が終わってしまったので残り2時間もある。空腹度もいい感じに減っているし、完成したスパイスでリャパリャパ炒めを作ってみるか。屋台で出していたのは☆☆☆のスパイスだ。☆☆☆☆☆のスパイスで作ったらどれだけ美味いのか楽しみだ。サクッと作っていざ実食!


「んぉ!?辛っ、けど美味い!」


 奥深い辛さの中から旨味が溢れてくるようだ。辛いのはそこまで得意じゃないのだが、それでも箸が止まらない。あぁ……何故今この場に炊きたてのご飯が無いのかっ!一緒に掻き込むことができないのが恨めしい。それでも箸は止まらない。汗だくになりながら、皿が空になるまで夢中で頬張った。


「ふーぅ、美味かったぁ……」

 レア度が高いだけでこんなにも違うのか。兎肉入れるの忘れてたのに満足感がスゲー。まだ1種類で作っているのにこれなのだ。スパイスの本領である組み合わせて使った時を考えると涎が止まらない。じゅるり……、売るのは☆☆☆のスパイスだけにしておいた方がいいかもしれないな。今の時点で好評なのだ。☆☆☆☆☆のスパイスなんて売り出したら、それこそスパイスを売るだけのゲームになりかねない。自重せねば。



 さて、まだ時間が余ってる訳だが何をしよう。適正ジョブに就いてなくても、アイテムを加工することはできる。ちょっと装備の更新にチャレンジしてみようか?昼間に集めたキックラビットの素材があるし、レア素材を使う時の為に練習は必要だろう。道具の使い方も覚えておきたいしな。どれどれ?この道具が毛皮を鞣すためのもので、こっちが……………








 残り時間あと10分くらいかこれ以上手直しするには時間が足りない、けど延長するのは無しだな。そろそろリアルで夕食の時間だし、宿に行ってログアウトしないと。

 では諸君、見てくれたまえ。これが完成した装備だ!



装備


ふわふわならびっとがんとれっと ★★

DEF+5 耐久値100/100

キックラビットの毛皮で作られたガントレット

ふわふわな手触りが魅力的


ふわふわならびっとぐりーぶ ★★

DEF+5 耐久値100/100

キックラビットの毛皮で作られたグリーヴ

ふわふわな手触りが魅力的


ふわふわならびっとまんと ★★

DEF+10 耐久値120/120

キックラビットの毛皮で作られたフード付きのマント

ふわふわな手触りが魅力的





めっさファンシーになったんだけど着けなきゃダメ?

☆と★の違いは元々ゲーム内に登録されていたアイテムかどうかです。☆がゲーム内に存在するアイテム。★がプレイヤーの行動で新たに登録されたアイテムです。どちらも一度作ることが出来ればレシピに登録されてジョブスキル等で簡易作成ができるようになります。

また、プレイヤーメイドで特殊な装備、アイテムになった場合は★の代わりにPMと表記されて、レシピに登録されないプレイヤー版ユニークとなります。


おまけ

スパイスリーフについて

主にコーデル王国(アドベントのある国)内に広く自生する植物。加工の仕方によって様々な味になる。各家庭で独自の加工方があり、親から子へと代々受け継がれている。

一流の料理人はスパイスリーフの組み合わせだけで極上の美食を作り出すとか。

研究者をサブジョブに持っている料理人は、主人公と同じように全ての加工方を知っている。しかし自分の料理の根幹となるスパイスリーフの加工を秘匿する者は多く、弟子にすら教えない場合もある程。

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[一言] 巨乳の嬢ちゃんに高値で売るべし!
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