チュートリアルで詰んだかもしれない.20
チュートリアルラストです!
「あり得ないわ、本当に2つとも使えないなんて……」
「いやー申し訳ない。習得方法教えてくれればすぐに取ってきますよ?」
「それじゃ遅いのよ!あぁ、研究成果を明日の学会で発表しなきゃいけないのに……全部あんたが遅れたせいなんだから!」
うーむ、確かに遅れたのは悪いと思う。けどさ、3日程度でなんとかなるような作業なら前もって終わらせることも出来たんじゃないか?ヒルクさんだって研究者のジョブを持ってるみたいだし。
この部屋の惨状をみるに、片付けがめんどくさいとかそんな理由でクエストを発注したんじゃなかろうか?
「今回は諦めて次の機会に発表じゃだめなんですか?」
「…………」
「何故目を反らす」
「…………」ダッ!
「何故逃げる!」
なんとか捕まえて理由を聞き出した。
ヒルクさんはその昔存在していたと言うスキルオーブを復活させる研究をしていたらしい。完成すればオーブに封じたスキルを取得できる画期的な物なのだとか。どうにか古い文献から理論を解明して、後は実証実験をするのみ!といったところで事件がおきたのだ。
なんと幼なじみである親友が結婚してしまったのだ!これに焦りを覚えたヒルクさんは一旦研究をストップ。彼氏ゲットのために街へと繰り出したのだった。
しかし成果は芳しくない。声をかけられないわけではないが、ビビっと来るものがなかったとか。
そうこうしているうちに一年が経過してしまう。
毎月行われている学会にはついぞ参加せずにいたヒルクさん。ついに出資者の怒りを買ってしまったのだ!
次の学会にてキチンと成果を発表するように、でなければこれまで出資した分の金は返してもらう。そう言い渡されたヒルクさんはまだ余裕だった。何せあとは物を作って試すだけ。ここまでできてれば余裕っしょ!とまた街へと繰り出した。
そして1週間程前、さーてそろそろ資料でもまとめようかしら?と思い立ったヒルクさん。部屋の惨状を目にして青ざめる。この汚部屋の中から資料を見つけださねばならないのか?と。片付けが致命的に下手なヒルクさんは咄嗟に思い付く。そう、冒険者に頼めばいいじゃない!思い立ったが吉日とばかりに冒険者ギルドへと急ぎ依頼を出したのだった。
まだ1週間あるし冒険者が来てから作業すれば間に合うわ!そんなことを言いながら街へと繰り出した。で、学会1日前の今に至る。
「自業自得じゃねぇか!」
「だ、だって!」
「だってじゃありませんバカちんが!研究成果の発表を1年も放置するようなやつに期限も書かれてないクエストの遅れを怒られて申し訳なくなった俺の気持ちを返せ!そんなだから彼氏できねーんだよ、バーカバーカ!」
「ば、バカって言った方がバカなんだからー!アホー!マヌケー!オタンコナスー!」
ギャーギャーやいのやいのと罵り合うこと実に30分。まったく無駄な時間を過ごしたものだ。だがその甲斐あってか名案が浮かんだ。俺にも彼女にもプラスになる実に素晴らしい案がな!
「ハァ…ハァ…やめよう、不毛だ」
「フゥ…フゥ…そ、そうね」
「実は俺にいい考えが浮かんでな、上手くいけばお互いに有益なことだ」
「いきなりなによ。まさか、あんたが彼氏になるとでも……?」
「そっちじゃない!」
「こっちから願い下げよ!」
「この…!まぁいい。実験、資料がなくてもできるのか?」
「それは、まぁ、できなくはないけど……」
「なら今からやるぞ」
「えっ、でも実験用の生物がいないわよ?」
「安心しな、条件付きで俺がモルモットになってやるよ」
ヒルクさんの研究していたスキルオーブ。それはオーブにスキル習得に足る経験値を封じ込めるものだ。その性質上、元となるスキルを習得している者から経験値を抽出しなければならない。経験値を抽出されたスキルのレベルはその分当然下がる。つまり実用化されたとしてもかなり高価な物になる筈だ。
なので俺は実用化の前の今、実験だから仕方なく、ヒルクさんの持っているスキルの中から欲しいスキルを全て覚えるまで付き合ってあげようと思う。
俺ってばなんて優しいのかしら。データは沢山あるに越したことはないもんね!
「さぁどうだ?ヒルクさんは実験と実証ができて資料も片付く。俺は成功すればスキルが増えてウハウハ、実に素晴らしいとおもわないかね?」
「ぐっ、確かに……。で、でもそんなに沢山スキル持っていかれると困るって言うか……」
「知り合いに公務員の男性が「交渉成立ね、早速実験開始よ!」
ふ、勝ったな。衛兵って公務員みたいなものだよな?バルザさんには生け贄になってもらおう。おっさんだし妻子持ちじゃないといいんだが。
なに、まだ「知り合いが」までしか言っていない。最悪紹介の件ははぐらかそう。
実験は過酷を極めた。何度も失敗を繰り返し、どんどんスキルレベルが下がっていくヒルクさんは涙目だ。それでも学会に間に合わせるためにとひたすらに実験を続けた。
日も完全に落ちきった頃に漸く初めて成功した。オーブの質、込める経験値、それらを記録して再度違うスキルで実験を行う。
空がうっすらと白み始めた頃、ついに成功の法則を解明した!
ヒルクさんは喜んだ。これで間に合う!と。
俺も喜んだ。これでスキルがウハウハや!と。さぁ、ご覧あれオーブの力で増えた俺のスキルを!
name ライリーフ・エイルターナー
種族 人種 Lv1
ジョブ 研究者 Lv6→Lv10 4up!
ステータス
HP 10
MP 170→200
STR 3
VIT 1
INT 9→10 1up!
MND 8
AGI 7
DEX 14→15 1up!
LUK 576→580 +20 2up!(称号効果により更に+2)
残りステータスポイント8
スキル
体術Lv6 投擲術Lv8 集中Lv18
精密動作Lv7 解体Lv3 採取Lv14
採掘Lv1 身体制御Lv4 探知Lv1
疲労軽減Lv5 受け身Lv1 登攀Lv1
逆境Lv4 モンスター言語・兎Lv1 手加減Lv1
回避Lv1 予測Lv1 見切りLv1
毒耐性Lv1 空歩Lv1 連撃Lv1
剛力Lv1 天昇天駆Lv- 雷召嵐武Lv-
生活魔法Lv1 鑑定Lv7 識別Lv5
気絶耐性Lv1 夜目Lv1 修理Lv1
調薬Lv1 魔力感知Lv1 魔力制御Lv1
古代言語Lv2 調理Lv1 睡眠耐性Lv1
ジョブスキル
研究
レポート
装備
初心者のナイフ
初心者の上着
初心者のズボン
初心者の靴
幸運の証
称号
【再生の兆し】【幸運の訪れ】【無謀な挑戦者】
【ウォーキング・デッド】【世界と共に歩む者】【空脚】
【連脚】【剛脚】【蹴り兎の天敵】
【嵐脚無双】【戦神の試練を越えし者】
いやー、スキルを10個も貰えるなんて良いことはするものである。てかなんでジョブレベル上がったんだ?研究の手伝いしたからか?ジョブに合った行動をするとレベルが上がり安いとは聞いてたけどここまでとはな。
調理と睡眠耐性は自前でゲットしたものだ。オーブを加工中のヒルクさんに夜食を作って上げたら生えてた。
他にもレベルが上がってるスキルがあるが、それは部屋中に散らばった資料を整理した為だ。関係ない資料がやたらと多くて手間取ったぞ。
なんにせよ、これでクエストクリアかな?
「間に合った……間に合ったよぉ……!」
「あぁ、ハイハイ泣くな泣くな!これから学会なんだろ?自分の発表の番に寝ないようにしろよな」
「ぐすっ……これでも研究者の端くれよ、二徹三徹くらい余裕なんだから!」
「あぁ、それで気絶耐性持ってるのか」
「研究者の必須スキルよ!ありがたく思いなさい!」
それから俺は研究者のジョブスキルについて、ヒルクさんに教えて貰ってからギルドへ向かった。1週間かかってしまったがこれでチュートリアルクリアだ。歩きながらこれまでのことを振り返る。ふざけんな!と何度も言いたくなった。いや、実際言ったか。
ランダムでキャラを作ったら運特化。リジェネスライムとの長い戦い。ボス兎との出会いに、戦神のクソみたいな試練。
特に後半の2つなんて昨日今日のことなのにやたら懐かしく感じるぜ。ふふ、おかしいよな?
おっとギルドに着いたか。中に入り受付の様子をうかがう。ラッキー、誰も並んでないや。
「すみません、クエストの報告にきました」
「はい、確認いたしますね」
これで晴れてチュートリアルクリアだ!明日からは何をしようか?晴れやかな気分になった今の俺にとって、グーヌートへのカチコミは優先度が低い。いつかはっ倒す予定だけどな。
そうだな、ダンジョンでお宝をゲットしまくるのも良いかもしれない。俺程LUKの高いやつはいないだろうし、さぞ珍しいアイテムがゲットできるだろう。
「ちょ……で…か?」
それとも光介のパーティに合流してワイワイいいながらエリアボスの攻略でも目指すかな?まだ次の街へと通じる道は封鎖されたままだ。βのスタート地点だった町への道はもう解放されてるみたいだけどな。
「ちょっと!聞いてるんですか!」
「うぇっ!?あぁ、すいません。これで晴れてギルドに登録ってことでいいんですよね?」
「はぁ…やっぱり聞いてませんでしたね?クエスト、終わってないですよ」
「えっ?」
「蹴り兎の腿肉が1つ足りません」
「バカな!」
嘘だろ?80匹近く狩った筈だぞ!? 慌ててクエスト覧を開いてみる。
《登録クエスト》
《蹴り兎の腿肉の納品》
蹴り兎の腿肉 9/10
《森の薬草採取》
薬草 20/20 達成!
《ヒルクの実験》
ヒルクの実験を手伝う 達成!
ほんまや……。
LUK高すぎてレアドロップばかり出ていたらしい。解体のレベルが上がっていれば数も揃えられた筈だ。グーヌートのせいでレベルが上げられなかった影響がこんなところにでるなんて……。
おのれグーヌート、許すまじ! やはり最優先はグーヌートを倒すことだ!待ってろよ、俺は必ずお前の元へたどり着いてみせるからな!
「早くあと1つ持ってきてくださいね?」
「あ、ハイ」
この後めちゃくちゃ兎を狩った。
ちゃんと続きますからね?
ですが次の話の前に設定とか書く予定です。
なので増えたポイントの内訳とか気にしてはいけない!
妖怪1足りないにめげずにキックラビットを狩り終えた主人公のステータス
name ライリーフ・エイルターナー
種族 人種 Lv1→2 1up!
ジョブ 研究者 Lv10→13 3up!
ステータス
HP 10
MP 200
STR 3
VIT 1
INT 10
MND 8
AGI 7→10
DEX 15→16
LUK 580→588 4(+4)up! +20
残りステータスポイント21
スキル
体術Lv7 投擲術Lv10 集中Lv19
精密動作Lv7 解体Lv7 採取Lv14
採掘Lv1 身体制御Lv6 探知Lv3
疲労軽減Lv6 受け身Lv2 登攀Lv1
逆境Lv8 モンスター言語Lv1 手加減Lv1
回避Lv4 予測Lv2 見切りLv3
毒耐性Lv1 空歩Lv2 連撃Lv3
剛力Lv4 天昇天駆Lv- 雷召嵐武Lv-
生活魔法Lv1 鑑定Lv7 識別Lv5
気絶耐性Lv4 夜目Lv1 修理Lv1
調薬Lv1 魔力感知Lv2 魔力制御Lv1
古代言語Lv2 調理Lv1 睡眠耐性Lv2
ジョブスキル
研究
レポート
装備
初心者のナイフ
初心者の上着
初心者のズボン
初心者の靴
幸運の証
称号
【再生の兆し】【幸運の訪れ】【無謀な挑戦者】
【ウォーキング・デッド】【世界と共に歩む者】【空脚】
【連脚】【剛脚】【蹴り兎の天敵】
【嵐脚無双】【戦神の試練を越えし者】