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チュートリアルで詰んだかもしれない.19

 so cool、so coolだ俺。ふ、ふふ、ふふふふふ。よろしい。これは挑戦状だな?このやたらとレアリティの高いインテリアで戦神の首を叩き斬ってやればいいんだな?

 そのためには魔改造が必要だ。チュートリアルが終わったら暫く生産系のジョブを育てよう。今のジョブも諸に生産系だしな。技神レーレイ、だったか?後で文句言われても面白くないので先に許可貰っとこう。


「神父様神父様、技神レーレイ様の像ってどれですか?」

「レーレイ様の像でしたら右から2番目の像ですよ」

「アザっす!」


 技神レーレイの像は、眼鏡をかけた知的ロリが片手で本を抱え、もう片方の手で鍛冶の道具を持った姿をしていた。戦神の件で懲りてないのかって?知らん!奴にはインテリアの前に屈する未来を届けてやらねばならんのだ!それに連続で何か起きるほど俺の主人公力は高くないと思うのよ。

(レーレイ様レーレイ様、ちょっと戦神の野郎が録な報酬寄越してこなかったので、貴女の作品を魔改造して復讐したいと思います。作品を弄られることへのクレームがありましたら、俺にアイテムを送りつけてきた戦神の野郎にお願いします。)

《ん。おっけーおっけー。楽しい改造を期待してるね》



…………。


「神父様、聞きたいことがあるんですけど」

「なんでしょうか?」

「ここの神様って暇してるの?」

「そうですなぁ。だいたい2回に1回は御言葉を返して下さるので、暇なのかもしれませんなぁ」

 なるほど。ちょっと顔出しただけで加護が貰えるでしょうとか言ってくるわけだわ。







 新たな目標を胸に俺はギルドへと向かった。戦神の試練なんざ所詮オマケだ。本来の目的であるチュートリアルのクリアを目指さねば!強がりじゃないからな?いやほんとに。


「どうなってるのよまったく!」


 ギルドに入ると何やら揉めている女性の声が聞こえてきた。

プレイヤーだろうか?アイコンが消えてしまったせいで判断がつかない。

「お、落ち着いて下さいヒルクさん!こちらでも現在確認が取れていない状況でしてぇ……ギルドのクエストを受けてから1度も見掛けていないのですぅ……」

「もうクエストを受けたって連絡が来てから3日も経っているのよ!私の研究が進まないじゃないの!」

「プレイヤーの方でしたのでクエストを放置しているとも思えないのですがぁ……」

 酷いやつもいたものだな。クエストを受けながら、それを無視して3日もほったらかしにするなんて。あ、でもリアルの用事とかあったらしゃーないか。反省反省。ん?なんで受付嬢はこちらを見ているんだ?


「い、いました!あの人!あの人ですよぉ!」

「えっ!俺!?」


 バカな!俺がクエストを受けたのは昨日じゃないか!聞こえてきた会話からしてクエストをブッチした野郎は少なくとも3日前にここを訪れていた筈だ。俺はその頃リジェネスライムとの死闘を演じていた。まさか俺をスケープゴートにしようってのか!?


「もう!クエストを受けたならちゃんと来なさいよ!遅れるにしても連絡くらい入れるのが筋ってもんでしょ!」

「待ってくれ、俺がここで登録クエストを受けたのは昨日だ!3日前はまだこの街に着いてすらいなかった!」

「いいえ、確かに3日前に此方に来ていました!」


おのれ受付嬢、まだ言うか!何が何でも俺を犯人に仕立てあげるつもりだな!いいぜ……そう言うことならこっちにも考えってものが「ちょっといいか?」


何だ、いきなり。今から叔父さん直伝の逃走術を披露しようってところだったのに。


「お前の言ってる昨日って、もしかしてリアルでのことか?」

「は?当たり前だろ。それ以外に時間なん、て……」

「……気づいたみたいだな」

「……ハイ」


 やらかした。そうだよ、ゲーム内時間ってものがあったじゃないか。現実の8時間でゲーム内の1日が過ぎる。その事をすっかり忘れていた。


「ほらやっぱり!あんたのせいで研究が遅れてるんだからね!」

「サーセン……」

「ふん!わかればいいわ!ただし研究が遅れた迷惑料として予定してた作業の倍はやってもらうわよ!いいわね?返事!」

「イエスマム!」

「それじゃ早速行くわよ!」

「え、俺まだクエストの報告が……」

「私のとまとめてすればいいの!」


言うが早いか俺の襟首掴んでさっさか移動し始めた。くっ、俺に非があるとは言えなんて強引な!ふむ?しかし力強いな。ステータスで腕力も決まるとは言え、女性の細腕に片手でズルズル引きずられるとは思ってもみなかった。あ、声かけてくれたプレイヤーに挨拶できてないじゃん。今度あっても顔覚えてる自信ないぞ俺。






 一軒の家の前で漸く止まった。どうやら目的地に着いたらしい。まさかあのままずっと引きずられる事になろうとは。

耐久無限の初心者シリーズじゃなかったら修理が必要なところだったぞ!


「さっさと入りなさい。あ、汚れはキチンと落とすのよ!」

「アイサー」


 手で全身叩いて砂埃を落とす。こんなもんかな?


「あんた、生活魔法も使えないの?」

「スキルにはないっす」


どうやら叩いて落とした程度では満足してくれなかったみたいだ。

しかし生活魔法ね?

俺にも使えるのかしら?

スキルに魔力関係の物が1つもないこの俺にも。


「……しかたないわね、私が引きずって汚しちゃった訳だし今回だけ特別サービスでクリーンを掛けてあげるわ」

「どうせなら生活魔法の使い方を教えてほしいっす」

「いやよめんどくさい。じっとしてて。クリーン!」

「おお……!」


 装備がまるで新品に戻ったみたいだ。地味にすごいぞ生活魔法!後で機会を見て覚えよっと。


「ほら!ぼーっと突っ立ってないで早く入る!」

「うっす」




 家の中はそれはそれは散らかっていた。なんて言っていいのやら。いや、ズバリ言ってしまいましょう。足の踏み場所もない汚部屋である。加えて床一面に広がっているものは研究資料やらレポートやらなので、下手に触ると怒られかねない。若い女性の部屋に連れ込まれて二人っきりだってのに、ロマンスの欠片も感じられない残念さだ。


「随分と失礼なこと考えてくれるじゃない?」


ひぇっ、ナチュラルに心を読まれた!?読心スキルでも持っているのだろうかこの独身。


「次にアホなこと考えたら殴るわよ?」

「サーセン」

「まったく……出会いさえあれば余裕で結婚までいけるっての」

「…………」

「何よ!私には無理だって言うの!?」

「何も言ってないっす!」




「ん、んん!とりあえず、あんたはそこの資料に鑑定と識別を掛けて種類ごとに纏めてちょうだい」


 一通り文句を言った後、ブルーになって泣き出したヒルクさんを誉めちぎって立ち直らせ今に至る。ふーむ、鑑定と識別ね?そんなもの持ってないんだけどどうしましょ?


「先生、鑑定と識別を持ってなかったらどうすればいいですか?」

「はぁ!?あんたジョブは研究者の筈でしょ?何で持ってないのよ!」

「研究者だと使えるんですか?」

「逆よ、鑑定と識別がないと研究者になれないの!研究者のジョブスキルは、鑑定と識別がないと意味ないんだからね!」


なんてこった!ここにきて驚愕の事実!俺のジョブが詰んでいた!





別に使ってなかったしいいんだけどな。

チュートリアルは次回で最後の予定です


おまけ情報

シークレットクエスト・戦神からの試練について、主人公が正規ルートに進まないみたいなので本来の最終報酬やら何やらを開示します。


発生条件について

ネームドモンスター、又はユニークモンスターとの戦闘に敗れていて、まだそのモンスターが討伐されていない状態で戦神グーヌートの像に祈りを捧げる


獲得したジョブと称号について

稀にグーヌートからおつかいを頼まれるとあるが、キーアイテム(戦神の○○)を所持しているとプレイヤーのゲーム進行度によってチェーンクエストが発生する。クリアするとジョブ、称号が変化する。

最終的にゲーム内でも最強クラスの能力を持ったシークレットジョブ・戦神の化身と称号【グーヌートの化身】をゲットできる。


シークレットジョブ・戦神の化身について

戦神の使徒と同様にジョブレベルは1で最大

メインジョブにしかセットできない。

メインジョブにセットしている間、経験値は戦神グーヌートに捧げられる。

ジョブレベルアップによる能力上昇は存在しない代わりに、プレイヤーがMaster(レベル最大)してきた戦闘系ジョブのスキルを全て使える。

あらゆる武器の使用にボーナスが発生する。


称号【グーヌートの化身】について

特殊なスキル【神格顕現】を獲得、セットスキルに登録しなくても使えるようになる。


スキル【神格顕現】について

メインジョブが○○の化身の時のみ使用可能

使用するとステータスとスキルが対応する神のものと同じになる。

効果時間は使用するまでに捧げられた経験値1000につき1秒。

1度使用するとそれまでに捧げた経験値はリセットされる。

リキャストタイムは24時間。




エンドコンテンツみたいなものです。

スキルの説明からわかる通り他の神様のクエストもあります。

ただし発生条件はグーヌートのものとは違い、戦闘以外の達成条件もあったりします。

チートになり損ねた主人公の向かう先は作者にもわかりません



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― 新着の感想 ―
[一言] 先生!レーレイ様の使徒になりたいです!
[一言] 最後にギャグで終わります?
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