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世界樹の恵み

流石だぜバルバトス……。

まさかサーバーを巻き込んで逝くとは恐れ入ったよ。

「しっかしデカいな! こいつだけスケール間違えてるだろ」

(世界樹ですからね。これでも小さいくらいなんですよ?)

「ああ知ってる知ってる、この十倍はありそうなの見たことあるし」

(まあ! なんて羨ましい!)


 世界樹の麓には、ポテトモンスターの家が立ち並んでいて賑やかだった。何処から素材を集めたのか気になって鑑定してみた所、純世界樹製の小屋と出たので軽く目眩がした。芋の癖に随分豪華な住まいじゃねーか、簡素な掘っ建て小屋の癖して一軒で数千万はするぞこれ。


「芋なら地面に潜って寝ればいいだろうに……」

(ああ、家のことですか? 地面に潜って寝ると芽が出て育ってしまうんですよ)

「芋だもんなぁ」


 ソラ忍は地中に潜んでいたけど、あれは寝てないからセーフなのか? それとも既に芽が出てるから気にしてない? ポテトモンスターの生態は未だ謎に包まれている。ま、解明するつもりはさらさらないけどな!


「おっ、採取ポイントじゃん!」

(世界樹には他にも採取ポイントがございますが、ご案内致しましょうか?)

「マジで? 頼むわ」


 ちゃんとした採取ポイント初体験がまさか世界樹になるとはな。ん? マンドラゴラの草むらとダンジョンの壁? あれはレアポイントだからノーカンだ。

 えーっと、世界樹は木だから使うのは斧だな。そーれ、カコーン! カコーン! カコーン!

 どれどれ、何がゲットできたかなっと。



アイテム


世界樹の小枝 ☆☆☆☆

世界樹の枝の先っちょ

小さくても秘められた力は強大


世界樹の若葉 ☆☆☆☆☆

新たに芽吹いた世界樹の葉

生命力が満ちている


マナ結晶 ☆☆☆☆☆☆

世界樹によって浄化された魔力が結晶化した物

宝石としての価値も高い


世界樹の樹皮 ☆☆☆☆☆

世界樹の表面を覆う樹皮の一部

並大抵の衝撃ではびくともしない



 流石は世界樹、最低ランクでも☆☆☆☆ってスゲーな。まあ鳥さん(ヴィルゾーヴ)の巣で貰ったことあるから分かってはいたんだけどさ。

 この中だと若葉とマナ結晶が初ゲットになるな。若葉はポーションに使うとして、マナ結晶はアクセサリーに使えばいいかな? あ、魔力の塊ってことは純魔結晶の上位互換かもしれないな。となると銃が強化できるけど……銃は今の時点で頭一つ抜けた性能した物が作れるし、出来れば他の物が作りたい。とは言え今の所持数はたったの一つ、何を作るにしても他の採取ポイントを巡って数が揃ったらだな。


「んじゃ、次のポイント行ってみようか!」

(はい、こちらです)


 採取ポイントを求めて巨大な世界樹の周りをぐるっと一周! なんと12ヵ所もポイントがあったので、レアアイテムを大量にゲットできた。残念ながらレア採取ポイントは見つけられなかったが、それでも十分すぎる成果だろう。


「ふっふっふ、これは世界樹で一式装備が作れるな」

(それは素晴らしいです! 世界樹を擁するダンジョンのマスターに相応しい装いですわ!)

(おーい、旦那ぁ! これ! これ見てくだせぇよ!)

「ん? お帰りノクティス。何見つけて来たんだ?」

(これ! これでさぁ!)

「こ、これは!?」

(まあ……!)


 ノクティスが持ってきた物、それはなんと世界樹の果実だった! しかも三つも!


「でかしたノクティス! またこいつを味わえるとは思わなかったぜ!」

(驚くのは早いですぜ旦那。なんとこの実、上の方にまだまだ沢山あるんでさぁ!)

「マジでか!? 季節限定で量も少ないって鳥さん(ヴィルゾーヴ)が言ってた気がするんだけど……これもダンジョンと一体化した影響なのか? まあいい、ノクティスよ! とりあえず回収できそうな世界樹の果実は全て集めてしまえい!」

(合点承知! ヒャッハー!)

(あの、ダンジョンマスター様? 出来れば私達ポテトモンスターにも幾つか分けて欲しいのですが……)

「何で? 自分達で収穫すりゃいいじゃん」

(お恥ずかしながら、私達ポテトモンスターでは世界樹の上部まで辿り着けないのです)

「ああ、芋だもんな。木登りは……できてもこの大きさだと途中で力尽きるか」

(私、巫女になった時よりその存在を確認しておりまして、ずっと食べてみたかったのです!)

「それ、巫女としてどうなの?」

(世界樹は特に気にしていないようなので、おそらくアリかと)

「心広いな、世界樹」


 クイーン曰く、実を全回収させようとしている俺に対しても世界樹は怒っていないとのこと。有難い話ではあるが、貰ってばっかりだとさすがに気が引けるので、ストレージの中から世界樹の栄養になりそうな物を探して貢がせてもらおう。


「んー、ろくな物がないな。ファフニールの素材なんていらないだろうし、それ以外となるとレア度低すぎて申し訳ない」

(何をお探しになっているんです?)

「ちょっと世界樹へのお礼の品をな。木が喜びそうな物がなかなか見つからないんだわこれが」

(お礼の品、ですか。それは確かに悩みますね……むむ!? 世界樹から要望が届きました!)

「マジで?」

(マジです! ダンジョンポイントかダンジョンコアがいいとのことです!)


 ダンジョンポイントにダンジョンコア? そんなんでいいってんなら別に構わないけど、ここ俺じゃ干渉できないし……あ、中からなら干渉できるのね。うわ、ほぼ世界樹専用メニューじゃん。んでもって、中にいると外側に干渉できないのか。これ、外側の成長と中の成長は別物と考えた方がよさそうだな。

 さて、世界樹はダンジョンポイントを御所望って話だが、それはレベルアップに使おうって事であってるよな? 解放されてるのこの項目だけだし。次のレベルアップまで、一、十、百、千、万、十万、百万……初っぱなからめっちゃ桁多いな。それに対して俺の所持DPは……16200。ハッ、焼石に水だな!

 ダンジョンをカスタマイズする事を楽しみにしていたノクティス達には悪いが、とりあえず全ポイントぶち込む。そしてダンジョンコアは……お、ここでポイントに変えられるのか。手持ちの初級ダンジョンコア五つで五万ポイントになったから、初級ダンジョンコア一つで一万か。集めんの大変だなぁ。集めるけどさ。


「またポイント貯まったら来るからよろしくな!」

(気にしないでいつでも採取に来るといい、的なことを世界樹は考えています)

「なんかふわっとしてるな」

(なにぶんまだ生まれて間もないので、よほど強い想いでもない限りふわっとしたニュアンスになってしまうのです)

「なるほど……」


 めっちゃ欲しかったんだな、DPとコア。

 ちゃんと集めてやるから待ってろよ?





 その後、ノクティスが集めてきた世界樹の果実をポテトモンスター達に配って俺達はダンジョンを退散した。

 世界樹の果実の匂いにつられていつの間にかウル、スク、ヴェルが音もなく忍び寄って来ていたのはビビったね。あいつらの目、マジで俺を狩ろうとしてたもん。テイムは成功している筈なのに野性的で困るぜ。

 早く食わせろと三匹からの圧が凄いので、ラクス、ルクス、セレネを探してファース内を歩いていた時だった。


ピコン!

《シークレットクエスト、地神の試練を達成しました!》


「はぁ!?」

(どしたのー?)

(見つけたー?)

(くだもの早くー)

「ええいまとわりつくな鬱陶しい! もう先にお前らだけで食べてなさい!」

(((わーい!)))

「ノクティス、お前もラクス達探して一緒に食ってていいぞ」

(分かりやしたー)


 さて、これでちょっと冷静になれる。

 また新しい神の試練だと? 地神って言えばアイシャさん並みの戦闘力(おっぱい)を誇る神様だ。接触した覚えはないが何故に今?


「ん?」


 首を傾げると、ちょうど横に神殿があった。神殿の中にいなくてもクエスト出せるんすね……。

 シークレットクエストが発生してしまったなら仕方がない、とりあえずクエストの詳しい内容を地神から教えてもらわないと……んん!? よく考えたら達成しましたとか言ってなかったか!? 俺、いつの間にクエスト受けてたんだ!?


「疑問は尽きないが、まずは地神の所に行くか」


 気はまったく進まないが、俺はしかたなく神殿の中へと入るのだった。

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