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ポテトの挟撃

モンスター

父帝闘(ポテイト)男爵 Lv84


 激闘の最中(さなか)名前だけは鑑定出来たがなんだこのポテトは!? 色々言いたいことはあるがとりあえず――


「男爵なのか皇帝なのかはっきりしやがれ!」

(ぬぅ、貴様言ってはならんことを……!)

「ぐっ……!」


 ポテト自身も気にしていたのか攻撃の激しさが増した。

 これまで戦ってきたモンスター達と比べてもかなりレベルの高いこのポテト男爵は、近接戦闘では蔦製のステッキを使った杖術を使い、中~遠距離では魔法まで使いこなす強敵だ。その強敵相手に何故俺がソロで応戦できているのかと言えば、答えは俺がダンジョンマスターで奴がダンジョン産のモンスターだからだ。

 何が言いたいのかと言うと攻撃が全てフレンドリーファイア扱いになるので、両者共にHPは減少しないんだわこれが。そうじゃなきゃ俺は少なくとも10回は殺されてるね。


(ええい、まだこのダンジョンの支配を諦めんのか!)

「諦めるも何もここは俺のダンジョンだっての!」


 あと俺は支配者ってより管理者だ。

 しかしどうするかな。安い挑発に乗って戦闘を開始してみたはいいが、お互いにダメージがないとなると決着の着けようがない。いや、あっちからすれば圧勝してる筈なのに戦闘が続いてるってことになるんだろうけどさ。

 どちらかが諦めれば即座にこの無駄な戦闘は終了する。だがどちらも諦める気がないのだから戦闘は続く訳で……男爵の戦闘能力の方が圧倒的に高い現状勝利することは難しい。


(我々ポテトの楽園を奪わせてなどなるものか! フレイムランス!)

「熱ッ!? ポテトが炎使ってんじゃねーよ!」

(ほう? ならば次は水をくれてやろう。メルトスプラッシュ!)

「ガボボボボ! げほっ、ぶはっ!」


 これは一度撤退してノクティス連れてくるべきか? けどそれはこのポテトに敗北したことを自分から認める行為だ。どうにかして撤退せずにノクティスを連れてくる為には……ダンジョンマスターとしての、このダンジョンの管理者としての力を振るうしかないだろう。

 それにはダンジョンの奥へと通じる通路の前に陣取る男爵を退かさないといけない……って訳でもないけど、この流れで転移して終了ってのはいくらなんでも味気無い。もう暫く男爵攻略に勤しもう。予定もなくて暇だったし。


「うらぁ! サイクロントマホーク!」

(ふん、効かぬわ!)


 チッ、俺の使える唯一の攻撃アーツをなんともまあ簡単に打ち落としてくれるじゃねーの。


(ククッ、分かっているぞダンジョンマスター。貴様はこの通路の奥へと向かい、コンソールを操り私を無力化するつもりであろうが……私を押し退ける力がなければそれは叶わんぞ?)

「んにゃろう……知っててそこに陣取ってやがったのか!」

(そして今、退路もなくなったぞ?)

「あん?」

(おいおい、皇帝陛下。俺を呼ぶから何事かと思えば……はんッ、このガキがダンジョンマスターってやつかよ)

(その通りだ首領(ドン)・フライド。この男を排除すれば我等のポテト帝国は永遠となるのだ!)



モンスター

首領(ドン)・フライド Lv66

ポテト界の首領

手にするポテトガンは連射もできる優れ物

口に咥えている葉巻のような物はフライドポテトだ!



 次はマフィア風のポテトだと? このポテトモンスター達は何故こうもバリエーション豊かなんだ!


(ははッ、そいつはいいな! てな訳だ、俺達の楽園の為に死んでくれやダンジョンマスター)

「!?」


 首領は俺の反応など一切気にかけず、ポテトガンをガンガン放ってきた。

 高速で飛来するホクホク熱々のポテトは、想像を遥かに越える威力で顔面に着弾! その衝撃で俺は強制的にバク転させられた。


「熱チィ!? そして痛ぇ!」

(あ? 少なくとも頭を吹き飛ばしたと思ったんだがな。存外頑丈じゃねーか)

(首領・フライド、不本意ながらダンジョンマスターと我等は同じ陣営と見なされている。故に、互いにダメージを与えることが出来ないのだ)

(はあ? ちょっと待てや皇帝陛下、それじゃどうやっても排除出来ねぇだろうが)

(手ならある。このダンジョンに足を踏み入れる気が失せるよう、そう……心が折れるまで無様に地を這わせ続けてやればよいのだ)

(ははッ、皇帝陛下は容赦ないなァ!)


 こ、この野郎共……随分と物騒な相談を楽しげにするじゃねぇか。


「心を折る? 上等だ、なら逆にそっちの心を折ってやんよ」

(ふっ、私と一対一の時ですらまともに攻撃を当てられなかった貴様がか? 支配者として決定的に力が不足している貴様に、私を屈服させることなと不可能であると知れ!)

「さっきも言ったが俺は支配者じゃなくて管理者で……あれ? 言ったっけ? まあそれはともかく、だ。暇だったから付き合ってやったが、こうも物騒な話を目の前でされたんじゃ無粋だとか味気無いとか言ってる余裕もなくなるってもんだろ?」

(いきなり何の話だおい?)

(……まさか!? 首領、奴の動きを封じろ! 早く!)

「それじゃ、また数分後にでも会おうぜポテト共」

(逃がさん! ソーンプリズン!)

(ガトリングポテト!)


 いやはや危ない危ない。首領があと一瞬でも早く動いていたならば、ガトリングポテトの衝撃で動きを封じられた所をソーンプリズンで捕らえられていただろう。


「でもまあ、ここに転移した以上もうポテト共に勝ち目はない」


 何度も言うが俺はこのダンジョンの支配者ではなく管理者だ。あの男爵がここの支配者になりたいって言うんなら、別にそれでも構わない。ただし、うちのノクティスを倒せるのなら、と言う条件付きでだけどな。


「ここはボス部屋から目と鼻の先、なのに追って来ないってことは……そうか。ここに入れなかったからあそこで俺を待つしかなかったってことね」


 ポテト達はダンジョン内で発生したイレギュラーなモンスターだ。だからダンジョンのモンスターとしてシステムに認識はされていても、ダンジョンのボスモンスターとして君臨していても、正式なボスモンスターでない以上、この部屋へと足を踏み入れる権利だけは手にする事が出来なかったのだろう。


「さて、ノクティスは配置できるかな……っと」


 部屋の中心にある球体に触れ、配置されているボスモンスターを変更する。

 今のボスモンスターは当然のように父帝闘男爵。その名前をタップすると、現在ボスモンスターとして設定可能なモンスター達が表示された。


「ふぅ……ノクティスもルクスもラクスも問題なく設定できるみたいだな」


 これで駄目だったりしたらダンジョンを作った意味がなくなる所だったぜ。

 それはそれとして、男爵や首領の他にもボス級のポテトがいるらしい。本当にどんだけポテトの層が厚いんだか……。


「まあ今はいいや。今はとりあえず、ノクティスをボスにして奴らの教育をしてもらおう」

おまけ

・ポテト達の身長

スマッシュポテト 約140cm

シャーマンポテト 約130cm

ソラ忍 約110cm

父帝闘男爵 164cm

首領・フライド 156cm

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