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豪華な夕食と胃薬

 さーて今日は何を作ろうか。ネタ方向に振り切った装備の案を考えてたから献立一切考えてないんだよね。

 鶏肉が残ってたし唐揚げにでもするか? あー、でも今から下味付け始めると結構時間掛かっちゃうし親子丼辺りにしておくか。


「うん? 姉さーん、このでっかい荷物何ー?」

「さっき届いた悠二宛の荷物。クール便だったから台所に置いといたの」

「ふーん?」


 運んだなら仕舞うところまでやっておいて欲しかったが、姉さんだもんな。受け取った荷物を玄関に放置しなかっただけ有難いと思っておこう。

 俺宛の荷物ってことは何かの懸賞が当たったってことになるが、例によっていつ送った物か分からない。何が入っているにせよ、さっさと開封して冷蔵庫に仕舞わなきゃな。


「何が出るかなーっと……へあ!?」


 こ、こいつは伊勢海老じゃねーか! しかも超特大サイズの物が三尾もだと!?


「どしたの? あ、海老じゃん。晩御飯はこれで何か作って」

「姉ちゃん反応軽くね? じゃなくて今からこれを捌けってのか!? 俺伊勢海老なんて料理したことないし、ちゃんとレシピ調べてから休みの日にでもゆっくり食おうぜ」

「私は基本毎日休日だから今日で問題ないよね?」

「なんて羨ましい屁理屈!」

「それにやっぱり鮮度って大切だと思うの」

「え? ほあっ!?」


 姉さんが指さす方向には今まさに箱から脱出しようと試みる元気な伊勢海老達の姿があるではないか!


「こいつらさっきまで仮死状態だったのか!」

「絞めなきゃ冷蔵庫に仕舞えないんだし、そのまま流れで料理すべきよね?」

「ぐぬぬ、もう親子丼食べる気満々の口になってたのに……分かったよ! 料理してやんよ!」

「わーい」

「……せめてもう少し喜びの感情込めてくれてもいいんじゃね?」

「疲れるから嫌」


 さいですか……。

 しっかしメニューはどうすべきだろうか。冷蔵庫の中を眺めてみたが、鍋にするには具材の量も種類も心許ない。シンプルにグリルするだけってのも芸がないし……うーむ。


「悠二、海老逃げてる」

「ぬわ、しまった!」


 考えるのはこいつらを絞めてからにした方が良さそうだ まったく、活きが良すぎるのも考え物だぜ!






 ふぅ……巨大伊勢海老、お前さん達は中々の強敵だったがゲーム内で様々なモンスターを解体してきた俺の前には無力だったな。一匹はトマトクリームパスタに、もう一匹はオーブン焼きにしてやったぜ! 最後に残った一匹は明日にでも光介の家にお裾分け(ドナドナ)しよう。


「はぁ……うおっ伊勢海老!? いったいどうしたんだこれ?」

「あ、父さんお疲れ。海老は俺が懸賞で当てた奴だよ」

「ああいつものか。しかしお前は本当によく懸賞に当たるよな、今月は何回目だ?」

「んー……三回目かな?」

「ほんとえげつない運してるな……」

「片っ端から応募してれば割りと当たるもんだよ。それより冷める前に食べちゃおうぜ」


 いただきまーす。おっ、なんだよこのパスタめちゃくちゃ美味いじゃん。即興で作ったとは思えない程だ。


「あ~美味いな~。悩んでる事がどうでもよくなるくらい美味い」

「ん? 父さん仕事でなんかあったの?」

「えっ? あっ、いや、仕事とはまるで関係無いんだが……学生時代を思い出すような状況が近々やって来そうで胃が痛くなりそうなだけなんだ」

「それはそれで気になるんだけど」

「まあ大したことじゃないから気にするな。いやー本当に美味いなぁ」


 そうかー。まさか父さんが胃が痛くなるような学生時代を過ごしていたなんてな。今まで全然知らなかったぜ。

 やっぱりあれかな? 明明星(ルシフェル)なんて名前してるからイジられまくったのかな? でも名前イジりは小さい頃からされてるだろうし、胃が痛いには繋がらないか……。う~ん気になる。


「そうだ悠二、今日はアケノちゃんにどんな事教えてあげたの?」

「うぐっ……」

「なんだよ姉さん。気になるなら一緒にやればいいだろ? どうせ暇なんだからさー」

「気が向いたらやるわよ? いいからアケノちゃんがどうしてたか教えて」

「いいけど、俺今日はアケノさんとは会えてないんだよね。合流する前にアケノさんが他のプレイヤー助けて、そのままそっちと合流しちゃったんたよ」

「そうなんだ。アケノちゃんがねぇ?」

「……」

「他のプレイヤーに絡まれてた女性プレイヤー助けて、その助けた女性プレイヤーにお願いされてって流れだったらしいからしゃーないよ。絡んでた奴らがフィールドまでつけてくるかもしれないしな」

「そう。女性プレイヤーをねぇ?」


 うわっ、姉さんが部屋の隅に追い詰められたネズミを見る時の猫みたいな表情してる。これはアケノさん暫くこの件で姉さんにからかわれ続けることになるな。


「ごちそうさま……」

「あれ? 父さんグリルは食べないの?」

「ああ、ちょっと胃が痛くてな。ははは……」


 せっかくの伊勢海老なのについてないなー父さんは。もったいないから父さんの分は俺が責任をもっていただくとしよう。んっん~実に美味い!


「悠二、アケノちゃんの入ったパーティは何人なの?」

「んー? たしか5人だったかな。助けた人とその仲間2人、そこにマロンとアケノさんで5人」

「そう。全員女性プレイヤーだったりする?」

「そこまで詳しくは聞いてないけど、たぶんそうなんだと思うよ? 仲間に一人でも男がいたならアケノさんと一緒に行動しなくても済むだろうし」


 やけに色々聞いてくるな姉さん。なんだかんだでゲーム内に放置した友人の動向が気になるのか? まあ気持ちは分かる。俺も光介の奴がいかにしてあのほぼハーレムみたいなパーティを作り上げたのか聞いてみたい所だし。


「悠二、あのゲームのパーティって最大で6人で合ってたよね?」

「合ってるよ」

「それじゃ私も参加してこようかな。こう言うのは近くで観察する方が楽しいもんね。ふふふ……ごちそうさま」


 あの姉さんがゲームをやる気になっただと……? よっぽどアケノさんと仲がいいんだなぁ。ナマケモノのような姉さんに行動を起こさせるだなんてアケノさんは流石だぜ。


「あー美味かった。明日は殻でビスクでも作るか」


 さて次はゲームにログインしてウォーヘッドの銃を完成させなきゃな。

 普通の銃はウォーヘッドの注文通りに仕上げるとして、ネタ全開の方をどうするかが問題だ。

 性能は保証しつつもエンターテイメント性に富んだ一品に仕上げるにはテーマを決めて作るのが一番! しかしこれってテーマが中々浮かんでこないんだよなぁ。手近な物から連想ゲームで決めてみるか。


「そうだな……伊勢海老、海鮮、海、海水浴。夏を先取り……?」


 ふ、ふふふ、フハハハハハ! いいぞ、最高のテーマだ! 武器だけじゃなくて防具もおまけで作ってやろうじゃないか!

 材料は、そうだな……ワームとゴリラの物を使えば楽しい事になりそうな気がする。今から完成が楽しみだぜ!

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