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不労所得

 昨日はあれから錬金の大釜の使い方についてひとしきり怒られながら正しい使い方をレクチャーしてもらい、その他にも様々なダンジョンのルールや効率的な育成方法等を教えてもらって卒業と相成った。

 キャンペーン云々のことを考えるならこの卒業は異常なスピードになってしまうだろうが、プレイヤーからすればチュートリアルみたいなものなのでむしろ長いくらいだろう。

 でもって今は昼休み。いつも通り光介と飯を食いながら駄弁ってる。


「おっふ……ついにダンジョン作り始めたのか。俺らがコア渡しといて言うのもなんだけどお前のホームヤバすぎね?」

「まだどの施設も稼働してないからだだっ広いだけの普通のホームだって」

「普通ってなんだっけ……。しっかし稼働後の事を考えると本当に一人だけ別ゲーやってる感すげーよなぁ」

「規模がデカ過ぎて管理できる気がしないけどな」


 遊園地エリアは建築家のジュリペさんが全面的に管理してくれるみたいだからいいとして、問題はショッピングモールエリアだ。あの広さに見合うだけの数の商品を開発するとか控えめに言ってまた地獄を見るはめになる。


「従業員はNPC雇えばいいけどやっぱり商品がなぁ……」

「他のプレイヤーに出店させちゃえば? そうすりゃ自分でアイテム補充しなくても済むじゃん」


 そうかテナント募集しちゃえばいいのか!

 生産職メインのプレイヤーの中にもちらほら店を購入して露店から切り替えている連中が現れたと聞くし、店を持ちたいけど店舗を購入するには資金が足りないってプレイヤーが借りてくれるかもしれない。そうなれば商品も人も借りた側が勝手に用意してくれて俺は何もしなくてもいい!


「光介ナイス! 帰ったら早速ギルドに行って依頼してみるわ」

「店主さんからオーナーさんに進化だな!」

「カジノのオーナーさんとキャラ被るからその呼び方はNGで」






 光介のアドバイスを受けた俺は家に帰ると早速ゲームにログインしてギルドを目指した。

 テナント料や契約期間はまだ考えてないけど超絶優秀なベテラン受付嬢のキャンディさんならいい感じの設定をしてくれるに違いない。


「てことでテナント募集に必要な諸々一緒に考えて!」

「ああ、やっぱりテナント募集することにしたんだねぇ」

「やっぱり?」

「そりゃライ坊一人であんな広い店をやりくり出来るとは思ってなかったからね、何時言いに来るのか待ってたくらいだよ。はいこれ、一般的な契約期間毎のテナント料の一覧表」

「有能過ぎるぜこのおばちゃん!」

「そんな大したもんじゃないけどねぇ」


 これで若くて綺麗な状態だったなら……いや、高望みはよそう。どこにでも居そうなおばちゃんレベルにまで劣化しているからこそファースなんぞで受付をしてくれているんだから。

 さて肝心のテナント料はっと……ふんふんなるほど? やっぱり店を買うよりは断然安いのな。ファースは爺婆ばかりの過疎地なのでこの表よりも安めに設定するとして、だいたい一月で30万コルって所か。微妙にプレイヤーが寄りつかなそうな額だな……。


「って一律じゃダメじゃん。スペース毎に値段変えないと」 

「決まったら呼んでおくれ。奥でお茶飲んでるから」

「うーぃ」


 えっと……モールのエリア分けは大が3ヵ所に中8ヵ所、小が15ヵ所で屋上にテラス付きか。ブラウニーさんもよくこんなの一晩で作ってくれたよなぁ。とりあえず自分用に中くらいのスペースを1ヵ所だけキープしておこう。

 基本を30万とするなら中くらいのスペースをその前後の料金に設定するのが無難かな? 中くらいのスペースの店はNPCがメインになりそうな気がする。

 次に小さいスペースの料金を決めよう。こっちはプレイヤーが借りやすい料金にしないとな。ただあまり安すぎても俺にメリットがないので16万くらいにしておくか。

 最後に残った大きいスペースは……考えるの面倒だし切りよく100万でいいや。借り手がつかなくってもイベントブースなりアイテム展示用のスペースとして使えばいいんだもんな。


「ようライリーフ、やっぱりここにいたか」

「ん? ああウォーヘッドか。ライト達と一緒じゃないの?」

「まあたまにはな。それより聞いたぜライリーフ、お前さんテナント募集するんだってな」

「おうさ、今まさに料金考え終わった所だぜ」

「へぇ? それちょっと見せてみな。俺が採点してやるよ」

「採点って……テストじゃないんだからさぁ。とりあえずこんな感じにする予定だよ」

「どぉれ……って阿呆! 点数つける以前にどう考えても安すぎるだろうが!」

「いやだってファース過疎いし普通より安くした方がいいかなぁって思ってさ」

「いいかライリーフ? たしかに今のファースはドがつくくらいに辺鄙な田舎街だ。だがお前のホームにある施設が稼働し始めてからも同じだと思うなよ?」


 真面目な顔でウォーヘッドはそんなことを言ってくるが、あんなギリギリ遊園地と呼べるかどうかのテーマパークや宇宙と繋がれるかどうかも分からない宇宙ターミナルなんかが稼働し始めたとして何が変わると言うのだろうか? 後者はイベントの時にワンチャンありそうだが前者なんてゲーム内でわざわざ来たいと思うプレイヤーは皆無……あ、NPCにとっては目新しいのか。少なくとも掲示板では俺のホームエリアを除けば遊園地の目撃情報はない。


「なるほど……人が余所から集まって来そうだな」

「しかもその施設にたどり着く前には必ずあのショッピングモールを通過しなきゃならないと来れば店の売り上げは自ずと高くなる」

「となれば今より断然高いテナント料でも借りたいって奴は出てくるって事か」

「そう言うこったな」

「でも面倒だからさっき決めた額でいいや」

「なんでだ? 自分でアイテム作れるとしても資金があった方がいいだろうが」

「もう手持ち数十億越えてるからなぁ」

「あ、うん。それじゃ無理して稼ぐ意味ないわな」


 ちなみに現在も増加中。もちろん原因は勝手にファフニール周回してるペット達だ。いい加減自重してくれ。


「テナントの依頼書はこれで良いとして……ついでに従業員の募集もしておくか」


 遊園地とショッピングモールの常駐スタッフ、それから俺の店舗の店員。後は……思いついてから追加で募集しよう。面接は2週間後辺りにジュリペさんに任せればいいだろう。きっと変形合体のロマンの分かるいいスタッフが揃うぞ。


「ほい完成っと。キャンディさーん! 書き終わったよー!」

「はいはい、そんな大声出さなくても聞こえてるよ。貸してごらん……不備はないみたいね。今からギルドに貼り出しておくよ」

「うっし、用も済んだし適当にクエストでもこなすか。ウォーヘッドも一緒にどうだ?」

「ダンジョン作りの方はいいのか?」

「まだ手が出せないんだよ。コアを使ってから初期ダンジョンが完成するまでリアルで2、3日掛かるみたいでさ」

「それで先に冒険者ランク上げようってんだな。ちなみに今のランクは?」

「Eだけど?」

「最低ランクじゃねーか……。しゃーない、今日はCランクになるまでクエスト付き合ってやんよ!」

「サンキューウォーヘッド!」


ピピピピピ、ピピピピピ


 ん? 姉さんからメールだ。夕飯の時間にはまだ早いし何の用だろう?


「……うん?」

「どうしたんだライリーフ?」

「ちょっと予定変更で。これからアドベントに行って初心者にこのゲームのレクチャーをすることになったんだけど、ウォーヘッドも手伝ってくれるか?」

「おう、いいぞ。にしても微妙な時期にスタートする奴もいたもんだな」

「一人は俺の身内でね。ゲームも本体も揃ってたのに今までほったらかすくらいには怠け者なんだよ」

「一人はってことは何人かいるのか?」

「たぶんね」


 メールの内容からするとおそらく姉さんともう一人のプレイヤーがアドベントで待っている。

 姉さんのことだから後一月はゲームを放置すると思ったんだけど……友人に誘われでもしたのだろうか?


「よし、それじゃ転移門で……移動は無理だったな」

「すまねぇ! すまねぇ! 俺がEランクなばっかりに徒歩移動になっちまって本当に申し訳ない!」

「いいってことよ。その代わり魔導拳銃の強化急いでくれよ?」

「ああ、それなら昨日ダンジョンで良い物が手に入ってな――」


 こうして俺とウォーヘッドは駄弁りながらアドベントへと向かうのだった。

現在のバルムンクの数……249本


次回、新キャラ?登場!(予定)

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