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ホネホネの逆襲

(ヒャッハー! やーーーーーっと来やがったな人間ンンッ! あの日のリベンジさせてもらうゼェェェ!!)

「だー! 入って早々うるせぇな!」

「ニャー……」

(うるさいだとォ? それが俺のアイデンティティーだ馬鹿野郎!)


 お供にセレネを連れてダンジョンに入るとあの時のトーキングスカルとおぼしき個体に絡まれた。

 何故断定せずにおぼしきなんて曖昧な言い方をしているかと言うと……髑髏がメタリックなんだよね。


「少し見ない間に随分近未来的な見た目に変わったもんだな」

(カーッ、誰のせいだと思ってやがる! 俺がこんな姿になったのはぜーんぶマルッとお前のせいだってのによォ!)

「俺?」

(そうだ! あれはお前に倒された後のことだ――)

「えっ、回想入るの!?」



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 あれは人間に倒された後のことだ。俺は下顎だけで復活した。


「なんじゃこりゃー!?」

「ホネホネ、お前の他の部分はドロップしてしまったのです。諦めるのです」

「そりゃねーぜダンマス! 何とかしてくれよ!」

「えーめんどいのです……そのままでもいいんじゃないですか? コンパクトで可愛いですよ?」

「そう言う問題じゃねーだろ!? 仮にもネームドモンスターなのにこれじゃ威厳もクソもねーじゃねぇか! こんなことでダンジョンの格が下に見られちゃダンマスだって困るだろ?」

「む? それは確かに困るのです! 仕方ないので新しくホネホネのパーツを作ってあげるのです」

「さすがは俺達のダンマスだぜ! 頼りになるゥ!」

「えへへ~それほどでもあるのです。そうだ! せっかくだからダンジョンで新しく採れるようになった金属を使ってみるのです。むふふふふ、あわよくばパワーアップで戦力アップなのです!」


 そして気が付くと俺は下顎以外のパーツが全て見知らぬ金属に変換されていた。種族もトーキングスカルからトーキングメタルヘッドになって、他のトーキングスカル達から孤立したんだ!


「元気出すのですホネホネ。ホネホネは他のトーキングスカルより強くなったのでみんな羨ましがってるだけなのです」

「そりゃ強くはなったさ……でももう名前からもズレちまってるじゃねーか! ホネホネの骨要素下顎だけだぜダンマス!?」

「そ、それはその……強くなるための代償だとしか」

「俺の体の9割支払って強化されたのは攻撃されなくてもモンスター呼べるようになったくらいだけどな!」

「なんなのです! 怒鳴らなくたっていいじゃないですか! 元はと言えば自業自得なんですから新しくパーツを作ってあげただけ感謝しやがれなのです!」

「感謝ァ? ならくれてやるぜ、感謝のアイアンヘーッド!」

「へぶ!? やりやがりましたねホネホネの癖に! 殆ど骨無しのホネホネの癖に!」

「そうしたのはアンタだろうがダンマスゥ!」


 ダンマスとのケンカは気分的に三日三晩に渡り繰り広げられた気がしたが、実際は二時間くらいだった。

 俺も大人だ。過ぎたことはすぐに水に流し今の自分を受け入れたさ。だが残った下顎部分もこの数日後に失うことになっちまった。


「ふおお! カッコいいのです! 骨っぽいしホネホネを強化すればあんなモンスターになるのでは?」

「んがふっ……何はしゃいでんだよダンマス? せっかく気分よく寝てたのに起きちまったじゃねーか」

「ホネホネ、今が進化の時なのです! 今のポイント全部使って強化してあげますから感謝しやがれです!」

「え? え!? 唐突にどうしたダンマス! そのポイントはダンジョン拡張に使うんじゃなかったのか!?」

「強化にポイントドーン!なのです!」

「のほぉぉぉおおお!? か、体からパワーが溢れて来やがるぜ! これが……これが進化ってやつかーッ!!」



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



(気が付くと進化したことで下顎部分も金属に変わっていたのさ。こうして俺はホネホネと言う名でありながら骨の一切存在しないフルメタルなボディになっちまったって訳よ。進化したおかげで今ではただの平モンスターからボスにまで地位が向上したがな!)

「出世したなら別に俺怒られる理由なくね?」

「ニャー?」

(シャラーップ! 俺にも骨としての誇りくらいあったんだよォ! それがこんな……こんなカッコいい姿になっちまって……その誇りすら揺らいじまってるんだぞコンチクショウめ!)

「もはやキレられてる意味が分からん!」


 出世してカッコよくなれたなら良かったじゃん! むしろ俺に感謝してもいいくらいじゃん!


「ニャー!」

(ヒヒャハハハ! バカな猫め、さっきの話を聞いてなかったのかァ? 今や俺はこのダンジョンのボス、ダンマスを除けばトップの存在よ。ボスモンスターが入ってすぐの場所にいるわけねぇだろうマヌケが!)

「ニャゥ……」


 セレネの怒りゲージが上昇!

 オリハルコンヘッドマスター(←名前鑑定した)よ、それ以上煽ってはいけない。相手はファフニールLv10を周回することで猫の限界を越えた存在、徒に寿命を縮めるだけだぞ!


(こいつはただのホログラムだ! 俺はこのダンジョンの一番奥にあるボス部屋で待ってるから必ずたどり着けよ人間? たどり着いたその時こそお前に奪われた俺の半身を取り戻してやるぜぇ! だーっはっはっはァ!)

(ホネホネー何時まで遊んでるんです? 私の鏡は玩具じゃないのです。遊ぶならもっと別の物で……むむ? まだ写ってる、です……? な、何してるですかホネホネ! 寝巻きで人に見られちゃったじゃないですか! これではダンジョンマスターとしての威厳もへったくれもないので)

「……」

「……」


 途中で切ったみたいだけど、正直もう色々と手遅れだ。回想の辺りから威厳なんてなかったぜダンマスちゃん。


「とりあえず進むか」

「ニャ」


 しかしどうしたもんかな。あの時トーキングスカルからドロップしたアイテムは魔改造の後に鎧から発生した災厄の本体に吸収されてロストしちゃったんだけど……。


「まあいっか。今回も頭貰うくらいの気分で行こう」

「ニャー!」

「スティールなら任せろってか? もしオリハルコンゲット出来たら次の飯はおもいっきり奮発してやるよ」

「ニャ!」




 初心者が挑んでいたようなダンジョンのモンスター達が興奮したセレネの相手になる筈もなく、俺達は順調にダンジョンの奥へと足を進めるのだった。

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