仕上げの巨大オブジェ
今回かなり短めです。
鳥ガーハッピーのダンジョン隔離計画は一先ず置いといて、この素材とバルムンクの山をどうしてくれようか。
ファフニールの素材は思ったよりレア度低いみたいだし、後生大事にとっておいても仕方がない。一部レア素材以外は盛大に使ってしまおう。
「開催まで後2時間……ギリギリ間に合うな」
今回のカードゲームによるバルムンク争奪杯だが、集まった人数に対してちょっとインパクトに欠けると思わないか? 優勝すればバルムンクが手に入るとは言え屋外に屋根もなく机と椅子が並べてあるだけじゃビジュアル的にショボすぎる。
そこで俺は考えた、と言うより思い付いてしまった。きっとこんなバカな発想をしてしまったのは連日の夜更かしで頭がおかしくなっていたからに違いない。
「バルムンクで巨大オブジェを作ろう!」
300本を優に超える竜墜剣・バルムンクと文字通り山のようにあるファフニールの素材を使えばさぞ立派なオブジェが出来上がる筈だ。
インテリアを武器に改造する前に、武器にもなるオブジェを作ってやろうじゃないか!
なーに以前技神の試練で手に入れた万能工具を使えばどんなに巨大な物だってちょちょいのちょいで作れるさ! 工具と言いつつ工具以外の生産に関係あるものにも変化してくれるからな!
先ずは万能工具を大きな炉に変化させ火を入れる。
いい感じに炉の中の温度が高まったらバルムンクを投入だ! 自分用には予備も合わせて5、6本あれば十分なのでそれ以外の全部をドーン!
バルムンクが溶けて来たら次はファフニールの素材を入れまくる。鱗に骨に牙に爪、ちょっと奮発して竜魂玉なんてアイテムも幾つか入れてやれ!
普通なら燃え尽きる筈の素材達は、溶けたバルムンクに吸収されより大きな塊になった。
「ふはは! 素晴らしいサイズだぜ!」
俺のSTRじゃ取り出せそうにないが、そこは万能工具をでっかいハンマーに変化させることで無理矢理解決する。取り出せないなら外側を無くせばいいじゃない!
「ぐぉ……熱でHPが削れやがったか!」
炉の内側に蓄えられていた熱が一気に解放され【ウォーキングデッド】の効果が発動する。街中の、それも自分のホームで死にかけるなんて思わなかったぜチクショウ!
「よくもやってくれたなバルムンク……こいつはお返しだ!」
でっかいハンマーを赤熱する塊に叩き込み、剣の形に鍛えていく。
「フハハハハ! 鉄は熱いうちに打てって言うけどお前はどうだバルムンク!?」
どれ程叩き続けたことだろう。気がつくとバルムンクの塊はいつしかその姿を巨大な剣のオブジェへと変化していた。
「イベント開催まで後30分も残して完成とはいいペースだぜ!」
自分で言うのもなんだが実に見事なバルムンクのオブジェである。大きさはざっと15メートルって所か?
後は会場に運んで地面に突き立てれば完璧だ! でも時間あるからその前に性能の方も確認しておこっと。
究極滅竜巨剣・ギガントバルムンクDX PM
ATK360000 耐久値500000/500000
対竜・極 MP自動回復・大 竜墜の領域
専用奥義『魔力圧縮式滅竜斬』
要求ステータス:STR120000 MND50000
300を超える数の竜墜剣・バルムンク
そして夥しい黄金竜の素材を溶かし鍛えたのがこの巨大な剣である
巨人の力を持ってしてもこの巨剣を振るう事は不可能であり、武器としては用を成さない
オブジェとして作成された為か、誰も装備していなくともこの剣に近づく竜は力を失い地に墜ちる
「ふぁっ!?」
えっ、何これ? 何て物作ってんのさ俺!?
ちょっと待て、ATKが一十百千万……さ、36万だと!? 規格外にも程があるだろ!
「あ、要求ステータスがアホみたいに高いのか……ちょっと安心したぜ」
にしてもなんてえげつない効果だろうか。竜墜の領域は剣を中心に周囲500メートルの竜にデバフをモリモリ掛けて、なおかつ味方には対竜・小のバフまで掛かると言うお手軽ドラゴンスレイヤー量産フィールドだ。
奥義の方は……飛ぶ斬撃? 限界を越えて圧縮した魔力を斬撃と共に放つのね。
あ、プレビュー機能なんてあるのか。ちょっと再生してみよう。
……うん、飛ぶ斬撃って言うかこれもうレーザー兵器だよね? 地面が蒸発したように見えたのは流石に目の錯覚だろう。しかも当たり前のように竜相手だと威力UPってこれ作った奴は頭おかしい……って作ったの俺じゃんか。
「ハハ……もう笑うしかねぇや」
作ってしまった物は仕方がない。インパクトのあるオブジェと言う点では文句のつけようがない訳だし、とりあえず建築用ゴーレムを何体かタルメル師匠から借りて来て会場に設置しよう。




