今更食べてみた
久しぶりにレビュー貰いました!
ありがとうございます! ありがとうございます!
PKを撃退した俺と兎達はファースへ向かって移動している。
(フルーツまだー?)
(早くー)
(あいむはんぐりー)
「分かった! 分かったから引っ付くなって! あと静かにしてくれ」
兎達のことはテイムしていないので下手したらダメージ貰って死に戻りかねない。
そして顔見知りとは言えこいつらは野生のモンスターだ。街中に入れて問題になっても困るので、人の体にくっつきながらわちゃわちゃ騒がないでほしい。
「いいか? 静かに、静かにだぞ?」
(((しーっ)))
よし、兎達が静かにしてくれたおかげで門番の爺さん(ねてる)に気づかれることなく街に入れた。そこから素早くメインストリートを抜けてホームエリアに辿り着いた。
あとは宝箱からフルーツを持ってきてこいつらに食わせ、街の外に送り届ければ漸く眠れるぜ!
さーてどんなフルーツがあったかなー?
ルービックアップル ☆☆
ルービックキューブのようなリンゴ
6つの面の色が揃う程甘くなる
バババババババ ☆
バナナのような何か
食べても害はない
シャーベットの実 ☆☆☆
食べるとシャリシャリとシャーベットのような食感のする木の実
爽やかな甘さだが冷たくはない
ジュエルフルーツ ☆☆☆
宝石のような輝きのフルーツ
ジャムにするとおいしい
アクアフルーツ ☆
水分がたっぷり詰まった果実
外皮がとて頑丈で水筒代わりに持ち歩く冒険者も多い
シュワシュワの実 ☆
食べるとシュワシュワする実
パチパチの実と混ぜると炭酸水が出来上がる
パチパチの実 ☆
食べるとパチパチする実
シュワシュワの実と混ぜると炭酸水が出来上がる
結構な種類があるな。これだけあれば奴らも満足してくれる筈だ。変なのもあるけどとりあえず全部くれてやれ!
「待たせたな。約束のフルーツだぞ」
(((おお~)))
(これパチパチするー)
(こっちはシュワシュワー)
(シャリシャリー)
よしよし、見た目はもう立派なキックラビットだがまだ中身はお子様レベルなようで不思議な食感に夢中になっている。いやーこの程度の報酬でユニークモンスターを雇えるなんてマジでラッキーだったぜ!
(はむ、んー? むー……これ甘くなーい)
(リンゴなのにリンゴじゃなーい)
(酸っぱーい)
しまった、好物のリンゴの味が気に入らなかったみたいだ。ゆらりと立ち上がって今にも跳びかっかって来る気満々じゃないの!
一体どれを食べたんだ? ルービックアップル? くそ、色を揃えないと甘くならないのか!
「お、落ち着け! 今甘くしてやるから他の食べて待ってなさい!」
まだ兎達が手をつけていないルービックアップルを手に取りパズルを開始する。
急ぐんだ俺! 早く色を揃えなければ殺られてしまうぞ!
でも俺ルービックキューブ苦手なんだよなぁ。最高でも3面揃えるのがやっとだ。そんな俺が睡魔に抗いながらパズルを進めた所で上手くいく訳もなく、1面も揃えらない内に兎達が用意したフルーツを食べ尽くしてしまった。
(遅ーい)
(まだー?)
(嘘ついたー?)
「くっ、嘘じゃないけどパズルゲームは苦手で……ちょ、ストップ! 待ってくれ! これの代わりにもっと良い物食わせてやるからさ!」
(((本当~?)))
「マジマジ本当だって! えっと、たしかこの箱にしまっておいた筈……」
まさかこんなタイミングでアレを使うことになろうとは思わなかった。いつかグーヌートへの嫌がらせに使おうと考えていたが味も気になるし食べてしまおう。
「あった! ふっふっふ、刮目せよ兎達! これこそがフルーツの神、世界樹の果実だぜ!」
(世界樹ー?)
(何それー?)
(知らなーい)
「世界樹ってのはな、なんかデッカイ木だ。俺も詳しくは知らない。だがこの実がヤベー美味いのは確かだぞ? なんてったって神様でもたまにしか食べられないみたいだからな!」
(ほほう? 旦那、まさかあっしらに黙って食っちまうつもりじゃないでしょうね?)
(親父殿の好物、一度食してみたかったのだ)
「ニャー」
「な、お前達いつの間に……!」
(旦那がこそこそ移動してるのを見かけやしてね。ちょいと後をつけさせてもらいやしたぜ)
「ちィ、梟だから鳥目じゃないのか……!」
1つくらい食べてしまっても良いかな?とは思ったが、うちのペット達まで食べるとなると1つも残らない可能性が出て来る。いったいどうやって誤魔化せば……。
「ニャ!」
(ヒャッフー! 姉さんナイスでサァ!)
「え? あーっ! セレネお前またスティール使いやがったな!?」
んにゃろう、器用に箱の中から世界樹の果実のみを盗みだしやがって!
(クックック、観念するのだな主よ。残りの果実は我々が奪取した)
(悪くなる前に皆で食べやしょうぜ?)
「はぁ……しょうがない奴らだな。セレネ、切り分けるから返してくれ」
「ニャウ」
「さて、切り分けも終わったし早速いただきまーす」
(待った! 旦那、この分け方はどう考えてもおかしい!)
(そこな兎達と比べて我等の取り分が少な過ぎはしないか!?)
「ニャー!」
「しょうがないだろ? こいつらにはお礼する約束しちゃったんだから。それと仕舞っておいた分を無理矢理取り出した罰だ」
(取ったの姉さんなのに……)
(その通りだ。我等は無関係の筈!)
「ニャ!?」
「連帯責任だアホ鳥共。この決定は覆らないと知れ」
5つあった世界樹の果実の分け方は、兎達と俺が丸々一個分づつ。そして残りの1つをセレネとノクティスとルクスで3等分にした。
鳥さんが食べていただけあって世界樹の果実はかなり大きいから、本当は全員で1つを食べるつもりだったんだけなぁ。
中からは大玉スイカ程の種が出てきたが、それを抜いてもかなりの量の果肉になる。3分の1でも多いくらいだってのにそこまでして食いたいのかねぇ?
「んじゃ気を取り直していただきまーす。あむ、んん!?」
な、なんだこの溢れる果汁は!? 口の中で様々な甘さが暴れ回って、ふぉお……! 世界樹の果実、こいつはとんでもねぇ果物だ。一口で眠気まで吹き飛ぶ美味さとは恐れ入ったぜ!
何? これを嫌がらせの為だけに使おうとしていたバカがいるだと? はっはっは、そんな奴いる筈ないって! こんな美味いものイタズラに使うわけないじゃーん!
(((おいしーい!)))
(く~うめぇ! うめぇけどたったこれっぽっちしか食えないなんて悪夢でサァ……)
(大人しくしていれば2度3度とこれを食す機会が巡ってきたのか……無念)
「はぐはぐ、んみゃ~ぅ」
はぁ……美味い。これはあれだな、もう一回煉獄の虚島に行って大量に実を分けてもらうしかないな。
けど実る時期は決まってるんだっけか。となると……育てる、とか? 世界樹育ててみちゃう? 種は5つもあるし上手く行けば誰の許可を得る必要もなくコレが食べ放題、やらない手はないな!
「ふあ~ぁ……おっと、眠気が戻ってきたか。ノクティス、ルクス、セレネ。残りはお前らで食べていいぞ」
(えっ、いいんですかい!?)
(さすが主だ。信じていたぞ!)
「ニャー!」
「おっと、こっちに分けてあるのは食べるなよ? ブラウニーさんの分だからな」
(分かってますって!)
よし、兎達を外まで送ろう。
「兎達ー、フルーツは食べ終わったか?」
(食べたー)
(満腹ー)
(ごちそうさまー)
「よしよし。なら外へ帰るぞ。案内するからついてこい」
(えー?)
(なんでー?)
(ここ住むー)
「なぬ……?」
つまり俺にテイムしろってのか!? 鳥ガーハッピーをテイムしている時点で今更感あるけどユニークモンスターをテイムするのはさすがに不味いでしょ。
「いや、それはちょっと……」
(((だめー?)))
「くっ、小動物の上目遣いは卑怯だぞ!」
微力ながら抵抗を試みたが、奴らは強敵過ぎた。愛くるしい動きで俺を懐柔しテイムさせることに成功したのだ。
「名前どうすっかなぁ」
兎達は3匹で1体のモンスター扱いなのでどう名付ければいいのか迷う。3つで1つの物とかいきなりだと思い付かない。
あ、アレがいいかな? 性別はいまいち分かんないけどそのまま付ける訳じゃないしいいだろ。
「決めた。お前らは右からウル、スク、ヴェルな」
(ウルー!)
(スクー!)
(ヴェルー!)
ウルド、スクルド、ヴェルダンディが名前の元ネタだ。パッと思い付いたのがこれだったってだけで特に理由はないけどな。
さすがに今日は疲れたし、今から寝ると明日のログインは最低でも午後になるかな。ログアウトの前にライト達にメッセージ送っておこう。
「よーし、これで遅いって文句言われることもないだろ。そんじゃログアウトっと」
翌日、ログインした俺の目に飛び込んで来たのは驚愕の光景だった。
俺のホームエリアに見覚えの無い建造物が整然と建ち並んでいるではないか。
「こ、これは一体……」
よく見ればこれらの建物はホームエリアの完成予想図に記された物ばかりじゃないか。マジで一夜にしてなにがあったし!?
「おや、漸く来たねライ坊」
「フォル婆! あんた歓楽島ではよくも俺からむしってくれやがったな……! じゃなくてこれは一体どう言うことだ!?」
「うん? レーレンめ、私のことを話したわね……残念、もう少し内緒にして反応を楽しんでいたかったのに。で、これの事だったね? アンタの契約した子がやたら張り切って作ってくれたんだよ」
「契約した子?」
えっ、まさかこれ全部ブラウニーさんが作ったのか!?
メインホームあっさり完成!
残すは温泉とダンジョンと牧場と畑と……あれ? 割りと残ってる、だと……?




