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戯神の試練 1

 ファフニール周回に行くライト達の装備を一通り整備して掲示板に明日の屋台の告知とカード大会の予告後、俺は神殿へと向かった。


「レーレン、デッキが組み終わったぜ」

『やぁやぁ、思ったより早かったね。ボクは嬉しいよ!』

「そんじゃ早速試練を始めてもらおうか」

『まぁ待ちなよ。せっかくボクと直接対決できるんだぜ? こんなギャラリーのいない場所で始めちゃもったいないよね。てことで強制ワープ!』

「何ぃ!」


 足元に魔法陣が展開され、光が俺を包む。この感じ、ナナさんにチュートリアル空間からアドベントに送ってもらった時と似てるな。


「……っ!?」


 体を包む光が消え去ると、そこは歓声が飛び交うコロッセオだった。


「ようこそボクの庭へ。気に入ってくれたかい?」

「戯神の庭にしてはバトル要素が強すぎないか?」

「ふふふ~、まぁねー! なんてったってここはカードバトル専用のスペースだからね!」

「カードバトルするのになんでコロッセオなんか……」

「知らないのかい? 神々の遊戯においてカードバトルはカードバトルの次元を超越する。これくらい広くなくちゃ危ないのさ!」

「それはつまり、カードのモンスターが実体化するとか?」

「その通り!」

「マジか―」


 現実でもARシステムで大迫力のバトルを実現!とかやってるし、それを神々の領域とか言われてもちょっとどんな顔していいか分からない。


「ちなみにダメージもちゃんと発生するから気をつけてね!」

「……もしやプレイヤーのHPが無くなっても負けだったり?」

「します! さぁ、楽しいゲームにしようぜぃ!」


 遊びと言ってもやはり神の試練、一筋縄ではいかないみたいだ。


「セット」

「スタンバイ」

「「オープン!」」


 今回のルールはライフが10ポイントのスタンダードルールだ。比較的早く決着の着く前回のハーフルールと違い、今回はデッキ切れにも気を配らなければならない。

 そしてゲームの開始と同時にお互いのモンスターが実体化する。

 俺のモンスターは迷宮の悪夢。どちらかと言うとサポートで使いたかったな。

 対するレーレンのカードはと言うと……。


「へっへっへー! ミリオン・トイアーミーの方がパワーが高いからボクの先行だね!」


 アメリカ産の玩具のような緑色の兵士達が床一面を埋めつくしていた。


「なんかキモい!」

「む! キモいとは失礼だね。皆格好いいじゃんかー!」

「一体一体が格好よくてもこの数はキモいっての!」


 遠目からのビジュアルは大量の虫が蠢いてるのと大差ない。プレイヤーへのダメージありってことは下手すりゃこいつらに集られる訳で……うぅ、考えるだけでも恐ろしい。俺のターンになったら即刻排除してやる!


「玩具の兵士達の悪口言ったこと、謝っても遅いんだからね!ドロー、ブリキの巨人を召喚! サポートゾーンにカードを1枚セットしてボクのターンを終了するよ」


 レーレンのデッキは玩具デッキか? 俺の当てたカードの中には玩具コンセプトのカードが少なかったせいでいまいちどんな効果とコンボがあるのか分からない。


「俺のターン、ドロー」


 引き当てたのは無音の暗殺者のカード。優秀なサポートカードだ。


「殲滅の大剣士を召喚!」


 身の丈を優に超える大剣を片手で担ぐ渋いマッチョメンのパワーはブリキの巨人とも互角だ。当然玩具の兵士達にも勝てる!

 だが焦ってはいけない。攻撃するのはサポートカードを無力化してからだ。


「続けてサポートカードを手札から発動、無音の暗殺者!」

「セットしてあるサポートカードと手札を1枚ずつ捨てさせるカードかぁ。なかなか嫌なカード入れてるじゃん」

「これで兵士達を守るカードは無い。殲滅の大剣士で文字通り殲滅してやるぜ! 行け!」


 大剣が振るわれる度に玩具の兵士達は吹き飛ばされて消えて行く。


「あっちゃ~、でもトイアーミーはそれくらいじゃ負けないよ!」

「何?」

「1ターンに1度、トイアーミーはパワーを半分にすることで破壊を免れるのさ!」

「ならパワーが上回った迷宮の悪夢で追加攻撃させてもらうぜ」

「ふっふーん! 残念だけどその攻撃はブリキの巨人に誘導させてもらうね!」


 くっ、これでは返り討ちにされてしまう!


「ってあら? 相討ちだと?」

「ブリキの巨人は見た目は立派なんだけど中身がスカスカでね、1回バトルすると壊れちゃうんだー」

「ならわざわざ今攻撃を受ける必要はなかったんじゃないか?」

「殲滅の大剣士がバトルゾーンのカードに1回ずつ攻撃出来ることくらい知ってるからね」


 なるほど、場をがら空きにされるよりはマシってことか。


「後はトイアーミーの効果が使えるしね! ブリキの巨人が破壊されたことでデッキからトイカードを1枚バトルゾーンに呼び出せるんだ! トイブロック・キューブ」

「パワー0? なら遠慮なく破壊させてもらうぜ!」

「ざんねーん!トイブロック・キューブも1ターンに1度破壊されないんだ! ふふふ~、残りの効果はボクのターンになってから披露してあげるからね!」


 くっ、破壊できなかったか。あのカードはどう見てもコンボ狙いのカードだし……攻撃にサポートカードを使ったのは失敗だったか?


「ふぅ……今更後悔してもしゃーないな。ターンエンド」

「ボクのターン、ドロー! ありゃ、いきなり最強コンボのパーツが揃っちゃった」


 えっ、今なんて?


「まあ試練だもんね。これくらい打ち破って見せてよ! プラッシュドール・ゴートを召喚」


 ポフンと音をたてて山羊のぬいぐるみがフィールドに出現した。

 こいつもパワー0だと? 一体レーレンは何をするつもりなんだ?


「次はトイブロック・キューブの効果を発動するよ! 1ターンに1度このカードをデッキに戻すことで、デッキから名前にトイブロックって付いてるカードを召喚できるんだ! さあこーい! トイブロック・ドラゴン!」


 四角い形のブロックの塊がどんどん組み替わり、巨大なドラゴンの形が出来上がる。


「うっ、パワー高いな」

「格好いいでしょ! ボクのエースカードの1枚なんだー。それじゃ攻撃するね? トイブロック・ドラゴンで殲滅の大剣士に攻撃!」


 玩具のドラゴンの口から無数のブロックが放たれて大剣士を飲み込む。そしてその攻撃はそこで終わりではなかった。


「ぐわぁぁあ!?」

「トイブロック・ドラゴンがバトルに勝ったとき、相手のライフに1ポイントダメージが入るんだよーん」

「う、ぐふ……これ、ライフより先に絶対俺のHPが尽きるパターンだ……」


 現に今の攻撃でHPは半分まで減少している。思ったよりダメージが低いのは、あれでもドラゴン判定で称号効果のダメージ軽減が働いたのか?


「まだまだ行くよー。ミリオン・トイアーミーで直接攻撃(ダイレクトアタック)!」

「ぬわぁ!? これがガリバーの気分ってやつか! くそ、服の中に入るな! いて、いてて!」


 HPへのダメージはあまりなかったが、今のでどっと疲れた。


「ハァ……ハァ……つ、次はぬいぐるみの攻撃か? いいぜ……来いよ、返り討ちにしてやらぁ……」

「残念だけどパワー0のカードじゃライフは削れないんだよねー」

「あ? そうなの?」

「けどこのカードには大切な役割があるんだ。手札からサポートカード、トイボックス・ミミックを発動! さあ、ここからが最強コンボだよ!」


 おもちゃ箱から触手が飛びだし、トイアーミー達を仕舞っていく。


「トイボックスミミックは玩具を入れ換えることができるのさ! ミリオン・トイアーミーをデッキに戻して、代わりに陽気なトイドクターを召喚! けどこの効果で召喚したカードはすぐには攻撃できないからターン終了するしかないね」

「えっ、最強コンボは?」

「今から発動するんだよ! トイブロック・ドラゴンはターン終了時に破壊されるか、他のバトルゾーンのカードを代わりに破壊してデッキに戻ってトイブロック・キューブを呼び出すか選べるんだ。もちろんボクは後者を選ぶよ。破壊するのはプラッシュドール・ゴート!」


 山羊のぬいぐるみが弾けとび、ブロックのドラゴンが四角い塊へと戻って行く。


「プラッシュドール・ゴートがコストとして破壊された時、デッキの上から3枚を確認して1枚選んでサポートゾーンにセット、残りの2枚をデッキの一番下に好きな順番で戻せるんだ」


 まだまだレーレンのコンボは終わらない。


「さらに! 陽気なトイドクターの効果で1ターンに1度、破壊されたカードを1枚復活させることができる。プラッシュドール・ゴートが復活! へっへーん、これがボクの最強コンボだよ!」


 これで次のターンもトイブロック・ドラゴンを喚びつつ手札を温存してサポートカードまで増やせるってか? どんだけガチなデッキ組んでんだよ!

ライリーフ 残りライフ8ポイント

手札4枚

バトルゾーン、カード無し

サポートゾーン、カード無し



レーレン 残りライフ10ポイント

手札1枚

バトルゾーン

トイブロック・キューブ

陽気なトイドクター

プラッシュドール・ゴート


サポートゾーン

トイボックス・ミミック

セットカード1枚


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― 新着の感想 ―
[一言] そういえば某決闘者達は死んだら負けってルールが公式に有りましたね
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