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チュートリアルで詰んだかもしれない.11

「ああやっとでた!いきなり倒れてしまうなんてびっくりするじゃない!」

「ハハハ、すいません。HPが1しかない状態だったものでして」

「まぁ、そんなにHPが削れるまで兎さんと遊んでいたのね!でもダメよ?いきなりいなくなって兎さんもびっくりしていたのだから。自分のHPを把握しておくのはモンスターさん達と触れ合う上で最も大切なことなのよ?」

「……ごもっとも」


 まさかアイシャさんに説教されるとはな。

 HPの管理。言っていることは確かに正しいが、目的が戦闘ではなくもふもふパラダイスのためだと素直に頷きにくい。

 そもそもテイムしていないモンスターと触れ合おうなどと考えるプレイヤーはアイシャさんぐらいのものじゃないか?


「ふふ、でも夢中になってしまう気持ちはよくわかるわ。皆とっても可愛いもの!」

「ソーデスネ」

「貴方の無事も確認できたことだし、兎さん達にまたこちらまで案内してもらえるように頼んでおいてあげるわ」

「えっ…いやそれは別に「それじゃあごきげんよう、ライ」


ツーツーツー。


ヤバい……。フィールドに出たら確実に兎の国に招待(拉致)されてしまう。

 今のまま兎達……いや、あのボス兎と戦っても勝利するのは難しいだろう。現状では使えるスキルが足りない。

 これがチュートリアルをクリアした後だったなら、セットできるスキルも増えてジョブだって戦闘向きのものに変えられた。そうなれば確実に、とは言わないが勝てるビジョンはある。

 空中ジャンプを利用した素早い立体機動に大岩すら一撃で砕く蹴り。

 これだけで見ると勝てそうにない。ステータスで言うとAGIとSTRが他の兎達より大幅に強化されている。()()()()()()()()()()()()

 奴はスライムに並ぶ最弱モンスター、キックラビットから進化したユニークだ。能力が強化されたことによって進化したとするのなら()()()()()()()()んじゃないか?たぶんだけどね。

 ラビット種に共通するのは素早い動き。そしてH()P()()()()である。

 俺が何度も挑んでいたのがボス兎だってことは、はじめにカウンターを避けてみせたあの兎だ。

 ステータスに自信があったのなら、避けずに蹴り抜く方を選んでもいい筈。

 避けたってことは倒される可能性を考えたってことだ。巣に拉致られてスキルレベル上げのサンドバッグにされたときも、手だけは縛られ続けたままだった。

 読者諸君に嫉妬の目で見られたくなかったのであえて描写はしなかったがクッキーを食べるときもアイシャさんにあーんしてもらっていたのだよ。ふふ、羨ましかろう?その結果が死に戻りだった訳なんだけどな……。

 それはさておき!蹴り返そうとした時は他の兎が攻撃に交ざって来ていた。だからこそ俺は反撃できずに回避を続けていた訳だ。……ほとんど避けられなかったけどな。

 今ならばもう1つのクエストを優先することもできる。

 だがそれでは、アイシャさんを相手に修行を続けたボス兎が更なる進化を遂げてしまう可能性がある。そうなれば俺が勝てる可能性は潰えてしまうだろう。

 クエストを達成するだけなら別の兎を倒せばいい。だが……俺は奴を倒したい。

 何度となく死に戻りを経験させられた。死なないならばとサンドバッグにされた。食い物だと萎びた葉っぱをよこしてきた。

 これは人としての尊厳を取り戻すために必要な戦いだ!あの屈辱的な時間を思えばこそ、ここで引くわけにはいかない。

 今の俺に可能な手段、その全てを用いて戦い抜いてやろうじゃないか!

 まずはステータスからだ。放置していたポイントを全て振る。


ステータス(状態:デスペナルティ)

HP 10

MP 170 (-160)

STR 3 (-2)

VIT 1

INT 9 (-8)

MND 8 (-7)

AGI 7 (-6)

DEX 14 (-13)

LUK 567→576 +20 9up!

残りステータスポイント0


 今さら他のステータスを少し上げたところでどうしようもない。

 自分で振れるポイントは全てLUKに振ることにした。もともと決めてたことだしな。

 これから戦うとして、怖いのは俺の生命線である【ウォーキング・デッド】の効果が発動しないことだ。

 兎の巣では運よく発動し続けた効果だが、確率発動である以上事故は十分に起こりうるだろう。事故の可能性を減らすためにもLUKに振るのは間違いではないと思う。

 次はスキルだ。

 たったの5枠しかないスキル枠にどれをセットするかは重要だ。体術は確定でいいとして、問題は残りの4枠。大変悩ましい。


スキル一覧

スキル

体術Lv6 投擲術Lv8 集中Lv15

精密動作Lv6 解体Lv3 採取Lv14

採掘Lv1 身体制御Lv3 探知Lv1

疲労軽減Lv3 受け身Lv1 登攀Lv1

逆境Lv4 手加減Lv1 回避Lv1

予測Lv1 見切りLv1 毒耐性Lv1



 ん?毒耐性?いつの間に……ってクッキーか。今回は使わないがそのうち役に立ってくれることだろう。

 何せ【ウォーキング・デッド】だと状態異常まではカバーできないみたいだからな。いずれはアクセサリー等で対策しなくちゃな。

 レベルの高い集中は入れておきたいかな?逆境で一撃の火力を上げる必要もある。他の候補は身体制御、疲労軽減、回避、予測、見切り辺りか?

 どのみち一度空中に蹴り上げられたら前回の二の舞だろうし、短期決戦が望ましい。となると……疲労軽減は除外だな。

 あーでも逆境を外して回避、予測、見切りをセットしたディフェンシブな組み合わせも有効かもしれないな。

 身体制御もセットされていると身体が普段より滑らかに動かせるのでいれたいのだが……。




 悩みに悩んだ末に選んだ組み合わせがこれだ。


セットスキル

【体術Lv6】【身体制御Lv3】【逆境Lv4】【回避Lv1】【見切りLv1】


 泣く泣く集中は外した。スキルに頼るなら低いステータスを補えたほうがなんぼかマシだろう。自前の集中が切れたらそこで詰むんだし。

 最後にアイテム。

 リジェネスライムの時には役に立たないと早々に見切りをつけた物が1つある。

 特典アイテムとして贈られてきた3つのアイテムの1つ。ガチャチケ、も使えればよかったのだがまだどこの街で使えるのかわかっていないので違う。

 経験値倍増ドリンク、これもモンスターをまともに倒すことができない今使うのは勿体無い。

 真理の書。

 説明でも何かが書かれた本としか表示されなかった代物だ。

 スライムを殴っていた時の俺は気が立っていたので意味わからん!とオブジェクト化して中身を読むこともなく放置していた訳だが……。何かあるんじゃないか?いや、何もない訳がない!だって真理なんて御大層な言葉を冠した本なんだぜ?何も起きなかった時は兎達のサンドバッグ生活を一週間やってやるさ。……今のは少し吹かしすぎた。忘れてくれ。サンドバッグなんて1秒足りともやりたくない。

 感覚設定で痛覚情報が30%まで軽減されてても痛いものは痛いのだ。できれば攻撃なんて受けたくない。

 気を取り直してオブジェクト化行ってみようか。なーに、もし使えないアイテムだったとしても気にしない。もともと詳細不明なアイテムだからな。

 それに特典アイテムなんだし今より状況は悪化しないだろう。きっと新しくレアスキルが貰えるとかそんな感じかな?名前もなんとなくそれっぽいしな。


「んん?大層な見た目に反して中身は白紙?表示されてた説明まで間違いとかなんなんだよこのアイテム……」


 パラパラと白紙のページをめくっていると唐突にシステムメッセージが流れた。


《特典アイテムの使用を確認しました》

《スキルの制限を完全解放します》

《感覚設定を100%で固定します、以後変更はできません》

《称号【世界と共に歩む者】を獲得しました》




おい、待ってくれってばよ。今、何て言いました…?

 スキル制限解放に称号?あぁ、それはいいさまだ分かる範囲だとも。

 それのおまけで感覚設定100%固定、だと…!?さっき痛いのは嫌だって言ったところでしょうが!あれよ?感覚設定100%って頭のイッチャッテるプレイヤー達が「現実と同じ痛みがないと物足りない」とか言って設定するような鬼ヤバモードのことよ?一般ピーポーな俺が踏み込んじゃいけない領域だと思うのよいやマジで!!


「き、今日はもう夜も遅いしデスペナもあるし明日、そう!明日考えよう。きっと今の俺には思い付かないようなエキサイティングな方法を明日の俺は提案してくれるさ!」






 てな訳でログアウトの時間だぜ!お金がなかったのでバルザさんの名前を出して牢屋で一泊させてもらいました。たのしかったです。

フラグ回収は迅速にね!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 正直痛覚設定100%固定とかなったら苦情で大変なことになるし、現実では不可能だよね
[気になる点] 「食べる時には鑑定してくださいね」 『貴方が選んだのはこれですね?』  ロシあーんクッキー☆ですかそうですか。
感想一覧
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