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クエスト終了

いつもよりちょい短めです。

なお久しぶりにおまけ有りだったりする。

「いやはや、一部の騎士が貴方を敵視しているとは聞いていましたがいきなり職務放棄して襲い掛かる程だとは思いませんでしたなぁ」

「はぁ」

「私もソフィア様ファンクラブの会員ではあるのですが、会員番号は5桁の新参でしてね。古参の方々は過激なんだなと驚くばかりですよ」

「そうですか」


 敵意を隠しもしない良い笑顔の騎士達に案内されたのは小太りのおっさんのいる部屋だった。

 財務担当の大臣の一人らしいが、ファンクラブの会員って時点でまともな気がしない。


「それにしても一部とは言えこうも早く修繕費を納めに来てくださるとは勤勉ですねぇ。こちらで返済用にクエストも見繕ってありますのでこの調子ならすぐに払い終わるでしょうな」

「はい? あの俺は全額払いに来たんですけど」

「なんですと!?」


 まぁ冒険者ランクEの俺が大金持ってくるとは思わないだろうし、驚かれるのは無理もない話だ。


「……失礼ですが、確認させて頂きますぞ?」

「どうぞどうぞ」


 俺は金貨の詰まった袋を差し出した。


「そ、そんなバカな……本当に500万コルあるだと? これでは用意したクエストで合法的に抹殺する秘密計画が実行できんではないか!」

「おっさん、秘密計画の内容おもっくそ口に出してんぞ」

「はっ、しまった!」


 本当にファンクラブには録な奴がいないな。


ピロン

《クエスト、王城の修理資金を調達せよをクリア》

《コーデル王国の王家からの信用度が上昇した》


 クエストクリアか。ならこんな危険地帯に長居する必要はないな。さっさとカードショップを探しに行こう。


「せっかく用意したクエストが無駄になって残念でしたね! じゃ、そういうことで~」

「くっ、この不測の事態をボーガン殿になんと説明すればいいのだ……」


 首謀者あの爺さんかよ! まだ近くを彷徨いてるかもしれないし慎重に帰らねば。


「きゃっ」

「おわっと」


 とか言ってる側から曲がり角で人とぶつかるなんてベッタベタなシチュエーションに遭遇するとか警戒能力低すぎませんかねぇ?

 せめて相手がメイドさんだといいんだが。ほら、ここって城だから貴族が出入りしてるじゃん? これでぶつかった相手が貴族のご令嬢だったりしたら怪我なんてしてなくても騎士達が嬉々として俺を狩りに来そうな気がするんだよね。


「ちょっと! 私にぶつかるなんてどういうつもりなの、よ? やだ、貴方はフィリックちゃんを見つけてくださった……まさか私と駆け落ちしに来たのですか!? だ、ダメよ……私には王家としての責任が……」

「好感度がそのまま、だと……!?」


 なんという事でしょう。ぶつかった相手は貴族どころかこの国のお姫様でした。しかもお花畑モードが継続されているってどういうことだってばよ……。

 はっ、まさかさっきのクエストの好感度上昇が原因だってのか? さすがにチョロすぎるだろ……って元からチョロかったはこの姫様。


「あー、姫様? 私がよく前を見ずに歩いていたせいでぶつかってしまい本当に申し訳ありませんでした。私は城の修繕費を払いに来ただけなのでこれにて失礼!」

「待って!」

「へぶっ」


 横を通りすぎる瞬間に足首掴まれたせいで盛大に転んで顔面を地面に打ち付けてしまった。おのれチョロ姫め!

 だがここで問題を起こす訳にはいかない。なんとか穏便に対処せねば。


「な、何か御用でしょうか?」

「私は貴方のせいで転んでしまったのよ? せ、責任をとって私を部屋まで運んでくださるのが殿方としての義務ではなくて?」

「……わかりました。少々お待ちください」

「は、はい!」///


……

…………

………………



「さ、姫様到着しましたよ」

「……はい」


 俺はストレージから普段ホーム建設の作業で使ってるリアカーを取りだし、クリーンを掛けて姫様を乗せて部屋まで運搬した。城の廊下が広くて本当に助かったぜ。

 姫様からコレジャナイ感がひしひしと伝わって来たが、スルースキルを最大限発揮することでどうにか耐えきった。

 すまんな姫様、俺のSTRじゃ人一人を抱えて長時間行動するのは難しいんだわ。

 俺だって本当ならお姫様抱っことかしてあげたかったんだよ? だからそんなジト目で見ないでくれや。

おまけ

ボーガンの考え


ライリーフ抹殺計画書


1、騎士団の遠征に参加させる

2、孤立させ強力なモンスターと戦わせる

3、ピンチになった所でソフィア様とこれ以上親密にならないことを誓わせて助ける

4、3で拒否した場合モンスターごと殲滅する


「ふん、まぁこんな所か」

「流石ですボーガン様! この案ならば確実にソフィア様に近づく悪い虫を始末できますね!」

「後はこいつをクエストとして受理させりゃ獲物が罠に掛かるのを待つだけで済むって訳よ。ポルポ、小僧が来たら上手いことクエストを受けるように誘導しろよ?」

「もちろんですとも。次の遠征と言いますと賢者の森付近ですか……あそこには強力なモンスター達が多く生息していますから成功は確実でしょうな」


やれやれ、連中と来たらあんな物を本気で実行しようってのか?

俺ァ、プレイヤー相手じゃ効果も薄いと思うんだがなァ。

それにソフィアの嬢ちゃんに友人が出来ることはいいことだと俺ァ思う。

ファンクラブの連中がやたら目を光らせているせいで録に同年代の友がいないのは見ていていい気分じゃねェ。

なまじ王国最強の騎士なんて肩書きのせいで野郎共だけじゃなく、本来なら友人になれた筈の貴族のご令嬢達までファンクラブに入って来やがったのが原因でもあるが……。


「いや、そもそもの原因は俺が嬢ちゃんに土ィつけられたあの日か」


指南役の俺がまだ8歳の嬢ちゃんに剣で圧倒されたのは今となっちゃいい思い出ではあるが、あれを切っ掛けにファンクラブなんてのが出来ちまったんだよなァ。

あれからもう十年以上……嬢ちゃんが自分から友人を作ったのは本当に喜ばしい。喜ばしいが……。


「それはそれとして何処の馬の骨とも知れねェ野郎ってのはいかんわな」


せめてさっき書いた計画書通りに事が進んだとして、強力なモンスター相手に一歩も引かねェくらいの男気は見せてもらわねェと安心して嬢ちゃんを任せられんぜ。

ま、どのみち嬢ちゃんの方が強ェってのは言わぬが花だろうがよ。

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