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黄金の光

「よし、あとは皿に盛り付ければ完成だな」

「ふわぁ、もう匂いだけで美味しいって分かっちゃいますよ~」

「だな。さっさと移動して食べようぜ。あ、実は待たせてる奴等がいるから一緒に食べるなら俺の部屋に来てもらっていいか?」

「もちろんです!」

「……完敗だ」

「うわっ!? おっさんいつの間に入って来やがった!」


 てか何勝手にフライパンから味見してんだよ。おっさんの分はもう皿に取り分けてあったのに。


「こんなに美味い料理を食ったのは初めてだ……あんちゃん、どうか俺を弟子にしてくれ!」

「面倒だからパス。おっさんの分は皿に取り分けてあるから、それ食って勝手に研究してくれ」

「そんなぁ!?」


 俺達はおっさんに料理を押し付けて部屋へと向かった。





「待たせたなお前ら」

「クエェ」(漸く戻ってきたか。主よ、ここまで我を待たせたのだ。生半な物を出すことは許さんぞ?)

「ホー、ホッホー?」(だから何様だよお前。おや、そちらの方はどなたで?)

「ちょっと厨房で一緒になってな」

「わー! 猫ちゃん以外にもテイムしてたんですね! 店主さん、本職はテイマーなんですか?」

「あー、そんなとこかな」


 残念ながらテイマーのジョブすら解放されてません。

 まぁ全部で3匹もモンスター連れてれば勘違いもされるわな。でも1匹は眷属だし、1匹はまだ正式にテイムしてなかったりするんだけど。

 あれ? そう言えばなんでセレネの言葉は分からないんだろう。テイムしたモンスターよりコミュニケーションがとりづらい眷属ってどうなのよ?


「ホー」(旦那、とりあえず食べてから話しましょうぜ)

「そうだな。料理が冷める前に食べようか」

「クエェ?」(これは……魚か? 実にいい匂いだ)


 どうやら成金鳥も満足してくれそうだな。どれ、レア度でも確認してみるか。



アイテム

魔鯛のアクアパッツァ ★★★★★

空腹度50%回復 30分間MP上昇・大

30分間INT上昇・中

ウロコに豊富な魔力を持つデビルブリームのアクアパッツァ

一口食べれば魚介の旨味が口いっぱいに広がり、体に魔力が満ち溢れる



 おお、中々にいい出来だったみたいだな。

 ウロコも素材に使えそうだったのに、捨てちゃったのはちょっともったいなかったか。

 さて、効果はいいけど問題は味だ。途中で味見はしてあるが、完成品になると途端に味が変わったりするから気が抜けない。


「それじゃ、いただきまーす……うぉっ!? 美味いな!」

「ホッホー!」(くぅ~、口の中に旨味がどんどん押し寄せてきまサァ!)

「クェ、クエェ!」(クフフ、相も変わらず素晴らしい料理だ。全身に魔力が満ち溢れ我の輝きが5割増し!)

「おい、モグモグ……ング、眩しいから光るのやめろよ」

「クエェ?」(何? 我最大の賛辞は不要だと?)

「ホー?」(普通に口で美味かったって言えばいいだけじゃねーですかい?)

「クェ」(それではインパクトにかけるので却下だ)


 料理の感想にインパクトなんていらなくね?

 にしてもこれ美味いなぁ。魚を噛み締める度に旨味が津波のように押し寄せてくる。

 たしかいつものスーパーは水曜日に魚のセールやってたな。3日後の献立はアクアパッツァに決まりだ。


「……」

「あれ? シフォンは食べないのか?」

「だ、だって、これ! レア度が! 効果も!」

「PMじゃないんだから素材さえあればまた作れるだろ。冷めたら美味しさ半減だぜ?」

「うぅ、たしかに……でも戦闘する予定もないのにこんないい効果の物を食べるなんてもったいないです!」

「なら食べ終わったら島の森にでも散歩に行こうぜ。ノクティス、手頃なモンスターがいる場所まで案内頼むな」

「ホッホー」(任せてくだせぇ旦那。危なくなるまで手出しは無し、ですよね?)

「ああ」

「クェ……」(我の方がこの島には詳しいのに……)


 金ぴか鳥が拗ねてる。かわいい奴め、自分を頼りにしてもらいたかったのだろう。

 見た目と口調はだいぶ変わってしまったが、煉獄の虚島にいた頃と中身はそれほど変わっていないみたいだ。

 飯を食べ終わったら、森に行く前に名前をつけてやろう。

 最初は適当にナリキンって名前にでもしておこうかとも思ったが、ちゃんと考えてやるからな。




「はふ~……すっっっっごく美味しかったです!」


 美味い飯は無くなるのも早い。

 皿には魚が丸々1匹尾頭付きで盛られていたのに、ものの10分で全員完食してしまった。なんなら二皿目も食べたいくらいだ。


「んじゃバフ掛かってる内に森に急ぐか」

「……店主さん、やっぱりやめましょう。こんなに美味しい物を食べて幸せな気分なのに戦闘で殺伐としたくないです!」

「なんて滑らかな手の平返し……だが俺も同感だ! 戦うのめんどくさい!」

「ホー」(食休みは大切ですしね)

「クェ、クエェ」(ふん、つまらん。我のゴージャスかつエレガントな攻撃を見せてやろうと思ったのに)

「それはまたの機会に頼むよルクス」

「クェ……ク?」(ふん、次にいつやる気になるかは分から……ルクス?)

「お前の名前だよ。ルクス・アウレアで黄金の光な。金ぴかなお前にはぴったりだろ?」

「ク、クエ!」(ま、まぁ悪くはないな……だが我を表す名としては及第点であると知るがいい!)

「はいはい」


 実に分かりやすいツンデレだ。尾羽がピコピコしてて上機嫌なのが隠せていない。


ピコン!

《鳥ガーハッピー・ゴージャスのテイムに成功しました》


 ゴージャス……やっぱり普通の鳥ガーハッピーじゃなくなってたのか。しっかし、特殊進化の亜種ってもはやユニークなのでは?


「そのピカピカの孔雀さん、まだ名前つけてなかったんですか? テイムしたら最初にするのが名付けだって聞いたことがあるんですけど」

「こいつは飯目当てで自分から押し掛けて来たからな。今名前付けたら正式にテイム成功したわ」

「へー、そういうテイムの仕方もあるんですね! 私もご飯あげたらモンスターと仲良くなれますかね?」

「餌付けスキルでも生やせば簡単だと思うぞ」


 このスキルはさっき料理術のレベルを確認した時、下の方に増えてたのでたぶんテイム系のスキルで間違いないと思う。

 鳥さんの巣でこのスキルが増えなかったのは、たぶんテイムをしなかったからだろうな。




「それじゃあ店主さん、また何処かでご一緒しましょうね!」

「おう。シフォンも料理頑張れよ」

「はい!」


 シフォンは元気に俺の部屋を出ていった。

 ……うん? もしや今のはお部屋デートだったのではなかろうか!?

 まるで気にしていなかったが密室に男女二人っきり(+2羽)でのお食事、これはもう完全にデートだろう!

 シット! 何故俺はもっと好感度マシマシになるような会話ができなかったのか! あーもったいない!

 だが久方ぶりに増えたフレンドが美少女なのはグッドだ俺! ってあれ? よく見ると男の方が少ないな。ライトとアルバスとウォーヘッドしかないじゃん。

 これはまさか、俺にモテ期が到来している……!?


「ヒャッホー! 楽しくなってきたぜ!」

(いきなりどうしたんです旦那?)

(ふん、我をテイム出来て浮かれているのだろう)

(いや浮かれてんのはお前だろ……)





 少しして冷静になった俺が、モテ期はまるで関係ないと気がついたのは言うまでもない。

いつも読んで頂きありがとうございます。


ボックスガチャが気になって筆の進みが遅い今日この頃。

イベントスタートして更新頻度落ちても許してください。

英雄の証が3桁程欲しいのです。

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