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チュートリアルで詰んだかもしれない.10

 なんと俺が挑んでいたのはユニークモンスターだった。普通、兎は空を駆けない。そんな事実を空を駆ける兎から突きつけられた俺はどう反応を返せばいい!


「もう!私を仲間外れにして二人でお喋りなんてずるいわ!」

「あぁ悪い。俺はライリーフだ。今さらだがあんたの名前を教えてくれないか?」

「そういえばまだ名乗っていなかったかしら?私はアイシャよ、よろしくね」





 ボス兎に文句を言われたくないので早々に本題の食料提供を頼むつもりだったのだが、いやはや女子ってやつは何故こうもお喋りが大好きなのだろうか。

 俺が兎達と会話できるとバレているのも原因なんだろうけど、かれこれ1時間は話続けている。どうやら同類判定をうけてしまったらしい。

 ゲームを始めたきっかけから今に至るまでのことをとても楽しそうに話してくれた。【マゾ】や【ドM】なんてひどい称号もあるらしいぞ?

 俺はその間当たり障りのない受け答えをするので精一杯だった。別に早口な訳でもないのに流れるような繋ぎで話が続くのだ。もふリストの熱量マジヤバい。

 加えて俺の目の前には揺れる質量破壊兵器が展開されている。チェリーなボーイたる俺は理性を保つのに必死である。

 さっさと本題に移れ、と言わんばかりに俺の尻を蹴ってくるボス兎の存在は正直ありがたかった。めっさ痛かったけどな!


「それでね、次は森の狼さんとかくまさんともお友達になろうと思ってるの!」


 うっし、チャンス到来!このタイミングなら自然に本題へと移れる。何より尻が限界だ。そろそろ4つに割れるんじゃないか?


「それはいいですね。所でアイシャさん何か食料系のアイテム分けて貰えませんか?兎達からは萎びた葉っぱしかもらえなくてそろそろ空腹値がヤバいんですよ」

「まぁ、それは大変ね。手作りのクッキーでいいかしら?あぁ、お話をするならお茶を用意すればよかったわ!兎さんとのお茶会、なんて素敵なのかしら!」

「そ、それは子兎達が起きてからにしましょう!その方が断然いい!」

「そうね、仲間外れにしては可哀想だもの」


 ふぅ、なんとかまともな食料にありつけそうだ。美少女の手作りクッキーとはLUKさんもやるじゃな~い?

 いや待て、これはシステム外のことだから俺のリアルLUKのなせる技じゃないか?ふっ、システムLUKにも見習ってほしいもんだぜ。


「はいどうぞ。お好きな物を選んで」

「おお!ではありがたく」


 ムシャムシャムシャ。うーん不思議だ。食感はクッキーなのになんとなくフルーツゼリーが思い浮かぶ味わい。かと思えばスパイシーな風味もあったり、濃厚なバニラアイスのような味もある。


「いろいろな味があって楽しいでしょう?」

「ええ、次にどんな味が来るかわくわくしますね」

「あ、でもたまに失敗作が混じっていることもあるから鑑定か識別はかけてくださいね?」


 恥ずかしそうな表情も可愛い。しかし鑑定か。俺、持ってないっすわ。

 一応スキルを確認してみたが無かった。手加減、回避、予測、見切りが増えてたけどな。


「ちなみに失敗作を食べると何かあったりするんですか?」

少しマズイくらないなら問題ないんだが。

「いくつかのバッドステータスがついてしまうの。味は他の物と変わらないのだけど……」

「へー、バッドステータスかぁ」


 その瞬間目の前が真っ暗になり死に戻っていた。




……………。

ちょっとリアルLUKの揺り戻し早くない?さっき誉めた言葉を返してほしいものである。


「お、また死んだのか?今回はだいぶ粘ってたみたいじゃないか」

「ウォーヘッド、まだいたのか」

「ついさっき識別が手に入ってな。今引き上げるところだ」

「いいなぁ。俺も識別持ってれば死に戻らずに済んだのに」

「何かあったのか」

「美少女の焼いたクッキーがロシアンルーレットで当たり引いた」

「フィールドに狩りに出ていたんじゃなかったか……?」


 ほんと不思議だよな。





「そんなことがあったのか。この後予定がなければクエストを手伝ってやれたんだが、すまんな」

「いいって。チュートリアルクエストくらい一人でクリアできなきゃいい笑い者だしな。それより予定ってどんなの?」

「俺のなりたいジョブに識別が必要だったんだ。で手に入ったから早速師匠に弟子入りにいこうって訳さ」

「転職クエストか」

「ああ、これでようやくガンナーになれるぜ」


 転職クエストとは文字通り転職するためのクエストだ。

ただし、本来転職は街にある神殿で行うもの。レベル最大でMaster状態になったジョブなら、神殿に行かなくても自分で変更することができる。

 ならば何故クエストがあるのかと言うと、理由は大きく2つある。

 1つはより上位のジョブを出現させる条件として。もう1つはステータスが足りていなかったり、ゲーム中の行動に合わず解放されていない職業になりたい場合に必要なのだ。

 後者の場合、なりたいジョブのNPCを探し出して弟子入りする必要があって、弟子入りできるとジョブが○○見習いに変化する。

 師匠から出されるクエストを5つ達成することで晴れて見習いがとれるのだ。

 ふふん。俺だって毎回何もわからない訳じゃないんだぜ?

 たまたま覚えてただけで、上位ジョブ解放のクエストのほうは説明できないのは内緒だ。


「ガンナーってことはこのゲームには銃があるのか」

「最近ダンジョンで手に入れた。しかもただの銃じゃないぞ、魔導工学によって産み出された魔弾銃だ!」

「おお!っていいのか?そんなこと俺に話しちゃって」

「掲示板でひとしきり祭りになった後だからな。街の住人からの情報で北の帝国で作られているらしいってこともわかってるんだ」

「魔導工学、北の帝国……ロマンが止まらない!」


ピピッピピッ!


「ん、フレンドコール?」

「お、なら俺は邪魔にならないように師匠の所にでも急ぐかな。またどこかでなライリーフ」

「おう、またな」


さて、フレンドコールの相手は誰だろう。





まだライトが承認してくれてないから候補は一人なんだけどな!

【マゾ】

一定時間自分の意思で攻撃を受け続けた者の証

効果

攻撃を10回受ける度に最大HPの3%を回復


【ドM】

自分の意思で防具を装備せずにひたすら攻撃を受け続けた者の証

効果

攻撃を受ける度に最大HPの1%を回復



アイシャさんは立っているだけで回復も反撃も行えるヤバい人です


帝国編、いったいいつ頃になるでしょうか…

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― 新着の感想 ―
[良い点] あれ? 子うさぎでゲットしてねーです?
[良い点] 防御を鍛えれば生えそうだな! 脳波測られてるのか。。。 [一言] 主人公もマゾどっちゃえよー。
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