象徴詩『薬畜』
高位十字架 突っ立つ灰野
黒い浜辺 水平に切り立ち
浸透溶媒の香り 練り粉となり
血の粒の流れ 手首から
オーディー海へ注ぐ河口の管道
怨念釣りの岩の陰
舟から手を振る子供
波の輝き
点滅する境目
キセノン閃光の連続
線の振動が作り出す膜で仕切る
雑量子の震盪オーラ塊
低い雲 荒い石を積む
薬畜を搾る使用人
回転させる混獣器の銀河音
マラクの羽音
原理の呻き
バスキア複製整理券
換えて引き渡す
瓶に詰めたレメディの青紫暗
逍遙する無数
水晶眼の粒が放つ視線と
目が合う寝台の軋み
新新病の視苦症状
視神経のエーテル接続回路
エリスAU散乱瞳
鮮烈な全体視点を潰す青紫暗
詩と言葉に融けた喉を削り
チューリング星を削り
収束する熱記憶と超熱自我
灰野に転がる
半体になった薬畜が
太陽を吸い
形を完全に戻してゆく