徒然怪談

髪の毛

朝起きると髪がオレンジに染まっていた。

またか、と私は思う。

ここ数日いつもこうだ。目を覚ますと私の髪は、昨日までとは違う色に染まっている。

三日前は茶色、一昨日は金髪、昨日は赤。そして今日のオレンジ。だんだんと色が派手になっている気もする。

自分でやったのではないとどんなに主張しても無駄だった。何故なら私は独り暮らしで、その事は皆が知っている。私がやったのでなければ誰なのか。そんなもの私が知りたい。

このままでは私の社会的信用に関わる。出来の悪い頭を動かし、私は今後の対策を考え始めた。

目を覚ました私の目に映ったのはピンクに染まった自分の髪の毛だった。

辟易する。だが今はそれを気にしている場合ではない。

私はゆうべのうちに設置しておいた監視カメラを手に取った。ここに総ての答えが映っている筈だ。

溢れる唾を飲み込みながらビデオを再生する。画面には眠る私が映っている。

暫く何の変哲もない光景が続く。私が若干飽き始めたその時。

私の髪が、まるでカツラを脱ぐみたいにズルズルと動き部屋の外に消えた。

そして今の色の髪がやってきて私の頭に収まった。

……私の髪が、蠢いた、そんな気がした。