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徒然怪談  作者: 由希
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水ぶくれ

朝起きて、右手人差し指を確かめる。いつも通りの綺麗な指先。大丈夫。まだ私は私だ。

火傷もないのに唐突に、右手人差し指に水ぶくれが出来る時。私は、私でなくなるらしい。

最初は小学生の時。次は高校生の時。私自身には全く自覚はないのだが、ずっと同じ学校に通っていた友人によるとその日を境に人格が激変するという事だ。

そして気が付けば、こうして右手人差し指を毎朝確認するのが癖になってしまっている。私はその日が来るのが恐ろしい。自分が自分でなくなるその日が。

何より、次の人格とやらがもしも残忍な恐ろしい人格だったら……。

そんな胸に広がる恐怖を振り払いながら、私は会社に行く支度を始めた。



朝起きると、右手人差し指に水ぶくれが出来ていた。はて、火傷などしただろうかと考えて、例の話を思い出す。

だとしたら私はもう昨日までの私ではないのだろうか? そう思ったが特にそれ以上興味は沸かなかった。

私はすぐに裁縫箱からまち針を取り出すと、昨日までの自分に別れを告げるように水ぶくれに思い切り突き刺した。深く刺しすぎたらしく血も一緒に溢れてくる。

それを見ながら、私の顔には自然と笑みが浮かんでいた。

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