第二話 猫の異世界 その2
「う、うわぁぁ! 助けてくれぇぇ!」
どこぞの誰かさんのSOSを求める叫び声が聞こえる!?
「悲鳴の主を探してみるわ!」
カラスである沙羅は、バサアアアッと真っ黒な翼を羽ばたかせながら、勢いよく空中に舞いあがる。
「緑色の小鬼に追いかけられているウサギがいるわ!」
空中に舞いあがった沙羅は、悲鳴の主を発見する。そんな悲鳴の主は、どうやらウサギのようだ。
「あの小鬼はゴブリンかな? ふふ、RPGの序盤を想像する! やっつけよう、猫のおぢさん!」
「え、ええ~!」
助けようだって!? ぐぬぬ、そうしたいが今の俺たちに助けられるのか? お、俺なんて猫なんだぜ――。
「おぢさんは臆病者だねぇ。うりゃぁぁぁ!」
「おい、待てよ!」
俺に臆病者って言うと沙羅は、緑色の小鬼に追い回されているウサギを助けるべく標的目掛けて飛翔する! ぐぬぬ、臆病者って言葉は否定できないかも……。
「く、くそ、もうやぶれかぶれだぁー!」
「ライドオンッ! さあ、行きましょう!」
シャッと俺に背中に騎乗する優奈! よ、よぉし、沙羅が向かった方向にダッシュだ!
「もうやぶれかぶれだぁー!」
猫にだって戦う力があるんだ! そ、それを見せてやる――ッ!
「た、助けてぇ! う、うわぁぁ!」
「ヒヒヒヒ、昼飯ィィィ!!」
「ウサギ鍋ェェ! ヒャッハァァ!」
「オイ、ソイツハつぁとぐあ様ニ捧ゲル生贄ダ! 捕マエテモ食ベルンジャナイゾ!」
ウサギを追い回す緑色の小鬼は、全部で三匹。んで、容姿はというと緑色の薄気味の悪い肌、無駄にでかい目玉に鷲鼻、それに先端が尖がった大きな耳が特徴的かな? そして原始人を連想させる毛皮の服を着ており、さらにこれまた原始的な武器とばかりに、お手製の石の棍棒をたずさえている。
「ウサギさん、今から助けてあげる! うりゃああああ――ッ!」
む、無謀だ! 空中を旋回する沙羅が、ズドーンと地上にいる緑色の小鬼の一体の脳天目掛けて急降下する!
「んんん、燃えてきた! うりゃあああッ!」
ドガガ――ッ! と上空から急降下する沙羅の両足に生えた鉤状の爪が、緑色の小鬼の一匹の脳天を直撃する!
「パンッ! 砕け散った!」
沙羅の両足に生えた鋭い鉤爪が、グシャァと緑色の小鬼の身体に勢いよく食い込む! それと同時、パンッという破裂音とともに小鬼は砕け散る!
「なんだか呆気なかったなぁ」
「残りの小鬼が逃げ出したぞ!」
「ああ、倒した緑色の小鬼の破片が金色のコインに変わった!」
緑色の小鬼の破片が、パアアアッと金色のコイン――金貨に変化したぞ!?
「うは、コイツは金貨だぜ! ラッキー♪」
金貨GET! いきなり得したって感じかな?