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第一話 欲望の世界へ!

「ここがラッキーアイランドってゲームのテストプレイヤーを募集していた会社の事務所があるビルか……」



 俺の目の前にそびえ立つものは、築四十年は軽く超えているようなオンボロな雑居ビルだ。



 このオンボロ雑居ビルの三階にあるAZ社というゲームソフトの制作会社の事務所に用事があるんだ。



 さて、名乗っておくかな。



 俺の名前は和泉京太郎。



 歳は三十歳で独身。



 童貞のまま三十路を迎えると魔法使いになれるって妙な噂話を本気で信じてしまったお馬鹿な男さ。



 背格好は中肉中背。



 容姿はイケメンでなければ、ブサメンでもない。



 普通ってところだね。



 最終学歴は大学中退ってことで高卒になる。



 とりあえず、安月給だが深夜のコンビニで働いているので無職でニートってわけじゃない。



 家族は両親と四歳年の離れた妹の四人家族。



 家族仲は悪くない方かな? むしろ、俺の方から家族を避けているが――。



 ああ、長所は特にない。学生代の運動神経、それに学力は、良くも悪くもない普通だったし――。



 なあ、アニメやゲームが好きってことは、長所じゃなくて趣味か?



 おおっと、そんな趣味のひとつである競馬が招いた借金という短所があり、そっち絡みのことで悩まされている。



「あの野郎、どこに!」



「逃がすんじゃねぇぞ!」



「うわ、やべぇ!」



 くそ、借金取りの奴ら、俺を後を追尾してきたな!



 うう~ん、俺は悪徳金融から金を借りてまで競馬に没頭していた。



 そんなこんなで、膨らんだ俺に借金は、すでに七桁に達している!



 ついでに、毎日のように悪徳金融会社の借金取りの男たちが実家に押し寄せてくるハメにまで陥っている。



「早いとこAZ社に!」



 俺はAZ社の事務所があるオンボロ雑居ビルの中に駆け込む!



 早いとこ金を儲けて、アイツら追い回される日々から脱出したいぜ、まったく!



「抜き足、差し足、忍び足で階段を――」



 借金取りが近くにいる以上、気配を感じ取られたらアウトだ! 



 アイツらの事務所に連れて行かれるなんて絶対に嫌だ!



 そんなわけで俺は、息を殺し、気配を殺しながら雑居ビルの階段を上がる。



「お、けっこう人がいるな」



 階段のあちらこちらには、煙草の吸殻なんかが散乱しているし、壁には赤いスプレーで『欲なき者は去れ!』なんて落書きが見受けれる。



 それはともかく。上の階からワイワイガヤガヤとにぎやかな声が聞こえてくる。



 若い男の声、しわがれた老人の声、若い女の声も聞こえるぞ。


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