第5話
桜華学園の中には多くの職員や研究員も在籍しており、子供がいるから働けないと言う人間の支援も精力的に行っており、幼稚園や学童保育、その他施設も完備され、1つの町と変わらない規模になっている。
「清瀬くん、お疲れさまです」
「ん? 秋菜さんにみあ? 今日も怜生くんの迎えは2人か?」
秋菜と深秋は怜生を預かって貰っている幼稚園に着くとこの幼稚園の園長の子供で学校が終わると手伝いをしている『清瀬大樹』を見つけて声をかけ、大樹は2人に気が付き、駆け寄ってくる。
「そうだよ。理音くんは研究があるんだって」
「そうか? 相変わらず、前田理事長は忙しそうだな」
「はい。忙しいのに、さっきはみあちゃんに捕まってしまって」
深秋は理音と一緒に帰れない事が不満のようで口を尖らせると、彼女の様子に大樹は苦笑いを浮かべ、秋菜は大きく肩を落とした。
『みあお姉ちゃんが来たぞ。突撃だ!! 今日こそ、倒すんだ!!』
『おお!!』
そんななか、子供達が深秋を見つけ、彼女に突撃を開始し始め、深秋は子供達に囲まれてしまう。
「相変わらず、みあは子供達に人気だな……精神年齢が一緒だからか?」
「え、えーと、どうでしょうか?」
大樹は深秋が子供達と遊び始めた事に優しげな笑みを浮かべると、秋菜は少しだけ困ったように笑う。
「怜生くんを呼んでくるから、少し待っててくれるか?」
「私も行きます。すぐには帰れないでしょうし」
大樹は怜生を連れてくると言い、歩きだすと秋菜は慌てて大樹の隣に並び2人で歩きだす。
「あの。清瀬くんは、いつも、ここのお手伝いをしてますけど、元々は清瀬くんのご両親が経営していたんですよね?」
「何? ひょっとして、秋菜さんは前田理事長がウチを乗っ取ったとでも思ってる?」
「ち、違うんですか?」
秋菜は大樹の両親が経営していた幼稚園を理音が桜華学園のために乗っ取ったと思っていたようで表情を沈ませるが、大樹からの反応は彼女の予想とは反したものであるようであり、大樹は苦笑いを浮かべた。
「基本的にうちだけじゃなく、桜華学園内で営業している施設は経営者は変わってないんだ。基本的に前田理事長は研究者気質のせいか、利益を考えるような人じゃないから、きちんとしたサービスを重視するようにと言う事と学科や研究室、各部活動での支援要請が来たら、協力するって条件で補助金が出るくらい?」
「えーと、それって大丈夫なんですかね? 桜華学園が潰れたりしないんですか?」
大樹は現状の桜華学園での施設についての話を説明すると秋菜は経営難にならないか心配になってきたようで不安そうな表情をする。
「どうかな? でも、補助が出るって事は良い事だと思うよ。実際、研究室を作り上げて経営系の勉強をしている生徒達もいるだろ。それを施設の中で試させて貰ったりもしてるみたいだし、それが使えると言うデータ関係をまとめたりできるのって貴重だと思う。自分が将来、会社を経営するとか考える上で充分な勉強になるからな」
「うまく回ってるんでしょうか?」
「今のところは回ってるんじゃないか? 研究を名目に来ている生徒にはバイト料も払わなくて良い契約になってるからな。経営者からは労働力がただで増えてるから問題なし」
「そ、そうですか?」
大樹の家の幼稚園にも生徒達が手伝いに来てくれているようで、出費がなく人手が増える事を大樹は歓迎しているようで楽しそうに笑うが秋菜は苦笑いを浮かべた。




