第3話
「大丈夫だ。俺は落ち着いている」
「ねえ。良いでしょう。大切な男性のためにお料理や洗濯と言った家事全般を覚えるんだよ」
理音は自分を落ち着かせつようにため息を吐くが、深秋は楽しそうに笑っている。
「……そうか。それは男に寄生する人間を作ると言う事か?」
「えーと、理音くん、それはちょっと言い過ぎだと思うんですけど」
理音は深秋の提案にはあまり関心していないようであり、毒を吐くと秋菜は苦笑いを浮かべた。
「大好きな人のために何かをしてあげたいのは、良い事でしょ。ボクも理音くんにいろいろしてあげたいし」
「それが悪い事とは言わないが、そのために自分の将来を捨てるのは名目上でも聖職者になる俺に言うセリフではないな」
深秋は再度、理音の腕に自分の腕をからませて、笑顔を見せるが理音は首を横に振る。
「それを学んでも、その先に活かせるかはわからないしな。だいたい、みあ、お前はお前で夢があるんだろ。他人の事を気にする前に自分の事を考えろ」
「みあの夢は理音のお嫁さんになる事じゃないか?」
「……深月、お前は気配を消して、俺の背後に立つのを止めろ」
理音は深秋の夢も知っているためか、小さくため息を吐くと彼の背後から音もなく近づいた女子生徒が理音に声をかけ、理音は振り返り、突如として現れた女子生徒『弓永深月』の行動に眉間にしわを寄せた。
「まぁ、細かい事は気にしないでよ。それで、みあの夢がどうかしたの?」
「ボクの夢は理音くんのお嫁さんとデザイナーになる事だよ」
「知ってます」
深月は話の内容を確認しようとすると深秋は自分の2つの夢を胸を張って答え、秋菜は真っ直ぐ過ぎる深秋の様子に恥ずかしくなったようで大きく肩を落とす。
「で、理音の反応は?」
「ん? 何だ。来年の俺の誕生日には籍を入れる準備はできてるぞ」
「……理音、わかってるけど、もう少し、隠すとかはないかな?」
深月は理音に返事を聞くと、理音は表情を変える事なく、深秋とともに進む覚悟はできていると答え、幼なじみな天然カップルの様子に反応に困っているようで深月は苦笑いを浮かべた。
「隠す理由がわからん。それより、深月、お前はなんのようだ? 俺はこれから研究室に戻らないといけないんだ。何もないなら、秋菜、みあと深月を引き取ってくれ」
「は、はい。みあちゃん、深月ちゃん、行きましょう」
「うん。そうだね」
理音はいつまでも話しに付き合ってもいられないようで、常識人の秋菜に2人を連れて行って欲しいと頼むと秋菜は深秋の手を引っ張り、深秋は大きく頷く。
「そうだね。ボクも明斗から逃げてる途中だし、長居はできないかな?」
「……そう思う前に、逃げるな。バカ姉貴」
深月は自分も忙しいと理音達から離れようとした時、深月の肩を1人の男子生徒がつかむ。
「さて、行くか」
「……深月、逃げるな。明斗に迷惑をかけるな」
「理事長先生、ありがとうございます」
しかし、深月は何事もなかったかのようにその手を振り払うと全力で逃げ出そうとするが、理音はそんな深月の首根っこをつかみ、男子生徒は理音に頭を下げた。




