第2話
「……大丈夫だ。みあ、何のようだ?」
「えーと、えい♪」
理音は吹き飛ばされた時に、腰をぶつけたのか腰をさすりながら立ち上がると『みあ』と呼ばれた女子生徒は笑顔で理音に抱きつく。
「……秋菜、みあは何がしたいんだ?」
「えーと、わかりません」
理音は眉間にしわを寄せるともう1人の女子生徒に状況を確認しようとするが、彼女は苦笑いを浮かべる。2人の女子生徒は理音の幼なじみの双子の少女であり、理音に抱きついている女子生徒は妹の『吉井深秋』、深秋の行動にいつも引きずられているのが姉の『吉井秋菜』と言う。
「みあ、取り合えず、離れろ。俺はこれから、研究棟に戻らないといけないんだ」
「えー」
「みあちゃん、わがままを言わないで、理音くんは幼なじみだけど、私達は学生で理音くんは桜華学園の理事長なんだよ」
理音は深秋を引きはがそうとするが、深秋はつかんでいる腕にさらに力を込め、秋菜は深秋のわがままに本当に困っているようで大きく方を落とす。
「理音くんは理事長でもボクの彼氏だし」
「悪いな。公私混同はする気はない」
深秋は理音に抱きついたまま、笑顔を見せるが理音は深秋の話す関係性については否定しないが今はその時ではないと深秋の頭を撫でた後に彼女を引き離した。
「うー、残念」
「それで、2人は何の用だ? 俺は忙しいんだ。急ぎの用件でないなら、仕事が終わってからにしてくれないか?」
深秋は残念そうな表情をすると彼女の様子に理音はやさしげな笑みを浮かべ、もう1度、2人が自分の元を訪れた理由を聞く。
「あのね。ボクね。新しい学科を思いついたから、理音くんに承認して貰おうと思って」
「そうか。新しい学科か。却下だ」
深秋は理事長である理音に新しい学科を作って欲しいと言うが、理音は迷う事なく却下する。
「どうして?」
「みあが提案する学科は意味があるかわからん」
「で、ですよね」
理音は聞く価値すらないと言い切り、秋菜は苦笑いを浮かべながら頷く。
「そんな事ないよ。ボクとみーちゃんが提案したBL研究会はあんなに活気づいているじゃないか」
「あぁ。自由な研究を売りにしている事を心の底から後悔したがな」
理音は深秋の以前の提案に乗ってしまった事を後悔しかしてないようであり、彼の眉間にはくっきりとしたしわが寄った。
「大丈夫だよ。これは間違いなく、希望者が続出だよ。良い?」
「……秋菜、俺はこれを聞かないといけないのか?」
「聞いてくれないと収まらないみたいなので、聞いてから、却下してください」
深秋はよほど自信があるようで得意気に胸を張るが、それに反比例して理音と秋菜は不安しか感じていないようである。
「……わかった。聞くだけ聞くが、期待に応えられるとは限らないからな」
「うん。良い。ボクが提案する新しい学科はずばり、『お嫁さん学科』だよ♪」
「……」
「り、理音くん、落ち着いてください」
深秋は決まったと言いたげに右手を高く上げるが、理音は当然、理解が出来ないようで眉間のしわは一層、深くなって行き、秋菜は理音を落ち着かせようと慌てて声をかけた。




