第13話
「じゃ、邪魔だって、だとしてもいきなり蹴り飛ばす必要がないだろ!!」
「あ?」
「い、いだっだっだだ!?」
奏は立ち上がるなり、男子生徒につかみかかろうとするが、男子生徒は奏の腕をつかむと奏の腕を捻り、廊下には奏の悲鳴が響く。
「伐先輩♪」
「み、みあちゃん!? と、止まってください!!」
「……ったく、めんどくさいのがきたな」
男子生徒は3年の『黒須伐』であり、彼を見つけた深秋が秋菜を引きずったまま、伐に向かい一直線に向かってくる。伐は2人の姿に舌打ちをすると表情を変える事なく、深秋の直進方向に奏を投げ捨てた。
「ぐほっ!?」
「うー、また、伐先輩に避けられた」
「だ、大丈夫ですか!?」
奏は深秋の勢いに轢かれて壁まで吹き飛び、秋菜は深秋が轢いた奏を心配するように駆け寄るが深秋は伐に抱きつく事を1つの目標にしているようで悔しそうな表情をしている。
「な、何するんだよ!?」
「……何がしたいんだろうな?」
奏は立ち上がり、声をあげると伐は深秋の考えはわからないようで眉間にしわを寄せた。
「す、すいません。ほ、ほら、みあちゃんも謝ってください」
「うーん。抱きつき心地は良くなかったから、チェンジで」
秋菜は奏に慌てて頭を下げ、深秋にも謝るように言うが、彼女は両腕を胸の前組み、頭をひねると奏では不服だと答える。
「……俺が悪いのか?」
「えーと、全面的に悪いのはみあちゃんです。みあちゃんも早く、謝ってください」
奏は深秋の様子に一瞬、自分が悪いのかと思ってしまったようで眉間にしわを寄せた。秋菜は慌てて何度も何度も奏に頭を下げ続けている。
「えー」
「……これは俺は怒っても良いんだよな?」
「知るか。ただ、そいつを怒るなら、この世にお別れをする覚悟だけはしろよ。あのガキの精密射撃は世界を狙えるからな」
謝る気はないようで不満げな声をあげる深秋に奏は眉間にしわを寄せたままつぶやく。その言葉に伐は気だるそうに欠伸をした。
「この世にお別れ? 意味がわからない事を言うな。だいたい、この子達の前に謝るべきはあんただろ!!」
「あー、いちいち、うるせえな」
深秋に轢かれた原因が伐が自分を投げ捨てたからだと言い、伐を指差す。しかし、伐は懐から携帯灰皿を取り出すとどうでも良さそうにタバコの火を消す。
「って、何で、あんた、タバコを平然と校舎の中で吸ってんだよ!! ここ、職員室の前だぞ!!」
「……この学園には珍しいツッコミだな」
「そーですね」
喫煙は学生には相応しくないと叫ぶ奏の事など気にする事なく、伐は2本目のタバコに火をつけた。
「そ、そうじゃないんでしょうか? 黒須先輩、流石に不味いですよ。ほら、タバコは健康にも良くないですし」
「あ? 成人前男性の喫煙による健康被害の研究って事で良いだろ。後はストレス社会におけるタバコによるストレス解消実績の検証って事で、データ取ってる途中と言えば万事解決だ」
「ねー」
秋菜も伐のタバコが気になるようでタバコを止めた方が良いと言うが、伐は肺一杯に煙を吸い込むとむせる事なく、煙を吐き出す。




