表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/70

EP 8

100均の悪辣なる一撃。激辛目潰しと必殺の矢

「グガァァァァァァッッ……!!?」

左前脚の剥き出しの肉にサリーの圧縮炎弾ファイアバレットを叩き込まれたベヒーモスは、悶絶しながら大きく体勢を崩した。

山のような巨体が傾き、その巨大な頭部が、ちょうど立ち上がった太郎の目の前の高さまで落ちてくる。

(……ライザがこじ開けて、サリーが繋いだ勝機だ。絶対に外さねぇ……!)

全身の激痛をアドレナリンでねじ伏せ、太郎は弓を構えた。

だが、彼が番えたのはガンドフ特製の爆発矢ではない。

スキル『100円ショップ』で召還した、地球の現代文明が産んだ『凶器』たちだ。

「地球の辛味ちから、舐めんじゃねぇぞ……ッ!」

太郎は矢筒から通常の矢を三本引き抜くと、口でプラスチック製のチューブのキャップを噛みちぎった。

そして、その矢尻に、鮮緑色のペースト――『チューブ入り生ワサビ(増量タイプ)』を、これでもかというほどたっぷりと塗りたくった。

さらに別の矢には、黄色いペースト――『和からし』を。

最後の一本には、小瓶の中身――『タバスコ(ハバネロソース)』を、ドボドボと矢羽にまで染み込ませた。

「タロウさん、それは……?」

背後でサリーが看病を続けながら、鼻を突くツーンとした異臭に顔をしかめる。

異世界無双ニーソの、とっておきの隠し味さ……!」

太郎は血走った目でニヤリと笑うと、激辛成分の三種盛りとなった矢を同時に三本、弓に番えた。

狙うは、苦痛に歪むベヒーモスの、あの巨大な『赤い両目』だ。

鋼鉄の鱗には効かなくても、粘膜剥き出しの眼球なら話は別だ。

100均の、しかし地球の食品加工技術が濃縮されたその辛味は、異世界の魔獣にとって未知の、そして筆舌に尽くしがたい『地獄の苦痛』となるはずだ。

「……くたばれッ!!」

ビォォォンッ!!!

太郎の手から放たれた三本の矢は、至近距離から寸分の狂いもなく、ベヒーモスの大きく見開かれた眼球へと吸い込まれた。

ブスッ! ブスッ! ブスッ!

「……?」

最初は、小さな針に刺された程度の感覚だった。

だが、その直後。

眼球の粘膜に突き刺さった矢尻から、濃厚なワサビ、からし、そしてハバネロソースが、体温によって一瞬にして溶け出し、網膜と神経に直接ブチ撒けられた。

「………………ッッッッ!!!!!!!!????」

ベヒーモスの動きが、完全に止まった。

声にならない、あまりの激痛。

目に直接溶岩を流し込まれたような、あるいは酸を浴びせられたような、鼻を突くツーンとした刺激と、焼けるような灼熱感が、脳髄を直接破壊せんばかりに襲いかかったのだ。

「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!!」

次の瞬間、神話級魔獣は、これまで聞いたこともないような、鼓膜を裂く断末魔の叫びを上げてのけ反った。

両目からは、涙ではなく、血とワサビとタバスコが混じった、禍々しい液体が止めどなく溢れ出す。

あまりの苦痛に、ベヒーモスは左前脚の傷など忘れ、のた打ち回り、巨大な頭部を岩壁に何度も叩きつけ始めた。

ドォォォン! ドォォォン! ドォォォン!

「やった……! 効いてる……!」

サリーが驚愕の声を上げる。

「まだだ……! とどめの一撃、いくぞサリー!!」

太郎は弓を放り出し、背中の矢筒から、最後の一本――ガンドフが死力を尽くして作り上げた、あの黒ずんだ『爆発矢(必殺の矢)』を引き抜いた。

目にワサビを喰らい、悶絶して岩壁に頭をぶつけ、口を大きく開けて叫んでいるベヒーモス。

その大きく開かれた口内こそが、唯一の、そして最後の弱点だ。

「ライザ……! 俺たちの勝ちだッ!!」

太郎は折れた肋骨の激痛を気合いでねじ伏せ、全身の力を込めて、爆発矢を手で直接、ベヒーモスの口内へと槍のように投げつけた。

シュォォォッ!

血とアブラにまみれた太郎の執念が込められた一本の矢は、悶絶する巨獣の喉奥へと、完璧な放物線を描いて吸い込まれた。

「……?」

喉奥に異物を感じたベヒーモスが、一瞬、のた打ち回るのを止めた。

直後。

ドォォォォォォォォォォォォォォォンッッッ!!!!!!!!

ベヒーモスの腹の底から、地底のマグマが爆発したかのような、凄まじい轟音が響き渡った。

ガンドフ特製の爆発矢は、魔獣の強靭な消化器官の内側で、そのすべてのエネルギーを一気に解放したのだ。

山のような巨体が、内側からの爆発の衝撃によって大きく膨らみ――。

「……あ」

次の瞬間、巨大な双眸から光が消えた。

ドドォォォォォォンッ……。

地響きと共に、神話に語られる暴君ベヒーモスは、その巨躯を冷たい地下の床へと横たえ、二度と動くことはなかった。

残ったのは、焦げた肉の匂いと、微かに漂うワサビの匂い。

そして、死闘を生き抜いた、三人だけの静寂だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ