表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/70

EP 7

起死回生の連携。聖女の怒りの銃弾ファイアバレット

「タロウさん、タロウさん……ッ! お願い、目を開けて!」

黒曜石の冷たい床。血だまりの中に倒れる太郎にすがりつき、サリーはボロボロと大粒の涙をこぼしていた。

彼女の両手から、これまでにないほど強く、そして温かい『ヒール(回復魔法)』の光が放たれ、太郎の傷ついた身体を包み込んでいる。

「光よ、癒やして! 私の魔力を全部使ってもいいから……タロウさんを助けて!!」

自らの生命力すら削りかねない、限界を超えた魔力の放出。

しかし、神話級魔獣の圧倒的な暴力によって破壊された太郎の肉体は、容易には修復されない。

さらに絶望的なことに、背後からは地響きを立てて、怒りに我を忘れたベヒーモスが迫ってきていた。

ライザの決死の一撃によって『左前脚』の鱗を砕かれ、生々しい傷を負った巨獣は、その痛みに狂乱し、目につくすべてのものを蹂躙しようとしていた。

ズシンッ! ズシンッ!

巨大な影が、サリーと太郎を完全に覆い隠す。

「……あ、ぁ……」

振り上げられる、無傷の右前脚。

サリーは杖を強く握りしめ、太郎に覆い被さるように目を閉じた。私が盾になる。そう覚悟を決めた、その時。

「……泣くな、サリー」

血に染まった手が、サリーの震える腕を弱々しく、しかし確かに掴んだ。

「タ、タロウさん……ッ!?」

「ゲホッ……ごめん、ちょっと寝てた……」

太郎が、口の端から血を流しながら、薄く目を開けていた。

サリーの限界突破のヒールによって、致命傷だった内臓の損傷がギリギリのところで繋がり、意識を繋ぎ止めたのだ。

「よかった、本当によかった……っ!」

「……ライザは?」

太郎の掠れた問いに、サリーは涙を拭いながら、遠くで倒れている赤髪の騎士を指差した。

「ライザちゃんが、タロウさんを庇って……あの子の左足に、一撃を……」

太郎の視線の先。

無惨に砕け散ったミスリルの剣と、ピクリとも動かないライザの姿があった。

そして、目の前にそびえ立つベヒーモスの『左前脚』。鋼鉄の鱗が剥がれ落ち、そこだけが赤黒い肉を露出させている。

(……ライザ。お前、一人で無茶しやがって……)

太郎の奥歯が、ギリッと音を立てた。

AIが『貫通率0.001%未満』と弾き出した絶対の装甲を、彼女は自らの命と引き換えにこじ開けたのだ。

なら、その『たった一つの勝機スキ』を無駄にするわけにはいかない。

「サリー、聞いてくれ」

太郎は全身を走る激痛に耐えながら、血まみれの口元を歪めて、凄絶な笑みを浮かべた。

「お前は、僕とライザをこんな目に遭わせたあいつを……許せるか?」

その言葉に、サリーの肩がピクリと震えた。

聖女として育てられ、常に他者を癒やすことを使命としてきた彼女。

だが、あのキャベツの時(第41話)にも見せたように、彼女の内に秘められた『感情の爆発』は、時としてとてつもない破壊力を生み出す。

「……許せません」

サリーが、ゆっくりと立ち上がった。

その瞳から涙は消え、代わりに、氷のように冷たく、そして激しい『怒りの炎』が宿っていた。

「タロウさんを傷つけて。ライザちゃんをあんなボロボロにして。……絶対に、許さない」

「なら、ぶち込め。お前のありったけの魔力を、一番熱い『炎』に変えて……あいつの左足の傷口スキマにだ」

「はいっ……!」

サリーは杖を両手で構え、ベヒーモスを真っ直ぐに睨みつけた。

振り下ろされようとしている巨腕など、今の彼女の目には入っていない。

「大気の精霊よ。私の怒りを糧とし、全てを焼き尽くす一閃の牙となれ……!」

ゴォォォォォォォォッ!!

サリーの杖の先端に、周囲の空気を歪ませるほどの超高熱の炎が圧縮されていく。

それは広範囲を焼き払う『爆炎』ではない。

貫通力に特化し、ただ一点のみを穿つための、極限まで圧縮された『炎の弾丸』。

「消し飛びなさい――『ファイア・バレット(怒炎の銃弾)』!!」

バシュゥゥゥゥゥゥッ!!!

杖の先端から放たれたレーザーのような一条の炎が、青白い地下空間を真紅に染め上げた。

それは、振り下ろされる右腕の隙間を完璧にすり抜け――ライザが命懸けでこじ開けた、ベヒーモスの『左前脚の傷口』へと、寸分の狂いもなく吸い込まれた。

ズドォォォォォォォンッ!!!

「ギュァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!?」

分厚い装甲の内側、剥き出しの肉と神経に直接叩き込まれた超高熱の爆発。

神話級の魔獣が、これまで聞いたこともないような悲鳴を上げて仰け反った。

左前脚が完全に機能不全に陥り、山のような巨体が、ドドォンッ! と地響きを立てて大きくバランスを崩す。

「今だッ!!」

太郎が、激痛に悲鳴を上げる身体を無理やり動かし、血だまりの中から立ち上がった。

彼の手には、いつの間にか弓と、ガンドフ特製の『爆発矢』。

そして……もう一つの手には、スキル『100円ショップ』で召喚された、見慣れない『プラスチック製のチューブ』と『小瓶』が握られていた。

反撃の狼煙は上がった。

ここからは、地球の現代物資を悪用した、容赦のない『泥臭いターン』の始まりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ