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『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』  作者: 月神世一


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EP 5

粉砕される絶対防御。血に染まる太郎

「ハァァァァッ!!」

ライザの裂帛の気合いと共に、闘気を極限まで高めたミスリル製の長剣が、ベヒーモスの巨大な前脚に叩き込まれた。

かつて魔狼を一刀両断した、彼女の誇る最速の斬撃。

ガキィィィィンッ!!!

だが、響き渡ったのは、肉を断つ音ではなく、硬い金属同士が激突したような甲高い破砕音だった。

「嘘……っ!?」

ライザが驚愕に見開いた目の前で、彼女の愛剣が弾き返され、ベヒーモスの漆黒の鱗には、かすり傷一つ、白い筋すら残っていなかった。

AIの『貫通率0.001%未満』という絶望的なデータは、残酷なまでに正確だった。

「グルルル……」

ベヒーモスは、足元でチクチクと鬱陶しい真似をするライザを、まるで羽虫でも払うかのように巨大な尾で薙ぎ払った。

「くっ……!」

ライザは咄嗟に剣を盾にして防御したが、圧倒的な質量差によって数十メートル後方へと紙くずのように吹き飛ばされ、岩壁に激突してうずくまった。

「ライザ!!」

僕が叫んだ瞬間、ベヒーモスの赤く燃える双眸が、ギロリとこちらを向いた。

動きの素早い前衛を排除し、今度は逃げ場のない後衛――僕とサリーに狙いを定めたのだ。

ズシンッ! ズシンッ!

大地を揺らしながら、山のような巨体が猛スピードで突進してくる。

避ける隙間などない。あの質量で轢き潰されれば、間違いなく即死だ。

「タロウさん、私の後ろへ!!」

サリーが、僕を庇うように前に飛び出した。

彼女は両手でしっかりと杖を握り締め、その華奢な体に秘められた莫大な魔力を、一気に解放した。

「大地の精霊よ、我らを守る絶対の盾となれ! ――『ロックシールド(絶対岩壁)』!!」

ゴゴゴゴゴゴッ!!

サリーの魔力に呼応し、ドームの床が激しく隆起する。

僕たち二人の目の前に、厚さ数メートルにも及ぶ、魔力で極限まで硬化された巨大な岩の防壁が出現した。

かつて、どんな魔獣の攻撃も通さなかった、サリーの最強の防御魔法だ。

「よし、これなら……!」

僕が安堵の声を漏らしかけた、次の瞬間。

ドガァァァァァァァァァァンッッッ!!!

世界が、爆発した。

ベヒーモスは突進の勢いを全く殺すことなく、巨大な右の前脚(爪)を、サリーの絶対防御に向かって無造作に振り下ろしたのだ。

メキッ……ピキキキキッ!

「え……?」

サリーの口から、絶望の吐息が漏れた。

数メートルの厚さを誇る硬質な岩の壁に、巨大な亀裂が走り――直後、まるで薄いガラス細工のように、粉々に砕け散った。

「キャアアアアッ!?」

「サリー!!」

砕け散った岩の破片が散弾のように降り注ぎ、防御魔法を破られた反動でサリーの体が宙に浮く。

そして、岩壁を粉砕したベヒーモスの巨大な爪が、そのままの勢いで、無防備なサリーへと迫っていた。

(このままじゃ、サリーが死ぬ……!)

思考より先に、体が動いていた。

僕は背中の弓を放り出し、全力で地面を蹴ってサリーに飛びついた。

「タロウさ――」

「ぐっ……!!」

ドンッ! とサリーの体を安全な方向へ力一杯突き飛ばす。

しかし、その代償として、僕の体はベヒーモスの爪が振り下ろされる『死の軌道』のど真ん中に残された。

直撃は、免れた。

だが、山のような巨腕が僕の目の前を通過した瞬間に発生した『圧倒的な衝撃波』と、巨大な岩の破片が、僕の無防備な体を情赦なく打ち据えた。

「ガァァァッ……!!?」

全身の骨が軋み、内臓が握り潰されたような激痛。

僕の体は、まるで糸の切れた操り人形のように宙を舞い、数十メートル先の黒曜石の壁に激しく叩きつけられた。

ベチャッ……。

鈍い音と共に地面に崩れ落ちる。

「ガハッ……、げほっ……!」

口から、大量の赤黒い血が止めどなく溢れ出した。

視界が急激に赤く染まり、明滅を繰り返す。呼吸をするたびに、折れた肋骨が肺に突き刺さるような激痛が走り、指先一つ動かすことすらできない。

「タロウさんっ!? 嫌っ、タロウさん、タロウさん!!」

遠くで、サリーの悲鳴のような泣き声が聞こえる。

彼女が必死に這いずりながら僕の元へ向かおうとしているが、ベヒーモスがそれを阻むようにゆっくりと向きを変えていた。

「あ、あぁ……」

100均チートも、AIの計算も、この絶対的な暴力の前には何の役にも立たなかった。

薄れゆく意識の中で、僕は自分の無力さを呪った。

(ライザ……サリー……逃げ、ろ……)

声に出すこともできず、僕の意識は、底なしの暗い闇の中へと沈んでいった。

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