表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』  作者: 月神世一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/52

EP 17

悪魔的マリアージュ。ストゼロとラーメンと駄女神

「ふぅ……」「昇天ととのった……」「俺の筋肉なかで、シープピッグが暴れ回ってやがるぜ……」

広場に急造された黄色い屋台『豚神屋』の周辺は、さながら激戦の後の野戦病院のような有様だった。

極限まで追い込まれた肉体に、致死量のアブラと塩分、そして炭水化物をぶち込まれたマッスル兵士アルクス・ビルダーズたちは、全員が満腹という名の絶対的な幸福感に包まれ、地面に転がって恍惚の表情を浮かべている。

彼らの体からは異常な熱気が立ち昇り、はち切れんばかりの大胸筋がピクピクと脈打っていた。確実にバルクアップしている。恐るべし二郎系。

「ふふふ……俺のラーメンが、異世界の筋肉を育てている……」

僕が厨房で腕を組み、心地よい疲労感と達成感に浸っていた、その時だった。

「ふぁぁぁ……ちょっと太郎。なによこの、脳髄を直接ぶん殴るような凶暴な匂いは」

ズルッ、ズルッ、とだらしないサンダルの音を響かせて、屋台に近づいてくる影が一つ。

万年寝不足のような目を擦り、エンジ色の芋ジャージを着こなした駄女神、ルチアナだ。

「なんだルチアナ。お前にはこの『漢の食べ物』は重すぎるぞ。コタツに戻って寝てろ」

僕がシッシッと手で払うと、ルチアナは鼻をヒクヒクと動かし、寸胴鍋から漂う狂暴な豚骨臭に目をギラリと輝かせた。

「馬鹿言わないで。天界のブラック労働をストゼロと柿ピーで乗り切ってきた、このあたしのジャンクフード耐久値を舐めないことね。……それ、一杯出しなさい」

ドンッ! とルチアナがカウンターを叩く。

「いいだろう。神の胃袋、試させてもらうぞ」

僕はニヤリと笑い、麺をテボ(湯切りザル)に放り込んだ。

カエシを注ぎ、乳化スープを張り、茹で上がった極太麺をブチ込む。

「ニンニク、入れますか?」

「常識でしょ。全部限界まで乗せなさい!」

「あいよ! ヤサイマシマシニンニクアブラカラメッ!!」

僕は容赦なく、ネタキャベツの山に雪のような背脂をぶっかけ、拳大の刻み生ニンニクを叩きつけた。

「おおおおっ……! なにこれ、暴力の結晶体じゃない!」

目の前に置かれた山盛りのラーメンを見て、ルチアナがゴクリと喉を鳴らす。

「……で? 太郎。まさかこの圧倒的なアブラと塩分の塊を、ただ『水』で流し込めとでも言うつもり?」

ルチアナは箸を割る手を止め、流し目で僕を見た。

「……分かってるよ。お前が何を求めているかなんてな」

僕はため息をつきながら、スキル『100円ショップ』を起動した。

ポンッ! と僕の手の中に現れたのは、キンキンに冷えた銀色のロング缶。

アルコール度数9%。果実の風味と強烈な炭酸、そしてドライな喉越しで、あらゆるストレスを無に帰す魔法の液体。

『ストロングゼロ(ドライ・500ml缶)』(約100円)だ。

「ひゃっほう!! 分かってるじゃない太郎!」

ルチアナはラーメンの前にストゼロをドンッと置き、プシュッ! と小気味よい音を立ててプルタブを開けた。

そして、いよいよ悪魔の儀式が始まる。

ルチアナは箸を突き立て、天地返しで極太麺を引っ張り出した。

アブラとニンニクがねっとりと絡んだ麺を、豪快に啜り込む。

ズズズズズズズッ!!!

「…………ッ!! んんんんんんんっ!!!」

ルチアナの目がカッと見開かれた。

シープピッグの暴力的な豚の旨味、醤油草のキレ、そしてニンニクのパンチ力が、彼女の味覚を容赦なく蹂躙する。

ワシワシと麺を噛み砕き、分厚いブタ(肉)に食らいつき、口の中が濃厚なアブラと塩分で限界まで満たされた、その瞬間!

彼女は、キンキンに冷えたストゼロの缶を煽った。

ゴキュッ、ゴキュッ、ゴキュッ……!

「かぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」

ルチアナが、天を仰いで絶叫した。

「な、なんなのこれ!? 濃密すぎるシープピッグのアブラを、強烈な炭酸とドライなアルコールが、一瞬にして洗い流していくわ!! そして口の中がリセットされた瞬間、またあの狂暴なニンニクと塩分が恋しくてたまらなくなる!!」

ズズズズッ! ワシワシ!

ゴキュッ! プハァァァァッ!!

「ストゼロのドライなアルコール感が、ラーメンのジャンクさを何倍にも引き上げてる! これは……これは単なる食事じゃないわ! カロリーとアルコールによる、無限の快楽ループ(永久機関)よ!!」

芋ジャージの駄女神が、涙と鼻水と汗を流しながら、一心不乱にラーメンとストゼロを交互にキメていく。

その姿は、神々しさなど微塵もなく、ただの休日の限界おっさんそのものだった。

「美味い……美味すぎるわ太郎……っ! あたし、天界に帰らなくて本当に良かった……ここが、ここが本当の天国ヘヴンだったのね……っ!!」

「天国じゃなくて、ただのカロリーの地獄だよ」

あっという間に麺を平らげ、スープまで飲み干したルチアナの体から、ポンッ! と淡い神々しい(?)光が放たれた。

どうやら、圧倒的なカロリーとアルコールによって、枯渇していた彼女の『神力』が全回復してしまったらしい。

「ふぅ……最高。太郎、ストゼロのおかわりと、あと食後の黒烏龍茶出して」

完全に仕上がった顔で、爪楊枝をくわえながら要求してくる駄女神。

ラーメン二郎とストロングゼロ。

地球が生んだ最凶のジャンクフード・マリアージュは、異世界の神様をも一瞬で堕落させる、恐るべき破壊力を秘めていた。

そして、この光景(美味そうに食う姿)を遠巻きに見ていた領民たちの間に、「あの黄色い看板の店には、神様すら虜にするヤバい料理がある」という噂が、爆発的に広まることになるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ