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『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』  作者: 月神世一


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第二章 カレーなる箱庭物語

激闘の爪痕と、魅惑の『ジャワカレー』

ポポロ村での死闘を終え、帝都ルナミスの安宿に帰り着いた僕たちは、文字通り泥のようにベッドに崩れ落ちた。

「……疲れたぁ」

「流石に、全身の筋肉が悲鳴を上げているわ……」

サリーもライザも、ボロボロだった。

あの規格外のバケモノ『紅蓮の魔狼』を倒した代償は大きく、ライザの剣は刃こぼれし、サリーの魔力は完全にすっからかんだ。僕自身も、あの『必殺の矢』を放った時の極度の緊張と反動で、指先がまだ微かに震えていた。

「二人とも、本当にお疲れ様。……でも、このまま寝るわけにはいかないよ」

僕は重い体を鞭打って立ち上がった。

「戦いの後は、しっかり食べて栄養を補給しないと。ポーションや魔法じゃ、心の疲労までは回復しないからね」

「でもタロウさん……もう外の屋台も閉まってる時間ですよ?」

サリーが恨めしそうに鳴るお腹を押さえる。

「大丈夫。宿の女将さんに頼んで、厨房を借りてきたから」

僕はニヤリと笑い、スキル『100円ショップ』を起動した。

今回検索するのは、武器でもトラップでもない。最強の『回復アイテム(飯)』だ。

検索ワード:『カレールー』『レトルトご飯』

ポンッ、ポンッ!

僕の手のひらに現れたのは、日本が誇る国民食の結晶。

スパイシーでコクのある大人向けの味、『ジャワカレー(中辛・小サイズ)』の固形ルー(100円)と、電子レンジ……はないので湯煎で温められる『大盛りレトルトご飯』(100円×3個)だ。

「タロウ? なによその茶色いブロック。それに、その白い四角い入れ物は……」

「ふふふ。まぁ、ちょっと待っててよ」

僕は厨房に降りると、買っておいた安い鶏肉と玉ねぎを乱切りにし、鍋で炒め始めた。

肉に火が通ったところで水を加え、グツグツと煮込む。

そして、いよいよ魔法の茶色いブロック――ジャワカレーのルーを投入した。

ルーがお湯に溶け出した、その瞬間。

「…………ッ!?」

厨房から漏れ出した香りが、安宿の空気を一変させた。

クミン、コリアンダー、カルダモン、ターメリック……。

数十種類のスパイスが複雑に絡み合った、脳髄を直接刺激するような強烈な『カレーの匂い』。塩とハーブ程度の味付けしかない中世ファンタジー世界において、それはもはや一種の「兵器(飯テロ)」だった。

ドタドタドタッ!!

「タ、タロウさん!? なんですかこの暴力的なまでに食欲をそそる匂いは!?」

「お、お腹の底から獣が暴れ出しそうなんだけど……っ!」

匂いに釣られ、部屋で倒れていたはずのサリーとライザが、ゾンビのようにふらふらと厨房へ降りてきた。二人の目は完全に据わっており、口元からは涎が垂れそうだ。

「はい、完成。地球の料理、『カレーライス』だよ」

僕は温めたレトルトご飯を皿に盛り、その上からトロトロの熱いカレーをたっぷりとかけた。

二人の前に皿を置くと、もはやいただきますの挨拶すらなく、スプーンを握りしめて猛然と食らいついた。

「あむっ……! ~~~~~ッ!!」

「!?!? な、なにこれ……!?」

二人の動きがピタッと止まり、目が見開かれる。

「辛い……! でも、辛いだけじゃない! お肉と野菜の甘みが溶け込んでて、なんだか分からないスパイシーな風味が口の中で大爆発してますぅぅ!」

「ご飯……この白い麦みたいなもの、もっちりしてて信じられないくらい甘いわ! この『カレー』っていうドロドロのスープと絡むと……駄目、スプーンが止まらない……っ!」

ガツガツ、バクバク!

生真面目な剣士の面影など一切なく、ライザは顔をカレーまみれにしながら一心不乱に咀嚼している。サリーに至っては、涙を流しながらおかわりを要求する始末だ。

「あはは、喜んでくれてよかった。僕も食べ――」

僕が自分の分のカレーを食べようとスプーンを持ち上げた、その時だった。

ドンッ! バンバンバンッ!!

「おい女将!! 今すぐその匂いの元を出せ!!」

「金なら払う! 銀貨でも金貨でも払うから、俺たちにもそれを食わせろぉぉっ!!」

宿の入り口の扉が、外からぶち破られんばかりの勢いで叩かれ始めた。

窓から外を覗くと、第3階層の通りに、目を血走らせた屈強な冒険者たちがゾンビの大群のように押し寄せているではないか。換気扇(という名の煙突)から漏れ出したジャワカレーの香りが、近隣の腹を空かせた冒険者たちを狂暴化させてしまったのだ。

「ひぃぃっ! 暴動だよぉ! お客さん、あんた一体何の薬を作ったんだい!?」

宿の女将さんがパニックになって腰を抜かしている。

「や、やばい……飯テロの威力が魔狼を超えてる……!」

僕は冷や汗を流しながら、鍋を抱え込んだ。

「サリー、ライザ! とりあえずこの鍋を持って逃げるよ! ギルド本部に行こう。あそこなら警備も頑丈だし、ヴォルフさんに匿ってもらえる!」

「もぐもぐ……えっ? もう一杯食べたいんですけど……」

「タロウ、鍋は私が死守するわ! さぁ、包囲網を突破するわよ!!」

僕たちは、匂いに狂った冒険者たちの暴動から逃れるため、熱々のジャワカレーが入った鍋を抱き抱え、夜の帝都をギルド本部へと向かって全力疾走することになった。

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