27話 サロンの戦い
俺はサロン前の最後のレッサーデーモンを斬り伏せ、胸の中に反射を利かせた小さな休眠箱を入れ、詰まって飲めそうになかったからエーテル薬を頭から被り、呼吸を整えてサロンに入った。
「お、いい顔になったね。男子の顔だ」
「···ウーシエの気配がまだします」
「部屋です。斬れませんでした。でも、あなた達は、終わらせます!」
探知ではっきりしたワケじゃないけど、直感と2人の様子からそう言った。
「優しいなタケル君。魔族が警戒している勇者というものが、君のような人であればよいのにね」
「···スパーク。バインド」
応えず、電撃を大河のカトラスに付与し、周囲にいくつも小さな偽装鉄箱を展開した。
「変わった使い方をする。···これで最後だ。踊ってくれるかい?」
「はい、勿論。私でよければ」
2人は立ち上がり、奥さんはゼオラ子爵を後ろから抱き締め、そのまま2人は一体の魔人と化した。
「来なさい、タケル君。我々の中の荒ぶる魔を、滅ぼしてみなさいっ!!」
子爵夫妻であった魔は吠え、緑色の負の火炎を吐いた。
偽装鉄箱を爆ぜさせて防ぎつつ、明日を箱を付与して箱に乗って反射させ、不規則な起動で夫妻の魔人に迫るっ。
両腕を不定形の鈍器のように変形させて向かい撃ってきた。
「ふぅっっ」
箱と盾と飛び退きでどうにか捌く。夫妻の魔人は火炎を吐きつつ、走り込んで詰めてくる!
箱用の魔力も有限。大雑把な攻撃で当てるのも難しそうだが、このままじゃジリ貧っ。
「ライト! ノッキング!」
照明魔法と強めの偽装反射箱で閃光を放つ箱をぶつけて怯ませ、俺は回り込みに掛かった。
立て直した夫妻の魔人は鈍器の両腕で打ち払いに掛かったが、俺はさっきの目眩ましの時、いくつかの隠行箱を仕込んで飛ばしていた。
「ノッキング!」
聖水を仕込んだ隠行箱が数個弾け、青白い炎で夫妻の魔人を焼き、手槍を仕込んだ隠行箱から放たれた一撃が片目を貫いたっ!
絶叫して仰け反る夫妻の魔人。
「せぇあっっ!!!」
電撃のフォースストライクを霊剣で放つ。深々と胴体を斬り裂かれ、感電する夫妻の魔人。
だが、倒し切れてないっ。
俺はカウンターを飛び退いて避け、着地点でまたエーテル薬を被り、体内に残してる休眠箱を再発動さて体力を回復させ、移動しながら立て直す。
「スパーク」
電撃を再付与。
「ゴォオオオォォッッッ!!!!」
暴走したような状態になった夫妻の魔人の陰から数十体のレッサーデーモン達が溢れてきたっ。最悪!
数が多い上に廊下と違ってサロンは結構広いっ、同時に相手する数が多かった。
既に強引なやり方をしているし、隠行箱はまんま使ってる。半端に偽装せず、フルパワーで箱を使うか? 俺が思案していると、
「タケルさん!」
「助っ人登場だぞっ?!」
「···うちも、一応」
リリンを背負ったユミィ、ミゼヤッポが突入隊本隊と共にサロンに雪崩込んできた!
「レッサーデーモン達をお願いしますっ! 2人は援護をっ、リリンどうしたの?!」
レッサーデーモン群は本隊に任せミゼヤッポの旋風手裏剣で一瞬解けた囲みを、箱の牽制と反射で抜け、ユミィにプラスヒールを掛けてもらう。負担だった体内休眠箱は一旦オフ。
「セイント! あれは子爵夫妻ですね?」
神聖魔法で牽制しつつ聞いてくるユミィ。
「そう。死は受け入れてるけど、収まりがつかない感じっ。もう一息なんだけどさ」
「娘がいないんだぞ?」
「···それは、あとで!」
「今、なんか誤魔化してへん?」
うっ、ダウンしてても鋭いリリン!
「とにかく子爵夫妻にとどめをっ!」
「補助魔法が切れ掛かっていますね。プロテクト! レジスト! ストロング!」
「先行するんだぞっ!」
ミゼヤッポがまず行ったっ。俺も続く。
鎖鎌で牽制してアピールしつつ、強引に突っ込み、不定形の鈍器の腕で叩き潰されると空蝉で木材と差し替わって背後の中空にテレポートして石器のクナイで影縫いを撃ち込むミゼヤッポ!
相当な負荷の様子だが、暴れようとする暴走夫妻魔人の動きを止めてくれた。
「ハンド、ファイア」
俺は念力魔法でバックラーと予備のサーベルを交換して二刀流の構えを取り、火炎付与で炎を灯した。
一応練習したことある、くらいのコンボだけど、今が使い所だっ。
苦し紛れに放ってきた負の火炎は反射箱で弾く。
「せぇああっっ!!!!」
霊剣の雷とサーベルの火炎で十字のフォースストライクを放ち、夫妻の魔人の胴体を消し飛ばした!
「タケルくぅんんっっ」
首から下はそのまま滅びたが、夫妻で一体になった頭部は力を使い切った俺に迫ったっっ。ミゼヤッポもバテてる!
「セイント!」
「アイス!」
ユミィの神聖魔法とリリンの凍結魔法が夫妻魔人の頭部に放たれ、打ち砕いた。
(···リリンに私の命を譲渡した。正しくはない。だが、見守って、ほしい···)
ゼオラ子爵の最後の思念が俺にだけ届いていた。




