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元引きこもりが強箱スキルで異世界勇者っ!!  作者: 大石次郎


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24話 強襲

翌日、容態の落ち着いた元執事長はポツポツと証言しだした。


「···旦那様はある夜、突然現れた魔族と契約されてしまい。墓所の遺骸を使って奥様とお嬢様を復活させてしまった。引き換えに、このゼオラ領は魔族が闊歩する有様となってしまいました」


「本邸におるんは偽物で、別邸の···奥さんとお嬢さんとおりはるんが本物なんやな?」


「はい···あの、私の他にも逃がされた親族、縁者の方々や使用人達は全て魔族に幽閉されて薬を盛られているはずです。旦那様との契約で殺されずとも、見逃しはしないというのがヤツらの手口でっ」


酷いな、て。


「そっちもやれるだけのことはするけど、入れ替わる基準と···あと、まぁなんというか···」


言い辛いっ。


「ゼオラ子爵は今でも人間なのか? そこを聞きたいんだぞ? オイラ達、魔物なら倒しちゃうから」


スパっと行くミゼヤッポ。


「少なくとも、私が幽閉された時点では···入れ替わりは旦那様から信を得ていなかった方々と、あとはおそらく、薬と幽閉に耐え兼ねて身体を明け渡す代わりに死を選んだ、ということでしょう。私も延々と『交渉』されていました」


「よく、耐えられましたね。他の方々はギルドの皆さんとも協力して可能な限り保護します。ゼオラ子爵については厳しい対応になるかもしれませんが、この地は終わらせましょう」


ユミィが肩に手を置いてそう告げると、元執事長さんは泣いて、項垂れていた···


_____



当初はシンプルに別邸に皆で乗り込む予定だったが、各所に子爵から見逃がされたらしい親類縁者が幽閉されているとなると少しややこしくなった。


教会僧達は幽閉された人達の救出に関心が強く、衛兵達はとにかく別邸への突入優先。俺達以外のギルドの冒険者達は本邸の偽物を放置していいのか? とか、全て抑えるには戦力がそもそも足りないといった意見が多かった。


因みに神様メモは『勇者の仕事は大元を断つことだよ?』とのこと。時々クレバーなこと言う。


「あのっ」


全員で話せそうなのが1回の酒場だけだったからそこに集まって喧々諤々になりだしていたところで、俺は切り出した。


今回はリリンに肘ツンツンされてない。ケースはまちまちだけど、集団戦はわりとこれまでもあった。このまま対応が遅れたりバラバラになるとかなりマズい。


ゲームだとしても俺もこの世界の人達も、取り返しはつかないだろうし。


「使い魔は潰されがちなんで、しっかり隊を組んで領外に出てからタンダ・シュノーや他の有力な拠点と連絡を取って増援を頼みましょう。全然戦力足りないですし、幽閉者の捜索や守りの堅そうな本邸に乗り込んだりっていうのはこの戦力だけで同時にっていうのは無理です」


ここで呼吸を整える。声、ひっくり返りそうだ。目眩もする。


「カーム(鎮静魔法)」


「もう一息や」


「がんばるんだぞ?」


仲間達が小声で魔法や声掛けで援護してくれる。よっしっ。


「これ以上遅れるのもマズいと思うんで、まずは連絡隊を出して本邸の監視と支部の守りを維持しつつ、別邸攻略に戦力を集中させましょう。強敵との戦いは、俺達が引き受けます。この···大河のカトラスを以て!」


逆にやり過ぎか? と焦ったが、もうやめられないので水の霊剣を抜く。魔力の籠もった霧雨のような飛沫が放たれ、酒場にどよめきが広がった。


_____



別邸までの移動に時間を取り相手は概ね魔族、夜襲は避けようと明け方に俺達は守りの硬い構成の陽動隊を正面から。本隊は裏手の林から迫ることになった。


高速移動系スキルを持つ冒険者がバテバテになりながら、夜明けを待つまでに連絡隊が使い魔で無事領外に増援申請できたことを報せてきていた。


保険は掛かった。あとはやるべきことをやるだけだ!


「トラップというより、このエリア全域が闇の者達に監視されている気配です」


「オイラも探知できてるぞ? でも···近くて強いのは1体、かも?」


「執事長さんを奪還した時点で奇襲ってワケにもいかないか···でも正面の陽動隊は無視できるレベルじゃない。少なくとも1点集中は避けられるさ」


「タケルがずっとちゃんとしてるやん? 入れ替わってへん? ユミィ、セイント掛けたってっ」


「いや別に普通だから···」


「セイント!」


「掛けられたし、眩しいし、目立つし···」


等とやりつつも今回は隠行電車ごっこではなく、全員で固まって移動してる。


電車ごっこでも単独で抜けるのは今回はさすがに厳しいだろうと。


まぁ一応他の突入隊の皆には『秘匿系の消費アイテムをフガク氏から提供されてるから』とは言ってあるから、状況によっては大っぴらに俺達だけで姿を消して抜けられるようにはなってる。


「1体か···ミゼヤッポ。探知に引っ掛かったそいつの動きをしっかり」


「来たぞっ?! 速いっっ」


「「「?!」」」


ゴォォッッ!!! と、林の木々を引き裂くように『巨大な槍、その物のような魔物』が飛来した。本隊中央に直撃コースだっ!


「バインドっ!! ノッキングっっ!!!」


切っ先部位に圧縮した5重の偽装鉄箱を当ててギリ押し留めっ、偽装反射箱の炸裂で真上に弾いた! あっぶなっっ。


いきなり魔力を使い切ったからマナストックを使う。


「んっ、ばぁああーーーっっ!!!」


槍型から『槍のような巨人型』に変化しながら地を揺らして着地した相手は黒い靄のような物を放ち、そこから百を越えるインプ達が溢れた!!


本隊は騒然となったっ。


「今頃気付いた人間どもっっ、契約により! ここはもう我ら魔族の領地となったぁああ!! よって、家畜どもは鳴き喚いて死ねぇッッッ!!!!」


「ボム!」


「セイント!」


「影縫いっ!」


俺が魔力を練り直している内に、仲間達がいち早く牽制をしてくれたが、悪魔が爆発的に全身と周囲の地表に発生拡大させだした『無数の槍』を抑え切れず、俺達突入本隊は纏めて猛烈な槍の連打に晒されることになった!


これが下位より上の魔族か?? めちゃくちゃ過ぎるっっ。

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