2話 犬?
ジャンル的にそんなに詳しくはなかったけど、ゲームやアニメの異世界物やJRPGの薄い知識を総動員して、ステータスや状況を考察してみる。
ゲームならコンテニューありそうだが、異世界転移とかだったらこの世界で死んだら普通に死んじまうだろう。
死んでこの世界に来たとしたら、俺がさらにここで死んだらどうなるか? ···リスキー過ぎて試してみる気にはならなかった。
「ま、魔素ってのはけ、経験値、かな? す、スライム、た、倒したし。···こ、言葉がわかるのは、スキル。···つ、強箱か」
やっぱのこのスキルが肝だろう。でもさっきの疲れる感覚···。たぶんそう連発できない。
ステータスのアルファベットの羅列の基準は現実の俺の身体能力なんかを当て嵌めるとなんとなくわかる。
魔力と運はわりと謎だが、Eはちょっとある、程度だろう。さっきの光の箱の現象も魔法的なもんで魔力を消費してるはず。
「き、基準が微妙だけど、あと、さ、3回はイケる気が、す、する」
当てずっぽうだが、これくらい厳し目の基準で決め込んどこう。
フィジカル&メンタルへなちょこの俺は、この能力3回でまずは安全に休めそうな場所まで移動しなくちゃだ。
スキルの検証とかはその後だ!
「移動、し、しよう。なんか、コイツ、臭ってきたし、他の、も、モンスター、来るかも?」
傷んだ野菜みたいな臭いがしてきたスライムから離れ、俺は取り敢えず前に進んでみることにした。
運Sのステータスはかなりいいはずっ。たぶん! 運任せの方が俺の自力より信用できた。
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ズンズン進んでゆくと、『擬人化したキノコみたいなモンスター1体』と『毛玉みたいなモンスター2体』に相次いで遭遇し、いずれも光の箱の力で吹っ飛ばしてやっつけていった。
いや、俺が好戦的なんじゃなくて、身を隠して進んだり素早く逃げたりってのができなくて···
拾得物は『キノコっぽい匂いの石みたいな物』だけ。毛玉モンスターの肉とか毛皮を処理するとかは俺には無理だった···
「や、ヤバい。3回強箱使ってしまった···凄い、疲れた気がする···」
体力的にもこんな歩いたのは何年ぶりって話だし、俺は戦闘では全く使わない檜の棒を杖代わりにヨロヨロ歩き続けた。
アクションゲームでもスタミナゲージのあるゲーム苦手なんだ···つ、辛い。
怠け通した人生の罰を受けてる気分だ。次モンスターに遭遇したら死ぬかも···
「ま、魔素が9に、な、なってるけど、レベルアップで全回復、とか、な、ないかな···」
最近のゲームだとよくあるんだけど、俺は朦朧と甘い考えを抱きながら、進み続けた。と、
ふわっとした。
「え?」
そのエリアに踏み込んだ途端、急に空気が軽く、清浄になったような??
「な、なんだ? 安全地帯? セーブポイント的な??」
辺りを見回し様子を探ってみると、一定間隔で梟と地蔵さんの中間のような抽象的な苔生した石像ぎ置かれていた。
一部しか見れてないが、どうもこのエリアを囲んでいるらしい。
「け、結界? みたいな?」
俺は一先ず安心して、石像の1つの側に座り込んだ。
喉も渇いていたが、1度腰を下ろしてしまうともう立てなかった。
「はぁ〜···し、しんどいっ。か、確認しよう」
猛烈に眠くなってきたが、そうもいかないっ。俺はさっきから気になってた革のポーチの再確認を行った。
このポーチ、明らかに見た目より中が深く広い。しかも取り出そうと思った物が吸い寄せられるように手に取れてる気がするっ。
確認してみるとやっぱ、中はやたら広く、入った物を自由に取り出せるようだった。
「す、ストレージなんだ。い、石とか拾っとこう」
投石できるから。たぶん万全の状態から4回くらいしか使えない強箱スキルだけじゃ心許ない。
俺は辺りの小石を20個(意外と手頃なのあまり落ちてない)拾って謎ポーチに詰め、重さを感じないことを不思議に思いながら石像の隣に横になった。もう限界だ。
「つ、疲れたよ、ぱ、パトラッシュ···」
断片的な投稿動画でしか知らない懐かしアニメの名場面を思い出しながら、ふと気になってもう1度ポーチの中のメモを拡げてみた。
なんかヒントの取り零しとかないかな、て。
見ると、
『進行、おっそっ』
『遭遇したモンスター、シイタケゴン以外は棒で倒せるじゃん?』
『ネタ古。一応令和ティーンズだよね?』
内容変わってる?!
「えーっ??」
凄いツッコんでくるしっ。
「はぁ〜、ダメだ。ビックリしたら余計脳が疲れた。1回、寝よ···」
俺はメモを持ったまま眠り落ちてしまった。引きこもりの驚異のバイタリティの低さ、自分でも呆れるぜ···
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···なんだ? 生温かい。ハフハフ言ってる?? そして生臭い。顔を、ベロベロ、されてる??
「うわーっ?!」
俺は慌てて横に転がって顔ベロベロしてくるモノから離れ、勢いで石像に頭をぶつけた。
「痛ぁっ?」
「わん! わん!」
わん? 見てみると、綺麗な装飾の首輪をした雑種っぽい犬が尻尾をブン回して俺を見ていた。
「い、犬ぅ···」
「わんっ!」
第一異世界? 住人、犬ぅ···




