17話 川の社の攻防 前編
サラギ郷のクエストを完遂後、タンダ・シュノー市に戻り束の間の休息をほんの数日···。
そっから当たり強めの狐秘書メイドのランダンさんと、神様メモにも『はよ動きんしゃい』とせっつかれ、俺達は次のクエストをこなす為に今度は南の蛙型亜人族ワーフロッグの郷アマブチを目指すことになった。
ジリタンダ川の源流に近いアマブチ郷はちょっと入り組んだ位置にあり、俺達は馬、乗り合い馬車、馬、徒歩でショートカット、最後に行商の荷馬車の荷台に乗せてもらう、と煩雑な工程でアマブチ郷近くまで来ていた。
「はぁ〜、普通の荷台は揺れますね。お尻が···リリンさんよく寝れますね」
「んあ? うちの師匠は厳しかったからな〜、ユミィはお尻と腰にヒールしときや。癒し手スキル、使い所やで〜」
「はい···」
そんな女子陣のアンニュイな会話を尻目に、暇な俺とミゼヤッポは互いのステータスを見比べていた。
「ミゼヤッポは癖強いスキル取ってんなぁ。どういう適性?」
しげしげと見てしまう俺、
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名前 ミゼヤッポ・グラスクラウン 性別 男 種族 フェザーフット 職業 忍者 年齢 19 レベル20
体力C 魔力C+ 精神力B 力C 守りC 速さB+ 器用さB+ 賢さD 運B
スキル 初級妖精語
スキル 中級極東言語
スキル 食い溜め
スキル 仮死生存
サブクラススキル 初級道化
道化派生スキル 初級演芸 初級悪運
忍者系スキル 中級警戒、初級気配探知、旋風手裏剣、韋駄天、木遁・空蝉、中級軽業、初級気配消し、初級急所狙い、初級盗賊、中級忍具扱い、初級変装、中級水泳、中級登攀、中級乗用獣使い
ステータス系スキル ハードブロック(普通のブロックに偽装)、シーク、アナライズ、フェイク(取得を隠蔽)
一般スキル 初級薬師 初級大工 初級狩人 初級行商 初級花火師
獲得魔素91
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道化系と食い溜めと仮死生存以外はいかにもフェザーフット族の忍者、て感じなんだけどさ。
「食い溜めは10日分くらい。仮死生存と合わせてらたぶん2ヶ月くらい生きてられるぞ? なんも動けないけど···」
「なんも動けないんだ···」
そういうとこあるよな。
そうこうしている内にアマブチ郷に到着した。
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蛙型亜人族、ワーフロッグの郷は中々、個性的だった。
郷は三段構造。まず、ジリタンダ川の上流から引かれた沢に面した一番低い土地の層。ここは漁場に養殖場に水を多く使う畑、祠、水路のある公園みたいにしている。
中間地は訓練所や畑があるくらいで簡素になってて、一番高い土地が郷本体になっていた。ここにも湧水の水路が過剰なくらい通ってて池まで造られてる。虫対策で魚も凄い放たれてるなぁ。
「ワーフロッグ族以外は出入りも大変だ···」
「オイラは得意だぞ?」
大半の家屋は高床式で急な梯子の他に『跳び台』と呼ばれるジャンプで乗る足場が作られ、ワーフロッグ達をこれをぴょんぴょん跳んで出入りしていた。
異文化に感心しつつ、郷長の所に向かった。
「リバーサハギンどもが唐突に凶暴化して、ジリタンダ川源流地の川の大精霊の社を狙い出しておるんでゲコ」
語尾がゲコ! 郷長は全く年齢不詳だった···
「川の大精霊っ! うちは泉の大精霊に使える賢者ロミの一番弟子!! 二番弟子共々、がんばるでっ?!」
「···ああ、まぁうん」
そうか、そう言えば俺も淡水系魔法使いの門弟だった。水系のスキル、釣り師くらいだけど。
「それで、現状の被害や討伐計画はどのように?」
具体的に進めだすユミィ。アンデッド退治職務のフォーマットをそのまま適用してる感じだ。
「宿の御飯はジリ岩魚や霧岩海苔が出るのか? そこも大事だぞ?」
「勿論でゲコ。名物だよ?」
「やったぁ!」
···うん。各人温度差はありつつ、俺達は夕飯の献立以外も協議を詰めていった。
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魚人の魔物、リバーサハギンは魔除けを破壊しながら強引に侵攻を続け、社にかなり近い所に拠点を作っていた! フェーズが進んでるっ。
こちらの戦力は郷長とその護衛と自警団30名ちょいと、あとは郷の川の精霊の神官の人達が4名だ。
この郷に衛兵は常駐しておらず、冒険者ギルドも受付窓口になってる酒場があるだけで、すぐ動ける人員はいなかった。外との情報共有、甘め···
『君が早く育たないと世界中、活性化した魔物だらけになっちゃうかも?』
チラ見した神様メモにはそんなこと書いてあるが、俺1人で、どうこうできるのかな??
「ふぅー···」
ちょっと胃が痛くなりつつ、俺達はアマブチ郷の自警団と川の神官達と共にリバーサハギン達の拠点に密かに向かっていた。
魔除けの林道は見張られているのから近くの林の中を進む。当然野生の魔物はいるから、魔力充填式の魔除けを全員首から提げている。
効果は3時間程度だが片道なら問題ない。戦闘中も相手へのデバフになるだろうし。
「ここでゲコ」
自分も参戦して実は若い人っぽい郷長が示した茂みの先にリバーサハギン達の拠点があった。
およそ長く滞在する気のない雑な城壁と掘っ立て小屋の拠点。魔除けは俺達が使う神聖な隠しや護りの物ではなく、闇の力で強さを誇示して他の下等な魔物を遠ざける荒々しいものだった。
狩った魔物の死体を城壁や城門に吊るして晒したりしてる。蛮族ムーヴっ!
「話し合えなさそう···」
会話できる魔物は大体苦手だ。まず、話せた上で殺し合いになるから。




