15話 サラギの花嫁 前編
ギルドマスター、フガク・ヅチ氏はフランクな人だったけど、
「最低でもレベル20代中盤まで育たないと身分が明らかになった時危ういな。当面積極的に討伐系クエストを受注した方がいいだろう」
と俺達でいけそうな仕事のリストをどっさり、ランダンさんに用意させていた。
俺は若干腰が引けてしまったが偽装気味のステータスでギルドに正規登録を済ませ、新メンバーのユミィも一緒に仲間達で協議した。結果···
「幌馬車は楽チンだなぁ〜。あ! タケル見ろっ、この重ね板ばねっ、ドワーフ製じゃないか? 道理で揺れないと思ったんだぞ?」
幌馬車代込みのクエストだったから俺達は結構いい幌馬車で移動していた。
「あんまり覗き込んで落っこちんなよ〜」
この世界は魔法以外の技術基準に結構揺らぎがあるんだよな。
貸し切りだからリリンはいつも被ってる変な帽子を置いて爆睡していた。仲間が増えてお守りの負担が減った結果? 隙あらば仮眠取りがちだ。
案外、根はのんびりした人なのかもしれない。
「う〜、アンデッド退治は教会の職務で何度もしましたが、冒険者として挑むのはわたくし初めてですっ! このステータスで問題ありませんよね??」
ステータスをど~んと見せてくるユミィ。人にされるとわかる。これ、ちょっと大変だ。気を付けよ···
そんなユミィのステータスは、
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名前 ユミィ・ゴブレット 性別 女 種族 ハーフエルフ 職業 僧侶 年齢 閲覧不可 レベル18
体力D 魔力A 精神力B 力D+ 守りD+ 速さD 器用さC 賢さB 運B
スキル 助祭
助祭派生スキル 初級教会職 初級統制者
スキル 中級神聖言語 初級暗黒言語 初級古代言語
スキル 癒し手
スキル ジャッジスピリット
スキル カルマボーナス
サブクラススキル 初級僧兵
僧兵派生スキル 初級気配探知
サブクラススキル 初級結界師
結界師派生スキル 中級結界探知 初級錬成 初級結界生成 初級結界侵入 初級結界破壊
習得魔法 ライト、ターンアンデッド、ブレッシング、プロテクト、レジスト、ストロング、ヒール、プラスヒール、クリア、カーム、セイント、カースブレイク
僧侶系スキル 闇、呪い、呪殺、誘惑耐性 中級闇探知 初級悪意探知 初級魔力探知 初級召喚師 初級魔法物取り扱い 中級神聖物取り扱い
ステータス系スキル ハードブロック、シーク、アナライズ、ホーリーアナライズ
一般スキル 中級薬師 中級教師 初級学士 初級大工 初級農民 初級家政婦 初級音楽家 初級画家
獲得魔素710
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だった。既に見させてはもらってたけど、改めてステータス、バランスいいな〜。
この癒し手スキルは回復行為UP。ジャッジスピリットは『悪』や『魔』を断じる時能力UP。カルマボーナスは善行を積むと様々な恩恵を与えられる。て感じだ。
素で魔素710っていうのも凄い···
「俺もなんちゃって冒険者だけど、問題ないと思うよ? 今回はアンデッド退治だし、僧侶向けじゃないかな?」
「そう、ですか···」
うん、実際そうなんだ。
依頼は、先日、タンダ・シュノー南のサラギ郷の旧墓所が突然呪われて立ち入り不能になった。その浄化に聖教会が手こずり、応援を依頼されていた。
僧侶向けの仕事でユミィとの連携のトレーニングを兼ねての受注でもあった。
「落ち着いてやろうよ」
「はい」
実はホラーは得意じゃないっ。むしろ自分に言い聞かせる俺だったさ···
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サラギ郷は、黒い肌の人間族主体の郷だった。典型的な農園郷で人口に対してかなり広い魔除けの簡易な城壁で覆われた郷。
農産物をバンバンとタンダ・シュノー等に売ってるから僻地でもそこそこ裕福な郷でもあるらしい。
「アンダートロルを討った魔法兵と聖都出身の僧侶! 賢者ロミの弟子っ。···フェザーフットの忍者か···」
ミゼヤッポに無の表情を見せる先に派遣された教会僧のリーダーで3位助祭(中位くらいの僧)の人。
「なんか言いたいことあるなら聞くぞぉっ?!」
「まぁまぁ」
「やめときって」
チビっ子忍者をリリンと宥め、詳しい話を聞くことにした。因みに俺のことは聖教会本営の聖都には伝わってるが、一般教会僧には基本的に秘匿されてる。俺は『新鋭の魔法兵』て扱いだ。
結構大きい郷の教会の宿舎に来ている。既に日が暮れていて、サラギ郷の連中はアンデッドやその呻き声を恐れて家に閉じ籠もってる。
自警団や駐在衛兵や郷長や役人も···
「現状はどうなっているのでしょうか? アンデッド化の拡大は抑えられているようですが」
馬車では緊張してたけどある意味内輪で、慣れたアンデッド退治だから話し自体は早い感じのユミィ。
社会性、高いなぁ···
「旧墓所自体は我々が念入りに封鎖しているから、初期のように墓所周辺の魔除けの甘い所を墓から出てきたアンデッドが徘徊するようなことはないが、日に日に力を増してるな」
ここで『傍観モード』になりかけてた俺にリリン監督が肘でツンツンしてきた。
「えっと、資料には昼間侵入不能とありましたが」
俺も頑張って質問する。
「ああ、昼間の内の浄化を阻止する厄介な縛りだよ。ただ、話し渋っていた郷の人々が昨日辺りから耐えかねて色々話すようにはなった。墓場に呪いを掛けたのは郷長の大昔の元婚約者の霊らしい」
「ワケありや!」
「複雑そうですね···」
「痴情の縺れだぞ?」
「···」
色恋スキルは0だが、なんか気まずそうだな、と。




