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元引きこもりが強箱スキルで異世界勇者っ!!  作者: 大石次郎


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12話 アンダートロル 後編

内部は曲がりくねってはいたが一本道だ。途中、この環境に適応して闇属性のブラックスライムが壁や天井や岩陰から飛び出してきたりもした。


これはミゼヤッポの警戒スキルで探知して安価な石器のクナイを投げ付けて奇襲を防ぎ、あとは俺の反射箱かリリンの攻撃魔法で仕留めていった。


「···」


JRPGなら、今はチュートリアルが終わったくらいだ。メモの方も白紙。気を引き締めないと。


そのままブラックスライムを捌きつつ進み、最奥の『石化して封じられているアンダートロルが眠っている広間』に俺達は入った。すると、


「エーテル薬飲んどこっ」


俺達が広間に入った途端に! ロミの家くらいの大きさの歪な体型の巨人は石化が解け始めっ、鼻で嗅ぎだしたっ!


「臭う!! ひぃ、光のぉおお者がぁっいるなぁああーーーっっ??!!!」


周囲の闇属性の力が急激に高まり、アンダートロルの真下の魔法陣は引き裂かれ、石化の封印は完全に解けた。近付き過ぎた? 隠行箱効いてないっ。


「箱解除! 一旦撤収だぁ!!」


「ぶぅるっああーーーっっっ!!!!」


吠えて四駆車くらいの巨木の棍棒を振り下ろしてくるアンダートロル!


どっかぁーーーん!!!


「「「うわぁーっ??!!!」」」


既に3人とも出入り口までダッシュしてたけど、打ち付けられた棍棒の衝撃と破片は背後から俺達を襲う! 鉄箱を重ねて防いでなかったらヤバかった!


クィックの効果込みで、来た道を慌てて引き返す俺達。アンダートロルは地響きを起こしながら追ってくるっ。


「光の者どもぉおおおーーーっっ!!!」


「うっはぁっ? 一歩が大きい! ···リリンっ、ミゼヤッポの分も聖水を集めて俺に渡してくれっ。曲がり角で反射箱で撃って時間稼ぐ!」


「よっしゃっ、ハンド!」


聖水を受け取り、俺は曲がるタイミングを見計らって聖水を1本ずつ反射箱で撃ち出した。


命中するとヤツの強い闇属性に反応して聖水は着火した石油のように、しかし青白い浄化の炎を上げて炎上する!


相手は喚いて苦しみ、角を曲がり損なって壁に激突する等して時間をロスした。よしっ。


「先に出て迎撃の段取り組んどくんだぞ?!」


「頼んだ!」


「任せたでっ」


ミゼヤッポはさらに爆速で加速して一気に洞窟の出入り口の方へと駆け去っていった。


ギリギリだけど、聖水本数足りそうだ。あとはいきなり外が曇ってなければ···等と考えていると、バテたらしいリリンの足が縺れ、コケそうになった!


「あっ」


俺は右手でキャッチして迷わずスタミナスキルを使い、ダッシュのギアを上げた。


「休眠箱使うから、攻撃魔法の準備しといてっ」


「おおきに、うわっ? これ変な感じやなっっ」


小さな回復箱を背中に入れて回復力を全身に回すと、リリンはギョッとしていた。


とにかく俺達は全ての聖水を使い切り、全ての洞窟の曲がり角の壁や床をガッタガタにして外に飛び出してた!


「ヒール! プロテクト!」


「こっちだっ!」


助祭さんがすぐに俺にヒールを掛け、続けて2人纏めて守備魔法を掛けたっ。外は晴れてる!!


自警団、ギルド隊、駐在衛兵2人もミゼヤッポの手筈できっちり陣を組んでた。


「うぼぉぁっ!! うっ?!」


怒り狂って飛び出してきたが、日光に身体を焼かれて怯むアンダートロル。すかさず、


「ボム! ボム!」


トロルの真後ろで爆破魔法を炸裂させ、前につんのめさせ、2撃目で入口の天井を爆破して洞窟を塞ぎ、逃げ道を断つリリン。


俺はリリンを助祭さんの横に下ろすとサーベルを抜き直し、トーチの炎をエンチャントし、鉄のバックラーを構え日に焼かれて喚いているアンダートロルの前面に出た。


こうなると、案外この間の半グレ侍より怖くない。どんだけイジメられっ子気質なんだと、呆れる。


「足と棍棒だぞっ!!」


ミゼヤッポの号令で自警団ギルド隊衛兵達は弓やクロスボウや攻撃魔法や聖水の投擲を一斉に放ち、アンダートロルの下半身を釘付けにし、日の力も借りて右肘を砕いてデカ過ぎ棍棒を落としてくれたっ。


「よし! バインドっ、ノッキングっ!」


左腕も偽装鉄箱で固め、偽装反射箱で駆け込んだ地面を爆ぜさせて飛び掛かる!


大きく息を吸う挙動を見せるアンダートロル。『石片のブレス』だ。この種は、厄介なモンスターとして有名で手札は知れてるっ。


「とりゃーすっ」


手裏剣に風を付与する『旋風手裏剣スキル』で石片のブレスを9割は相殺してくれるミゼヤッポ。1割は鉄箱付与盾と守備魔法と、我慢っっ。


「せぇぁっ! ノッキング!」


渾身の飛び付き斬りで眉間を叩き割り、追い撃ちの偽装反射箱で傷口を広げて仰け反らせたっ。


「光の者ぉっっ」


凄まじい敵意だ。喧嘩とかイジメとか犯罪とか、そんなレベルじゃない。たぶん戦争。決して相手の存在を認めず、ただ滅ぼす為に実行しようとする者の確固たる意志を感じる。


「サンダー!」


リリンの魔法で頭部は完全に砕け、抵抗力の失った身体は日の光で瞬く間にに焼き尽くされ、塵と消えていった···


_____



一応、冒険者ギルドと自警団と教会が和解することになったアビカ郷を、少し懐の温かくなった俺達は馬に乗って後にしていた。


リリンはトロル戦の自分の活躍をしきりにアピールしてるミゼヤッポの話を適当にいなしてる。


メモを見ると、


『東へ』


とだけ記されていた。


勇者がそんないい仕事じゃないと俺は改めて思い知りながら、もう慣れてきた馬を進めた。

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