10話 知らない朝に旅立とう
ギルドと衛兵署、それから町の商会からそこそこ報酬が出てちょっとリッチになった俺達は、セノの宿屋の屋上のレストスペースを貸し切りにして、のんびりしていた。
そう言えば後衛職のリリンは、ここ暫くの強行軍とマフィア戦での魔法連発なんかで疲れが溜まってるらしく、魔力と体力を纏めて回復できる高価なミックスポーションを飲んで、寝巻きみたいな格好で東屋のハンモックで爆睡してる。
平服の俺とミゼヤッポは大盛りの岩蟹のピラフ(高い)をさっきまで爆食していたが、今は、
「う〜ん。ミゼヤッポ、どう思う?」
俺は自分のステータスを表示させていた。
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名前 タケル・キャンデ 性別 男 種族 人間 職業 勇者(魔法兵に偽装) 年齢 17 レベル14
体力D+ 魔力B 精神力E+ 力D+ 守りC 速さD+ 器用さB 賢さC 運S(Cに偽装)
スキル 強箱(取得を隠蔽)
強箱派生スキル 反射箱、鉄箱、休眠箱、隠行箱
スキル 共通語日本語変換(取得を隠蔽)
スキル スタミナストック
スキル 魔素呼吸
サブクラススキル 初級戦士
戦士派生スキル 中級気配探知
サブクラススキル 初級魔法使い
魔法使い派生スキル 中級魔力探知 初級錬成 初級人形使い 初級召喚師 初級魔法物取り扱い
習得魔法 ハンド、トーチ、ライト、フィール
勇者系スキル 闇、呪い耐性(項目を含め隠蔽)
魔法兵系スキル(メインクラススキルに偽装) エンチャントウェポン
ステータス系スキル ハードブロック(普通のブロックに偽装)、シーク(取得を隠蔽)、アナライズ、フェイク(取得を隠蔽)
一般スキル 初級薬師 初級大工 初級狩人 初級農民 初級釣り師 初級家政夫
獲得魔素240(5分の1に偽装)
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「職業勇者って、なんか笑っちゃうんだぞ? へへへっ」
「だよな、ハハハッ」
「へへへっ」
「ハハハッ」
一頻り笑ってしまったが、
「いやでもマジだからさぁ、育成どーしよっか? 魔法増やした方がいいのかな?」
そう冗談じゃないんだよ。もうゲームでもデスゲームの類いと認識することにした!
「早いっていっても魔素の溜まり方、半端だし、それにレベルや適性無視してステータス上げたり魔法やスキル覚えようとしても不発で、昇華書無駄にしたりするんだぞ?」
「う〜ん···器用貧乏感あるけど。あとなんか、表示がゴチャゴチャ···」
いい加減、身分証明用に簡易版作んないとな。
「お金がある内に装備よくしたら? 厚皮鎧と甲羅のバックラーと額当てと小剣だといかにもルーキーセットだぞ?」
「確かに」
用心棒戦は装備の脆さを感じた。手槍とクロスボウもポーチに入れてるけど予備だしな···
「明後日出発だから、明日3人で買い物行こう」
「わかったぞ」
「···あんまり混んでない商店とかある?」
「ちゃんと流行ってる店に行った方がいいんだぞ?」
「···」
店員とコミュケーション取って買い物するの億劫だ。通販で装備買いたいな···
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出立当日の早朝。馬上の俺の装備は一部刷新されてた。額当てと着脱式のバックラーは鉄製になり、メイン武器はサーベルになった。小剣は予備武器として収納ポーチに一応キープだ。
片手剣だが小剣よりかは長くて馬に当たるから、留め具を調節して反り面を下にして差してる。
取り付け盾はポーチの中。
「見栄えようなったやん?」
「勇者っぽい?」
「ええ〜?」
「陰気な魔法兵って感じだぞ?」
「んだよ〜」
俺達は緩めのテンションでセノの町を後にして、元々リリン達が活動していたタンダ・シュノー市を目指し、魔除けの街道を東へと馬を進めた。
タンダ・シュノーの冒険者ギルド支部は大きく、ギルドマスターはロミの知人らしい。話が通ってるそうだ。
大っぴらに勇者だということを隠して活動できそうな環境! 世界の異変等の情報も集め易いはず。
「ちょい緊張するな···」
流離い人のマントのフードの下で小声で呟く。現地にはリリン達の知り合いも多い。色々な人に関わりに行くってのは、モンスターと戦うより気が重い所もあった。
またツッコまれるから、リリン達に見られないようにこっそりメモを広げてみると、
『今日もいい朝!』
とだけ書いてあった。
「ふっ」
笑ってしまい、顔を上げると、朝靄の丘の向こうで日が出ていて、その日の中に入るように、なにか下位竜系の小型モンスター達の群れが横切っていた。
ゲームか? 異世界か?
なんにしても、俺は、知らない朝を迎えて、また旅立つことになった。




